「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

社会福祉施設の災害時の役割と地域との連携

2014-10-15 21:16:44 | 地域防災
少し前になるが、「災害時要援護者とはそもそもどういう人なのだろう」と、
本気モードで議論したことがある。

もちろん、それなりの定義はあるのだろうが、その定義に関係なく、
例えば高齢化率25%の地域で65歳以上の高齢者を「支援される側」として扱うような、
支援者と被支援者のバランスが崩れた計画が破たんすることは誰の目にも明らか。

「地域にある社会福祉施設はそのまま福祉避難所としての機能を果たしてもらいたい」
「災害時要援護者はその福祉避難所に行ってもらおう」

などという単純な話で済めば誰も苦労はしない。

普段の時ですらかつかつの人数(それも介護系職員の処遇が良くないことは広くしられている!)でやっている施設に、
災害時にさらに負荷を押し付けるが如き議論に賛同する訳にはいくまい。

「通常の介護・福祉の仕事で精一杯で、災害時を意識した準備まで気がまわらない。」

ある意味当然のことと思うが、「そこを何とか!」一歩踏み出してもらいたいなぁ、と。

「災害時、私達の施設を福祉避難所として使ってもらう分には一向に差し支えありません。
ただ、施設は提供できますが、人の工面までは出来ません。
地域の方々に鍵を渡しても構わないと思っています。
ですから、地域の皆さんで、この施設を何とか活かしていただければ、と思うのです。」

このテーマ、1年ほど前になろうか、富士市内のとある社会福祉施設で頼まれて
防災のワークショップをした時、施設の方に住民の方々へ発してもらいたかったメッセージである。
実態としては、「旅の坊主」が施設の方に成り代わり、
「社会福祉施設と地域の関係って、こうあるべきなのではないの?」と
問題提起として使わせてもらったものであるが。

医療機関と同じで、
「災害時に社会福祉施設に助けてもらいたかったら、
災害時は社会福祉施設を助けなさい」ということ。
そうではなくて?

社会福祉施設側から住民へのこんな問いかけって、
あってしかるべき、と思うのだが、
ここまで考えているような社会福祉施設、世の中にどのくらいあるのだろう?