<吉野山 よしのやま>
奈良の市街地からひたすら国道を南下して、
目の前に吉野の山々が迫り始めると、
なぜか心の中に、安堵感と緊張感という、
相反する感情がわいてきます。
初めてこの一帯に足を踏み入れたときに感じた、
古い信仰の息吹と、山間部特有の「酷道」の恐怖が、
どこからともなく蘇ってくるからなのですね。
今回は神武ゆかりの神社を巡るため、
平地と山間地を何度も往復したのですが、
山に入る緊張感と山に包まれる安堵感、
そして山を下りるときの安堵感と、
山を出てしまったことの緊張感が、
ぐるぐると身体の中を駆け巡り、
苦難の末にヤマトに入った一行の思いに、
少しだけ触れられたような気がしました。