「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

災害看護の出発点

2014-10-27 23:07:41 | 地域防災
数年前から、看護学校での講義を頼まれるようになっている。今年度は3校。
そのうちの一つ、静岡県立東部看護専門学校への出講が今日から始まる。

東部看護では1時間半×15コマの科目の4回分のみ担当している。
非医療人の「旅の坊主」ゆえ、医療・看護に直接かかわる部分は避けつつも、
「静岡で」「この時代に」「看護職になろうという人たち」へのメッセージを発し続けているつもり。

この時代に看護師になろうということは、しかもこの静岡で活躍しようということは、
現役であるうちに100%巨大災害に見舞われることを意味する。
南海トラフ沿いの巨大地震は、ここ5年10年で起こることはないと思うが、
15年を過ぎればリーチがかかる。

その時、現役の看護職であるということは、確実に「役割の衝突」に直面する。
看護職としての自分と、私人としての生活と、
その衝突をさけるためにはどうすればよいか。

看護職になろうという人たちには、
一般の市民よりも少し高いレベルで防災の知識を持ってもらわないと、
その人が災害現場でまた裂きに遭う。

「私生活を犠牲にしてでも傷病者のためにがんばりました」というのは、
美談調の「お涙頂戴ストーリー」にはなるだろうが、
自分の教え子からは出したくはない。

幸いにも、看護師としてのキャリアを歩み始めることが出来れば、
一般人よりも良い給料がもらえる。
それを原資に、「安全な場所」に「安全な家」を構えることが出来れば、
「役割の衝突」リスクをゼロにすることは出来ないまでも、
相当程度低くすることは出来るだろう。

自分の身は自分で守るための方法論として、
「安全な場所」に「安全な家」を構えるということ。

「旅の坊主」流の災害看護論の出発点でもある。