本澤二郎の「日本の風景」(4845)

<矛盾だらけの日米ロ中の前途は混沌=改憲軍拡日本もSOS

 毎年のことだが、この季節に破れそうな軒下に蜂が巣をつくる。スズメバチという巨大な蜂だから、刺されると大変なことになる。運が悪いと命を落としかねない。今年も巣を見つけた。棒でつついて落としたが、間もなく今度はごく普通の蜂の巣が。それが二つも。初めてのことだ。地球環境が壊れて気象変動の影響を受けている証拠かもしれない?

 

 人間社会を俯瞰して眺めてみると、各国とも2022年に始まったロシア・ウクライナ戦争に振り回されている。各国の為政者は、プーチンを見習って独裁者となって権力を乱用するものだから、矛盾がいくつも膨れ上がる。あちこちで地雷が爆発する。ワルの暴走だ。日本も平和憲法を破壊する天皇制国家主義・神道政治連盟の一団が永田町で蜂起して久しい。

 

 昨日はロシアの内乱勃発の報に世界各国は振り回された。矛盾の暴発かと世界は注視した。「プーチン独裁もおしまいか」と期待を持たせたが、間もなく萎んだが、クーデターまがいのことは、どこの国で起きる。地球を破壊した人間社会の殺し合いに突っ込んだ岸田文雄の日本も例外ではない。その最たるものが、マイナンバーカードで主権者を凍結させようとして、危険極まりない。

 

<船頭多くして船山に登る=ロシア軍部の内紛にプーチンお手上げ>

 矛盾は戦争を仕掛けたロシアで表面化した。命知らずの民間軍事会社ワグネルは、いうまでもなくプーチンの懐刀のような別動隊として、一番の手柄を立てていた。これに国防省の正規軍が反発、双方で内紛が始まった。

 いわば「船頭多くして船山に登る」たとえを地で行くようなものだ。ワグネルに武器弾薬を流さないという意地悪に、ボスのエフゲニー・ブリゴジンが怒りの反旗を掲げ、すわっクーデターかとウクライナの黒幕であるワシントンのバイデンを喜ばせた。

 

 しかし、プーチンが「裏切り者を成敗する」とブリゴジン逮捕をテレビ演説でわめくと、プーチンにまだ利用価値があると判断している仲間が仲裁に入った。 

 

<不発に終わったロシアの内乱=ベラルーシ大統領が助け船>

 プーチンは、しばらく後になって隣国ベラルーシのルカシェンコに感謝の電話を入れた。ブリゴジンはルカシェンコの説得に応じて内乱は未遂に終わった。

 ふと岸信介や笹川良一らが芽を出させた安倍晋三の別動隊・維新や統一教会国際勝共連合のことを思い出した。先の統一地方選で躍進した維新は、自民党と公明党の地盤を食い荒らし始めた。維新の「身を切る改革」というスローガンは、今の時代にぴったりと合っている。

 昔の自民党であれば、即座に行財政改革を財閥と一緒になって突進する。しかし、3分の2議席に胡坐をかいてしまった自公にその気はない。その間隙を縫って維新は、庶民の心の中に浸透した。

 いまの日本の自民党から共産党までが、世界一の血税を懐に入れて、文字通りゆでガエルの生活をして、民衆の生活苦に見向きもしない。政治屋と公務員だけがコロナ禍の中でも、優雅な暮らしを送ってきている。

 

 民意をつかみ切れていない政党に国民は怒っている。それでも国会議員や地方議員を削減しようという真っ当な叫びを聞かない。自民党から共産党まで昼寝から覚めない。議会で体を張って抵抗する議員を懲罰動議に掛ける既成政党の政治屋集団でしかない。それでいて岸田内閣は、マイナンバーカードで民衆を縛り付けるものだから、国民の怒りは爆発寸前である。

 

 プーチンも別動隊の怒りを理解していなかった。危うく殺害される場面でもあった。冷や汗を流した数日であったろう。むろん、ワグネルの暴発を食い止めても、まだどうなるのか、先は読めない。日本もまたロシアの隣国である。プーチンは日本に対しても「裏切り」と認識している。プーチンの危機は、核のボタンに手が近付いている証拠でもある。

 

<米国も中国も経済は厳しい。矛盾は膨らむ一方でピンチ>

 米国の大統領選挙の行方も混沌としてきている。相変わらず物価急騰と倒産失業ストに追い込まれて、人々に暗い影を投げかけている。当初はバイデンとトランプの2回戦を予想していたマスコミの大統領選判断も狂い始めた。

 民主党の泡まつ候補扱いにされていたロバートケネディJrが彗星のようにワシントン政界に浮上して「アメリカンデモクラシーの確立」を叫び始めた。若者と戦争嫌いが選挙対策本部を固めるだろう。

 日本でいう護憲リベラル派である。オバマ政権の副大統領だったバイデンはというと、そのころから息子と二人でウクライナや中国で利権アサリをしていたことが発覚し始めている。

 アメリカ・日本株も危うい。

 

 中国はコロナ禍の3年間、経済活動を止めたことによる悪影響が、すでに表面化している。人々の生活不安は、習近平不信へと昇華している。物価高もきつい。強権体制がいつまで継続するのか。若者の失業は深刻であろう。

 中国人民はそれでも耐えているようだが、限界もあるはずだ。日米は台湾有事というデマを流し続けている。しかし、そのような余裕などないし、その気もない。台湾独立派の暴走も想定できない。台湾の政治は、均衡が取れているのだから。公園を畑や水田にしているとのネット動画は、中国を知る者にとって痛々しくて見て居られない。

 

<学者馬鹿・日銀の円激安政策と超株高に国民も怒り天を突く勢い>

 自国の通貨を意図的どころか露骨に下げている日銀の金融政策は、まさに悪政の典型であるアベノミクスだ。今も学者馬鹿によって強行している。日本の価値をがんがんと引き下げて、輸入大国を滅ぼしている。

 円の価値を高く引き揚げようとしても無駄なことだが、引き下げるには政府が借金借金を山のようにして国債を発行すればいい。それを日本銀行が10年前から引き受けて、円を山のように印刷してきた。

 安倍の配下の黒田東彦の悪の手口を、いまの植田和夫も平然と推進して、超物価高の日本に変質、更なる超格差社会にしている。「物価の番人」という重大な責任を日銀は放棄して10年だ。許せない!

 ツケは弱者の民衆である。庶民大衆だ。輸入大国の日本政府がこれを強行しても恥じない。人々の生活を破綻させている。労働者は倒産や不況でいつでも首を斬られる。小泉内閣の竹中平蔵の新自由主義が今も大手を振って財閥株屋を太らせている。

 日本もまた人々が戦争の恐怖と共に、爆発する超物価高の経済環境に追いまくられている。これまた耐えられる限界を越えてしまった。マイナ解散目前の政局が始まっている!

2023年6月25日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)