寡黙堂ひとりごと

詩吟と漢詩・漢文が趣味です。火曜日と木曜日が詩吟の日です花も酒も好きな無口な男です。

十八史略 鮮卑、骨肉の争い

2012-02-11 11:40:06 | 十八史略
猗盧愛少子、欲立爲嗣、而出其長子六脩、使六脩拝其弟、不從而去。大怒討之、兵敗而遇弑。猗它之子普根、討滅六脩而自立、尋卒。國人立猗盧弟之子鬱律。至是猗它之妻殺鬱律、而立其子賀■。鬱律子什翼犍在襁褓。母匿之袴下、得不殺。

猗盧少子を愛し、立てて嗣(し)と為さんと欲して、其の長子六脩(りくしゅう)を出し、六脩をして其の弟を拝せしむるに、従わずして去る。大いに怒って之を討ち、兵敗れて弑(しい)に遇う。猗它(いだ)の子普根(ふこん) 六脩を討滅して自ら立ち、尋(つ)いで卒す。国人猗盧が弟の子鬱律(うつりつ)を立つ。是(ここ)に至って猗它の妻、鬱律を殺して、其の子賀■(がとく)を立つ。鬱律の子什翼犍(じゅうよくけん) 襁褓(きょうほ)に在り。母之を袴下に匿(かく)して、殺されざるを得たり。

出し 宮中から出す。 猗它 它は施のつくりの部分、仮に它とした。 尋 間もなく。 ■ にんべんに辱。 襁褓 産着、おしめ、転じて乳飲み児の意。

猗盧は末子を寵愛し、後嗣ぎにしようとして長子の六脩を宮中から追い出し、弟を拝礼させようと命じたが、六脩は従わずに去った。怒った猗盧は六脩を討ったが、返って敗れて弑殺されてしまった。猗它の子の普根が六脩を討ち滅ぼして自立したが間もなく死んだ。そこで索頭の人々は猗盧の弟の子の鬱律を立てた。ところがここにきて猗它の妻が鬱律を殺して、自分の子の賀■を立てた。鬱律の子の什翼犍は未だ乳飲み児で母の袴の下に隠されて、殺戮から免れた。