教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

理工系学部の新設など97校支援 文科省、デジタルや脱炭素分野

2024年06月29日 16時07分09秒 | 受験・学校・学問
 

理工系学部の新設など97校支援 文科省、デジタルや脱炭素分野

理工系学部の新設など97校支援 文科省、デジタルや脱炭素分野

文部科学省などが入る庁舎=東京都千代田区

(共同通信)

 文部科学省は26日、デジタルや脱炭素分野などの理工系学部を新設・拡充する大学と高等専門学校の計97校を、財政支援の対象に選んだと発表した。2022年度に立ち上げた約3千億円の基金から拠出。国際競争の激しい成長分野を引っ張る理系人材の育成を目指す。

 文科省は取り組みを二つの類型に分けて公募していた。一つは、主にデジタル関連の学部新設など組織改編を検討する公私立大に最大20億円を支援する内容で、今回は59校を選定した。

 もう一つは、主に情報系の既存学部を強化して定員を増やす国公私立大と高専に最大10億円を支援するもので、38校を選んだ。

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千葉科学大“地元へ経済効果 年間約22億円”公立大移行検討委https://t.co/jwEQ8RLPMD #nhk_news.

2024年05月14日 02時05分12秒 | 受験・学校・学問
千葉科学大“地元へ経済効果 年間約22億円”公立大移行検討委https://t.co/jwEQ8RLPMD #nhk_news.
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南九州大学・短期大学部が募集停止、2027年春廃止へ 少子化や4年制志向受け定員割れ続いていた -

2024年04月17日 14時49分02秒 | 受験・学校・学問
3 時間前 — 南九州大学短期大学部は59年前に開設され、医療事務や観光業などの専門人材を輩出してきました。一方、南九州学園では3年後、食や医療の分野に情報工学 ...
 
少子化による18歳人口の減少とコロナパンデミックの影響で、全国的私立短期大学の廃止が増えると思います。
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東大が5年制新課程を創設へ、文理融合型で学部・修士一貫…27年秋入学

2024年02月19日 08時51分07秒 | 受験・学校・学問

 

 
 

東大が5年制新課程を創設へ、文理融合型で学部・修士一貫…27年秋入学

 世界水準の研究や人材育成を目指し、東京大学が2027年秋に新学部に相当する5年間一貫の教育課程を創設する方針を固めた。医学から文学まで、東大が持つ教育・研究資源を最大限に活用した文理融合型の課程で、気候変動や生物多様性など、従来の縦割りの学問領域では解決が難しい地球規模の課題に対し、解決策を導くことができる人材を育てる。

半数は留学生・全授業が英語

 

 新課程は、学部の4年間と大学院修士の1年間を合わせた5年制。5年間で修士まで修了できる欧米の有力大を参考にした。定員は1学年100人程度で、半数は海外からの留学生、残りは日本の高校卒業生らを想定する。何をテーマに学ぶかは学生自身が決め、必要に応じて既存学部や大学院の授業も受講できる。

 例えば、脱炭素に向けた研究開発なら、自然科学の知見だけでなく、法律やビジネスなども横断的、体系的に学び、解決に向けた戦略や新たな価値の創造を目指す。5年間のうち1年間は、留学や企業でのインターンシップ(就業体験)など、学外での学びを課す方向だ。社会変革につながる多様なデザインを学ぶ場との意味を込めて、新課程の名称は「カレッジ・オブ・デザイン」とする。

 世界中から優秀な学生を集めるため、欧米の大学で主流の秋入学とし、授業もすべて英語で行う。性別や文化、経済的背景といった学生の多様性を重視し、従来の東大入試とは異なる選抜方法を検討している。東大は24年度中に新課程の入試概要を公表する方針だ。

 新課程の教授陣は、既存学部との兼任に加え、優れた研究成果や実績を持つ民間企業の研究員や実務家のほか、東大独自の基金の運用益を活用し、海外からも一線級の研究者を招聘しょうへいする。

 東大の既存学部の学生も新課程の授業を受講できるようにする。学部や専攻分野にとらわれない自由な学びの場を提供し、多様な学生が、相互に刺激し合えるキャンパスを創出する。

 
 
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 岳陽楼の記(がくようろうのき)   作:范仲淹はんちゅうえん

