<香取神宮 かとりじんぐう>
鹿島神宮が布都御魂剣を模倣した直刀を所有するように、
香取神宮にも「海獣葡萄鏡(国宝)」という名の神鏡が伝わります。
本来であれば、刀剣の神そのものを祀る香取神宮に、
刀のご神体があるほうが自然ですが、どういった経緯か、
直刀は鹿島神宮の所有となり、香取神宮には鏡が置かれました。
古くから香取神宮の周辺は、下総物部氏の一大拠点でして、
もともとは香取神宮も物部氏が管理していたのでしょう。
鏡というのは、言わずと知れた天照太御神の象徴であり、
鏡をご神体と仰ぐことは「朝廷への帰順」を意味する面があります。
伊勢の内宮・外宮と同じようにこの地でも、
土着の神と朝廷の神との入れ替えが行われたかもしれません。