<福知山市・鬼の交流博物館>
一般的に「鬼」という字は「おに」と読みますが、
古くは「かみ」あるいは「もの」と読ぶこともあったそうです。
その理由は「鬼」という存在が、
ある人にとっては敵に、
ある人にとっては味方に、
またある人にとっては、
得体の知れない「もの」だったからなのだと。
つまり「鬼」という存在は、
その立場や視点により善悪が逆転するのですね。
京都北部の大江山周辺に伝わる言い伝えの中に、
「酒呑童子(しゅてんどうじ)」と呼ばれる鬼が登場します。
都の人々にとって、この酒呑童子は自分たちに危害を加え、
生活を脅かす悪の存在でしかありませんでした。
ただ、酒呑童子の側にすれば、
昔から住んでいた土地を奪い、
仲間たちを征伐した都人こそが悪人です。
鬼=悪という図式は、
強力な呪力と技術を持った渡来人が、
大和を制圧した時代にまで遡ることができます。
今なお「鬼」は、日本国土の隅々に影響を及ぼしているのでしょう。