2024年02月11日 15時05分42秒 | 受験・学校・学問

 岳陽楼の記(がくようろうのき)   作:范仲淹はんちゅうえん


【還暦ジジイの説明】

 チャイナ、北宋ほくそうの范仲淹が書いた360字の散文。慶暦けいれき六年(1046年)の作。

 范仲淹と同年の進士・滕宗諒とうそうりょう、字は子京しけいが湖南省の岳州に流され、岳陽楼を改修したとき、

記念のため、同じく左遷させんされていた范仲淹に依頼したもの。

 後半の「嗟夫ああ」から始まる部分は、優れた人物は環境や個人、また、そのときどきの立場によって感情を左右されてはならず、

 「天下の憂いに先んじて憂え、天下の楽しみに後れて楽しむ」ものである、と謳っている。

 いわゆる「先憂後楽せんゆうこうらく」と約され、政治家としての守るべき態度として有名である。

 東京都文京区の「後楽園」の名も、この名文句から水戸光圀みとみつくに公が命名したのだそうだ。



【原文1】


  岳陽樓記  范仲淹


 慶曆四年春、滕子京謫守巴陵郡。

 越明年、政通人和、百廢倶興。

 乃重修岳陽樓、增其舊制、刻唐賢今人詩賦於其上、屬予作文以記之。


【書き下し文1】


  岳陽楼の記(がくようろうのき) 作:范仲淹(はんちゅうえん)


