たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

鬼の善悪

2015-02-02 16:27:47 | 歴史・神話・旅・風景

<福知山市・鬼の交流博物館>

 

一般的に「鬼」という字は「おに」と読みますが、

古くは「かみ」あるいは「もの」と読ぶこともあったそうです。

その理由は「鬼」という存在が、

ある人にとっては敵に、

ある人にとっては味方に、

またある人にとっては、

得体の知れない「もの」だったからなのだと。

つまり「鬼」という存在は、

その立場や視点により善悪が逆転するのですね。

 

京都北部の大江山周辺に伝わる言い伝えの中に、

「酒呑童子(しゅてんどうじ)」と呼ばれる鬼が登場します。

都の人々にとって、この酒呑童子は自分たちに危害を加え、

生活を脅かす悪の存在でしかありませんでした。

ただ、酒呑童子の側にすれば、

昔から住んでいた土地を奪い、

仲間たちを征伐した都人こそが悪人です。

 

鬼=悪という図式は、

強力な呪力と技術を持った渡来人が、

大和を制圧した時代にまで遡ることができます。

今なお「鬼」は、日本国土の隅々に影響を及ぼしているのでしょう。