今年も、日本の何十年来の友人から小包が届いた。
節分の豆まきセットである。
こちらで節分豆なんて手に入らないから(大都市はともかく)、こうした日本独特の行事に必要なものは貴重品。彼女は、なつかしい日本の味をいろいろ取り揃えて箱詰めにし、毎年今頃の季節にこちらに送ってくれたのである。もうかれこれ、何十年になろうか。
TABIが元気だったころは、豆まきセットについてきた鬼のお面をかぶったTABIパパを、TABIと一緒におっかけては豆をまいた。豆まきが終われば、「あーこれで今年もいい年になるね」と、家族で炒り豆をポリポリ。楽しい年中行事だった。
しかし今年の豆セットに添えられた彼女からの手紙には、「来年からは送ることができなくなりました」とあった。
日本郵便の話では、今度からカナダあて小包は全てパソコンかスマホで必要事項を入力しないとダメで、手書きの宛名は受付ないのだという。
彼女は自身いわく「超アナログ」。パソコンも携帯も持たない。従って、もう送ることができないのだ。
時代の流れと言うべきか。Good things never last long とよく言うが、個人ではどうすることもできない。テクノロジーの波に乗らなければ、庶民の小さな楽しみも奪われてしまう世の中なのである。
最後とあってか、今年はいろんな豆菓子をたーくさん送ってくれた。私たち夫婦は、もう二度と来年からは味わえない豆を大切に、少しづついただくことにしよう。