 慶歷けいれき四年春、滕子京とうしけいたくせられて、巴陵郡はりょうぐんしゅたり。

 越えて明年みょうねんまつりごとつう人和ひとわし、百廢ひゃくはいともおこる。

 すなわち重ねて岳陽楼を修め、其の旧制きゅうせいし、

 唐賢今人とうけんきんじん詩賦しふをその上に刻まんとす。

 に文を作りて、もっこれを記す。


【現代口語訳1】


 慶暦四年春、わが友滕子京は罪を得て巴陵郡の長官に左遷された。

 しかし、一年もしないうちに、大いに治績があがって治安も回復し、地域の面目を一新した。

 この機会に岳陽楼を修復して旧来の造りに戻し、壁に唐代の賢者や現代人の詩文を刻み込み、

 ついてはその趣旨を記した文章を書いて欲しいと、私に頼んできた。

 そこでこの一文を認めたのである。


【原文2】


 予觀夫巴陵勝狀、在洞庭一湖。

 銜遠山、吞長江、浩浩湯湯、橫無際涯。

 朝暉夕陰、氣象萬千。

 此則岳陽樓之大觀也。前人之述備矣。

 然則北通巫峽、南極瀟湘、遷客騷人、多會於此。

 覽物之情、得無異乎。


【書き下し文2】


 、かの巴陵はりょう勝状しょうじょうを観るに、洞庭の一湖いっこに在り。

 遠山をふくみ、長江をみ、浩浩湯湯こうこうしょうしょうとして、横に際涯さいがいなし。

 朝暉夕陰ちょうきせきいん気象きしょう万千ばんせんたり。

 これすなわち岳陽楼の大観たいかんなり。

 前人ぜんじんじゅつそなわれり。

 しかればすなわち北は巫峽ふきょうに通じ、南は瀟湘しょうしょうきわむ。

 遷客騒人せんかくそうじん、多く此にあつまる。

 物をるのじょうことなる無きをんや。


【現代口語訳2】


 巴陵の素晴らしい景観と言えば、洞庭湖に尽きている。

 遠い山々をくわえ込み、長江の流れを呑み込んで、湖水は広々と溢れんばかり、横に果てしなく広がっている。

 朝は朝日に照り映え、夕方には雲がかかり、その様子は千変万化せんぺんばんかして尽きることがない。

 これが岳陽楼からの雄大な眺めであって、これについては、先人たちが言い尽くしている。

 北は巫峽ふきょうに通じ、南は瀟水しょうすい湘江しょうこうにつながっているので、地方に流された人々や志を得ない文人など、

 この地を訪れる者が絶えなかった。

 しかし眺めた人々の気持ちは、それぞれの境遇に応じて様々であったに違いない。


【原文3】


 若夫霪雨霏霏、連月不開、陰風怒號、濁浪排空。

 日星隱耀、山岳潛形、商旅不行、檣傾檝摧。

 薄暮冥冥、虎嘯猿啼、登斯樓也、則有去國懷鄉、憂讒畏譏、滿目蕭然、感極而悲者矣。


【書き下し文3】


 しそれ霪雨霏霏いんうひひとして、連月れんげつひらかず、陰風怒号いんぷうどごうし、濁浪だくろうそらはいした。

 日星にっせいひかりをかくし、山岳さんがく形をひそめ、商旅しょうりょかず、ほぼしらかたむかじくだけた。

 薄暮冥冥はくぼめいめいとして、とらうそぶき猿くとき、

 この楼にのぼれば、すなわち国を去ってきょうおもい、ざんうれそしりをおそれ、

 満目蕭然まんもくしょうぜんとして、かんきわまって悲しむ者あらん。


【現代口語訳3】


 長雨がしとしとと降り続いて、一月余りも止まず、冷たい風が吹き荒れて、にごった波が空に逆巻いている。

 太陽も星も雲にとざされ、山々も姿を隠し、旅人の姿も見えない。

 舟の帆柱も傾き、かじも壊れている。

 夕暮れが迫って薄暗くなり、虎がえ、猿が啼く声が聞こえてくる。

 そんなときこの楼に登れば、遠く離れた故郷を思い、讒言ざんげんや非難を恐れて、

 目にするもの全てがもの悲しく感じられ、感極まって悲しみの情に突き動かされる者もいたに違いない。


【原文4】


 至若春和景明、波瀾不驚。

 上下天光、一碧萬頃、沙鷗翔集、錦鱗游泳、岸芷汀蘭、鬱鬱青青。

 而或長煙一空、皓月千里、浮光耀金、靜影沉璧、漁歌互答、此樂何極。

 登斯樓也、則有心曠神怡、寵辱皆忘、把酒臨風、其喜洋洋者矣。


【書き下し文4】


 若きに至りては、はるけいあきらかに、波瀾はらん驚かず。

 上下天光しょうかてんこう一碧萬頃いっぺきばんけい沙鷗しょうおう翔集しょうしゅうし、錦鱗きんりん游泳ゆうえいし、岸芷汀蘭がんしていらん郁郁青青いくいくせいせいとす。

