敦參軍錢鳳等凶狡。知敦有異志、陰爲畫策、至是敦遂兵武昌、以誅劉愧・刁協爲名。愧・協勸帝盡誅王氏。帝不許。導率宗族、毎旦詣臺待罪。周將入。導呼之曰、伯仁以百口累卿。不顧。入見帝、言導忠誠、申救甚至。帝納其言。醉而出。導又呼。不與言。顧左右曰、今年殺諸賊奴、取金印如斗大繫肘後。既出、又上表明導無罪。
敦の参軍銭鳳(せんほう)等凶狡(きょうこう)なり。敦の異志有るを知って、陰(ひそか)に為に画策せしが、是に至って敦遂に兵を武昌に挙げ、劉愧・刁協を誅するを以って名と為す。愧・協、帝に勧めて尽く王氏を誅せんとす。帝許さず。導、宗族を率いて、毎旦台に詣(いた)って罪を待つ。周(しゅうぎ)、将(まさ)に入らんとす。導、之を呼んで曰く「伯人(はくじん)百口を以って卿を累(わずら)わさん」と。顧みず。入って帝に見(まみ)え、導の忠誠を言い、申救(しんきゅう)甚だ至れり。帝、其の言を納(い)る。酔うて出づ。導又呼ぶ。、言を与(ま)たず、左右を顧みて曰く、「今年諸賊奴を殺し、金印の斗大の如くなるを取って肘後(ちゅうご)に繫(か)けん」と。既にして出で、又表を上(たてまつ)って導の罪無きを明らかにす。
参軍 軍事参与。 台 罪を裁く御史台のこと。 周 1月29日の記事中に周(しゅうがい)と読んだが、訂正します。 伯人 周のあざな。 百口 百人、一族こぞって。 申救 申し述べて助け救うこと。 不與言 他のテキストでは「ともに言わず」とある。 金印 黄金の印、諸侯の印。 斗大 一斗ますほどの大きさ。
王敦には参軍の銭鳳ら凶暴でずるがしこい者が多く、王敦に謀叛の心もちがあるのを察して、密かに敦の為に画策していたが、ここに至って、王敦は武昌で劉愧と刁協を誅するとして挙兵した。劉愧と刁協は王氏一族を残らず誅殺するよう勧めたが元帝は許さなかった。王導は一族を引き連れて毎朝御史台に赴き仕置きを待った。周が参内のため通りかかった。王導は呼びとめて「周どのを煩わして、一族百人の口にかえて、あなたのお口添えをお願いしたい」と言ったが、周は見向きもせずに通り過ぎた。参内して元帝に拝謁すると、王導の忠誠を言葉を尽して申し立てた。帝もその言を受け納れた。周が酔って退出するところを王導が待ちうけて、又声をかけた。周は耳を貸さずに、左右の者に「今年は賊どもを成敗して大きな金印を賜り、肩から吊るすとしよう」と聞こえよがしに語った。しかし、帰ると早速上書して王導の無罪を訴えた。
敦の参軍銭鳳(せんほう)等凶狡(きょうこう)なり。敦の異志有るを知って、陰(ひそか)に為に画策せしが、是に至って敦遂に兵を武昌に挙げ、劉愧・刁協を誅するを以って名と為す。愧・協、帝に勧めて尽く王氏を誅せんとす。帝許さず。導、宗族を率いて、毎旦台に詣(いた)って罪を待つ。周(しゅうぎ)、将(まさ)に入らんとす。導、之を呼んで曰く「伯人(はくじん)百口を以って卿を累(わずら)わさん」と。顧みず。入って帝に見(まみ)え、導の忠誠を言い、申救(しんきゅう)甚だ至れり。帝、其の言を納(い)る。酔うて出づ。導又呼ぶ。、言を与(ま)たず、左右を顧みて曰く、「今年諸賊奴を殺し、金印の斗大の如くなるを取って肘後(ちゅうご)に繫(か)けん」と。既にして出で、又表を上(たてまつ)って導の罪無きを明らかにす。
参軍 軍事参与。 台 罪を裁く御史台のこと。 周 1月29日の記事中に周(しゅうがい)と読んだが、訂正します。 伯人 周のあざな。 百口 百人、一族こぞって。 申救 申し述べて助け救うこと。 不與言 他のテキストでは「ともに言わず」とある。 金印 黄金の印、諸侯の印。 斗大 一斗ますほどの大きさ。
王敦には参軍の銭鳳ら凶暴でずるがしこい者が多く、王敦に謀叛の心もちがあるのを察して、密かに敦の為に画策していたが、ここに至って、王敦は武昌で劉愧と刁協を誅するとして挙兵した。劉愧と刁協は王氏一族を残らず誅殺するよう勧めたが元帝は許さなかった。王導は一族を引き連れて毎朝御史台に赴き仕置きを待った。周が参内のため通りかかった。王導は呼びとめて「周どのを煩わして、一族百人の口にかえて、あなたのお口添えをお願いしたい」と言ったが、周は見向きもせずに通り過ぎた。参内して元帝に拝謁すると、王導の忠誠を言葉を尽して申し立てた。帝もその言を受け納れた。周が酔って退出するところを王導が待ちうけて、又声をかけた。周は耳を貸さずに、左右の者に「今年は賊どもを成敗して大きな金印を賜り、肩から吊るすとしよう」と聞こえよがしに語った。しかし、帰ると早速上書して王導の無罪を訴えた。