「布団のお昼寝」
ぽかぽか日差し。ベランダに干されて、ひと休み。今日は、休日。世界は、おっとりうらうらまわってる。街路の若葉が光る。燕が滑るように飛んでいく。草の香りがする。生き物たちの生命の輝きが、増す季節だ。
気持ちがいい。だんだん眠くなる。とろとろと眠りに落ちる瞬間。それを、至福という。
「カシオペヤの罰」
私は北の夜空で、星座となった。椅子に縛りつけられ、北極星のまわりをグルグルとまわり続ける。逆さにぶら下がることもある。未来永劫。神を冒涜した罰だ。
私の娘は、美しかった。神の息吹がかかるものより、美しいと自慢した。それの、何が悪いの?傲慢?不遜?愚か?事実を述べただけなのに!
その結果、多くのものを失った。あんなに愛した娘すらも。娘の私を見る目!あの蔑んだ目を忘れることはない。
北の夜空で晒し者になりながらも、まだ、私は罪を犯したとは思っていない。
「ツツジの誇り」
自分は、ツツジ。街路に植えられたツツジだ。自分達は、車の排気ガスにも耐えるタフさを持ち、空気を浄化する作用もある。無粋な街路を彩るために、自分達は、ここにいる。
5月、自分達が、鮮やかな花を咲かす季節だ。甘い蜜を蓄え、蝶や蜂が蜜を求めてやってくる。人間達が、自分達を見て、眉間のしわを緩める。
自分達は、ただそこにあるだけなのだが、多くの虫達を守り、人間に微笑みをもたらす。自分は、それを誇りに思っている。
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