 あるい長煙一空ちょうえんいっくう皓月千裡こうげつせんり浮光ふこうきんおどらし、

 静影せいえいへきを沈め、漁歌ぎょか互ひにこたうるがごときに至りて、この楽しみ何ぞきわまらん。

 このろうに登れば、すなわち心むなくしてしんよろこび、寵辱ちょうじょくみな忘れ、

 酒をって風にのぞみ、その喜び洋洋よようたる者らん。


【現代口語訳4】


 春ともなれば、気候も穏やかに風景も明るくなり、水面には波も立たない。

 空も水も光にあふれ、見渡す限り青一色である。

 砂浜にはかもめが群れ、湖水には美しい魚が泳ぎまわり、岸辺の香草こうそう蘭草らんそうは青々と茂って、

 ふくよかな香りを放っている。

 日暮れには、空一面に霞がたなびき、白い月が四方を照らし出し、波に反射してキラキラと揺れる。

 月が璧のような影を水面に落とし、すなどりの舟からは掛け合いの歌が流れてくる。

 ああ、なんと楽しいことではないか。

 そんなときこの楼に登れば、心はのびのびして喜びにあふれ、名誉も恥辱もすべて忘れ去り。

 杯を手にしてそよ風を受けながら、大きな喜びにひたる者もいたにちがいない。


【原文5】


 嗟夫。予嘗求古仁人之心、或異二者之為、何哉。

 不以物喜、不以己悲。

 居廟堂之高、則憂其民、處江湖之遠、則憂其君。

 是進亦憂、退亦憂。然則何時而樂耶。

 其必曰「先天下之憂而憂、後天下之樂而樂歟」。

 噫、微斯人、吾誰與歸。

                 時六年九月十五日


【書き下し文5】


 ああかついにしえ仁人じんじんの心を求むるに、あるい二者にしゃしわざに異なるは何ぞや。

 物をもって喜ばず、おのれもって悲しまず。

 廟堂びょうどうの高きに居りては、すなわちそのたみうれひ、

 江湖こうこの遠きにりてはすなわちそのきみうれう。

 これ進むもまた憂ひ、退しりぞくも亦た憂うるなり。

 しからばすなわいずれの時にしてたのしまんや。

 それ必ず「天下の憂ひに先んじて憂ひ、天下の楽しみに後れて楽しむ」とはんか。

 ああ、このひとかりせば、われだれにかせんや。

    時に、〔慶暦〕六年九月十五日なり。


【現代口語訳5】


 ああ、私はかつて仁人の心について考えてみたが、岳陽楼に登って悲しんだ人、喜んだ人のどちらとも違っているように思う。

 どこが違っているのか、仁人は外界がいかいがどうあろうと喜ぶことはないし、自分がどうなろうと悲しむこともない。

 朝廷にあっては人民のことを心配し、にあっては君主のことを心配するのである。

 つまり、進んで仕えるときも心配し、退いて野にあるときも心配するのである。

 では、いつになったら楽しむときが持てるのか。

 その人は必ずや、「心配ごとは人民より先に心配し、楽しみごとは人民よりも後れて楽しむのだ」

 と、言うに違いない。

 ああ、こういう人物が居てくれなかったら、私は誰に従って行けばよいのか。



【語彙説明】

〇進士(しんし) ・・・ チャイナ、南宋から清の時代、科挙の登第者(合格者)を「進士」と呼んだ。




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 岳陽楼の記(がくようろうのき)   作:范仲淹はんちゅうえん

2024年02月11日 15時05分42秒 | 受験・学校・学問

 岳陽楼の記(がくようろうのき)   作:范仲淹はんちゅうえん


【還暦ジジイの説明】

 チャイナ、北宋ほくそうの范仲淹が書いた360字の散文。慶暦けいれき六年(1046年)の作。

 范仲淹と同年の進士・滕宗諒とうそうりょう、字は子京しけいが湖南省の岳州に流され、岳陽楼を改修したとき、

記念のため、同じく左遷させんされていた范仲淹に依頼したもの。

 後半の「嗟夫ああ」から始まる部分は、優れた人物は環境や個人、また、そのときどきの立場によって感情を左右されてはならず、

 「天下の憂いに先んじて憂え、天下の楽しみに後れて楽しむ」ものである、と謳っている。

 いわゆる「先憂後楽せんゆうこうらく」と約され、政治家としての守るべき態度として有名である。

 東京都文京区の「後楽園」の名も、この名文句から水戸光圀みとみつくに公が命名したのだそうだ。



【原文1】


  岳陽樓記  范仲淹


 慶曆四年春、滕子京謫守巴陵郡。

 越明年、政通人和、百廢倶興。

 乃重修岳陽樓、增其舊制、刻唐賢今人詩賦於其上、屬予作文以記之。


【書き下し文1】


  岳陽楼の記(がくようろうのき) 作:范仲淹(はんちゅうえん)


 慶歷けいれき四年春、滕子京とうしけいたくせられて、巴陵郡はりょうぐんしゅたり。

 越えて明年みょうねんまつりごとつう人和ひとわし、百廢ひゃくはいともおこる。

 すなわち重ねて岳陽楼を修め、其の旧制きゅうせいし、

 唐賢今人とうけんきんじん詩賦しふをその上に刻まんとす。

 に文を作りて、もっこれを記す。


【現代口語訳1】


 慶暦四年春、わが友滕子京は罪を得て巴陵郡の長官に左遷された。

 しかし、一年もしないうちに、大いに治績があがって治安も回復し、地域の面目を一新した。

 この機会に岳陽楼を修復して旧来の造りに戻し、壁に唐代の賢者や現代人の詩文を刻み込み、

 ついてはその趣旨を記した文章を書いて欲しいと、私に頼んできた。

 そこでこの一文を認めたのである。


【原文2】


 予觀夫巴陵勝狀、在洞庭一湖。

 銜遠山、吞長江、浩浩湯湯、橫無際涯。

 朝暉夕陰、氣象萬千。

 此則岳陽樓之大觀也。前人之述備矣。

 然則北通巫峽、南極瀟湘、遷客騷人、多會於此。

 覽物之情、得無異乎。


【書き下し文2】


 、かの巴陵はりょう勝状しょうじょうを観るに、洞庭の一湖いっこに在り。

 遠山をふくみ、長江をみ、浩浩湯湯こうこうしょうしょうとして、横に際涯さいがいなし。

 朝暉夕陰ちょうきせきいん気象きしょう万千ばんせんたり。

 これすなわち岳陽楼の大観たいかんなり。

 前人ぜんじんじゅつそなわれり。

 しかればすなわち北は巫峽ふきょうに通じ、南は瀟湘しょうしょうきわむ。

 遷客騒人せんかくそうじん、多く此にあつまる。

 物をるのじょうことなる無きをんや。


【現代口語訳2】


 巴陵の素晴らしい景観と言えば、洞庭湖に尽きている。

 遠い山々をくわえ込み、長江の流れを呑み込んで、湖水は広々と溢れんばかり、横に果てしなく広がっている。

 朝は朝日に照り映え、夕方には雲がかかり、その様子は千変万化せんぺんばんかして尽きることがない。

 これが岳陽楼からの雄大な眺めであって、これについては、先人たちが言い尽くしている。

 北は巫峽ふきょうに通じ、南は瀟水しょうすい湘江しょうこうにつながっているので、地方に流された人々や志を得ない文人など、

 この地を訪れる者が絶えなかった。

 しかし眺めた人々の気持ちは、それぞれの境遇に応じて様々であったに違いない。


【原文3】


 若夫霪雨霏霏、連月不開、陰風怒號、濁浪排空。

 日星隱耀、山岳潛形、商旅不行、檣傾檝摧。

 薄暮冥冥、虎嘯猿啼、登斯樓也、則有去國懷鄉、憂讒畏譏、滿目蕭然、感極而悲者矣。


【書き下し文3】


 しそれ霪雨霏霏いんうひひとして、連月れんげつひらかず、陰風怒号いんぷうどごうし、濁浪だくろうそらはいした。

 日星にっせいひかりをかくし、山岳さんがく形をひそめ、商旅しょうりょかず、ほぼしらかたむかじくだけた。

 薄暮冥冥はくぼめいめいとして、とらうそぶき猿くとき、

 この楼にのぼれば、すなわち国を去ってきょうおもい、ざんうれそしりをおそれ、

 満目蕭然まんもくしょうぜんとして、かんきわまって悲しむ者あらん。


【現代口語訳3】


 長雨がしとしとと降り続いて、一月余りも止まず、冷たい風が吹き荒れて、にごった波が空に逆巻いている。

 太陽も星も雲にとざされ、山々も姿を隠し、旅人の姿も見えない。

 舟の帆柱も傾き、かじも壊れている。

 夕暮れが迫って薄暗くなり、虎がえ、猿が啼く声が聞こえてくる。

 そんなときこの楼に登れば、遠く離れた故郷を思い、讒言ざんげんや非難を恐れて、

 目にするもの全てがもの悲しく感じられ、感極まって悲しみの情に突き動かされる者もいたに違いない。


【原文4】


 至若春和景明、波瀾不驚。

 上下天光、一碧萬頃、沙鷗翔集、錦鱗游泳、岸芷汀蘭、鬱鬱青青。

 而或長煙一空、皓月千里、浮光耀金、靜影沉璧、漁歌互答、此樂何極。

 登斯樓也、則有心曠神怡、寵辱皆忘、把酒臨風、其喜洋洋者矣。


【書き下し文4】


 若きに至りては、はるけいあきらかに、波瀾はらん驚かず。

 上下天光しょうかてんこう一碧萬頃いっぺきばんけい沙鷗しょうおう翔集しょうしゅうし、錦鱗きんりん游泳ゆうえいし、岸芷汀蘭がんしていらん郁郁青青いくいくせいせいとす。

 あるい長煙一空ちょうえんいっくう皓月千裡こうげつせんり浮光ふこうきんおどらし、

 静影せいえいへきを沈め、漁歌ぎょか互ひにこたうるがごときに至りて、この楽しみ何ぞきわまらん。

 このろうに登れば、すなわち心むなくしてしんよろこび、寵辱ちょうじょくみな忘れ、

 酒をって風にのぞみ、その喜び洋洋よようたる者らん。


【現代口語訳4】


 春ともなれば、気候も穏やかに風景も明るくなり、水面には波も立たない。

 空も水も光にあふれ、見渡す限り青一色である。

 砂浜にはかもめが群れ、湖水には美しい魚が泳ぎまわり、岸辺の香草こうそう蘭草らんそうは青々と茂って、

 ふくよかな香りを放っている。

 日暮れには、空一面に霞がたなびき、白い月が四方を照らし出し、波に反射してキラキラと揺れる。

 月が璧のような影を水面に落とし、すなどりの舟からは掛け合いの歌が流れてくる。

 ああ、なんと楽しいことではないか。

 そんなときこの楼に登れば、心はのびのびして喜びにあふれ、名誉も恥辱もすべて忘れ去り。

 杯を手にしてそよ風を受けながら、大きな喜びにひたる者もいたにちがいない。


【原文5】


 嗟夫。予嘗求古仁人之心、或異二者之為、何哉。

 不以物喜、不以己悲。

 居廟堂之高、則憂其民、處江湖之遠、則憂其君。

 是進亦憂、退亦憂。然則何時而樂耶。

 其必曰「先天下之憂而憂、後天下之樂而樂歟」。

 噫、微斯人、吾誰與歸。

                 時六年九月十五日


【書き下し文5】


 ああかついにしえ仁人じんじんの心を求むるに、あるい二者にしゃしわざに異なるは何ぞや。

 物をもって喜ばず、おのれもって悲しまず。

 廟堂びょうどうの高きに居りては、すなわちそのたみうれひ、

 江湖こうこの遠きにりてはすなわちそのきみうれう。

 これ進むもまた憂ひ、退しりぞくも亦た憂うるなり。

 しからばすなわいずれの時にしてたのしまんや。

 それ必ず「天下の憂ひに先んじて憂ひ、天下の楽しみに後れて楽しむ」とはんか。

 ああ、このひとかりせば、われだれにかせんや。

    時に、〔慶暦〕六年九月十五日なり。


【現代口語訳5】


 ああ、私はかつて仁人の心について考えてみたが、岳陽楼に登って悲しんだ人、喜んだ人のどちらとも違っているように思う。

 どこが違っているのか、仁人は外界がいかいがどうあろうと喜ぶことはないし、自分がどうなろうと悲しむこともない。

 朝廷にあっては人民のことを心配し、にあっては君主のことを心配するのである。

 つまり、進んで仕えるときも心配し、退いて野にあるときも心配するのである。

 では、いつになったら楽しむときが持てるのか。

 その人は必ずや、「心配ごとは人民より先に心配し、楽しみごとは人民よりも後れて楽しむのだ」

 と、言うに違いない。

 ああ、こういう人物が居てくれなかったら、私は誰に従って行けばよいのか。



【語彙説明】

〇進士(しんし) ・・・ チャイナ、南宋から清の時代、科挙の登第者(合格者)を「進士」と呼んだ。




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全日制で府外参加は13校にとどまる 大阪府の高校授業料無償化制度 新たに兵庫2校と京都1校が加入意向 吉村知事「加入校増加目指していけたら」

2023年12月22日 11時40分24秒 | 受験・学校・学問

全日制で府外参加は13校にとどまる 大阪府の高校授業料無償化制度 新たに兵庫2校と京都1校が加入意向 吉村知事「加入校増加目指していけたら」

全日制で府外参加は13校にとどまる 大阪府の高校授業料無償化制度 新たに兵庫2校と京都1校が加入意向 吉村知事「加入校増加目指していけたら」

 大阪府外から参加校は伸び悩んでいるようです。

 大阪府は、高校の授業料を所得制限なしに年間63万円まで補助し、超える分は学校側に負担を求める制度を来年度から段階的に始める方針です。

 府は、近畿の各府県に制度への参加の意向を確認していて21日、新たに兵庫県の私立高校2校と、京都府の1校が加入する意向であることが分かりました。

 大阪府外の全日制高校の参加は、和歌山県の8校、奈良県の2校とあわせて、13校にとどまっています。

 (大阪府・吉村洋文知事)「こういった(授業料)無償化の理念・趣旨に賛同してくれた学校に感謝を申し上げたい。少しずつでも着実に、丁寧に説明もしながら、また加入校が増えることを目指していけたらと思います」

 これで、近畿6府県であわせて107校の全日制高校が、参加の意向を表明したことになります。

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 PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) ... 「Fランク大学に通うくらいなら高卒で就職したほうがいい」人手不足の裏で進行する偏差値至上主義の崩壊.

2023年11月28日 13時25分41秒 | 受験・学校・学問
.「Fランク大学に通うくらいなら高卒で就職したほうがいい」人手不足の裏で進行する偏差値至上主義の崩壊.

プレジデントオンライン

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「Fランク大学に通うくらいなら高卒で就職したほうがいい」人手不足の裏で進行する偏差値至上主義の崩壊
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/wnmkm

少子高齢化で若手人材が不足している。高卒者の求人倍率はバブル経済期直後以来の高水準だ。文筆家の御田寺圭さんは「高卒者の求人倍率上昇は、日本の偏差値至上主義的な世界観が終わり始めていることを示している。『大卒でなければ社会人として務まらない』というのは、人余りの時代に作られた神話だったのだ」という――。

【この記事の画像を見る】
■東京大学前で受験生たちを襲った事件

 去年1月、大学入学共通テストの当日に会場となっていた東京大学前で受験生を刃物で刺傷した通り魔事件があったのを覚えているだろうか。その事件の犯人は当時高校2年生だった男子生徒で、偏差値至上主義的な考え方にとりつかれて猛勉強して高偏差値の大学を目指すも、成績が伸び悩み自暴自棄になっての犯行であることが裁判のなかで明らかになっていった。

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「偏差値や学歴、職業で人を上下に見ていた部分があった」。東京大前で2022年1月、3人を刺したなどとして、殺人未遂などの罪に問われた当時名古屋市の私立高校2年だった男(19)の裁判員裁判。東京地裁(中尾佳久裁判長)は17日、懲役6年以上10年以下(求刑懲役7年以上12年以下の不定期刑)の判決を言い渡した。
両親に対する証人尋問で浮かんだのは、中学時代から勉強にのめりこむようになり、高校受験のころから偏差値にこだわるようになった姿。父親は「人の意見に耳を傾けるような正常なコミュニケーションがとれず、自己肯定感が低い部分があった」と述べた。
(中略)
◆親にも出身大学を持ち出して反論
勉強漬けの日々のなか、両親がちょっとしたことで諭しても、2人の出身大学を持ち出し「○○大学出身の人の意見は聞かない」などと見下すように。父親が「人間は偏差値じゃない。テストの出来不出来で、人の(評価に)差をつけてはいけない」と言っても、響いていない様子だった。
(東京新聞「『人間は偏差値じゃない』諭したのに…息子は東大前で受験生たちを刺した 両親の後悔」2023年10月16日より引用)
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■「偏差値」はある種の呪縛になっている

 本当に哀しいニュースだ。

 大学受験という大きな「関門(コンプレックスとでもルビを振りたい)」に身も心も吞み込まれ、入学した大学・学部・学科の偏差値こそが人間の価値や序列を決めるという感覚に支配されてしまう人は、東大で凶行に及んだ彼にかぎらず世の中に少なからずいる。

 むろん大学を卒業して世の中に出ると、たいていの人は自分の学歴をだれかに話したりそもそも自分でもわざわざ思い出したりする機会もなくなっていくのが自然だが、なかには大学を卒業してから何年たっても自分の卒業大学や他人の出身大学の偏差値の話を四六時中やめられないような人も本当に一定数いる。今日の日本社会において「偏差値」というのはある種の呪縛になってしまっていることを痛感させられる。

 通り魔的な犯罪をしでかすほど偏差値に狂わされてしまう人が日本社会には依然としているその一方で、あまりにも皮肉で虚しいことだが「偏差値至上主義」的な世界観は、名実ともにいよいよ終わりの兆しを見せている。

■高卒者の求人倍率はバブル期直後以来の高水準

 ご存知の方も多いだろうが、いま世の中では若者向けの求人が空前の売り手市場となっている。大卒者だけではその需要をとてもではないが賄いきれず、高卒者にまでその採用の幅を広げる企業がそれなりの規模と知名度を持つ企業のなかにも現れるようになっている。

 私が比喩や誇張で言っているのではなく、2023年現在の高卒求人は全国各地の都市部を中心にして、驚くべきことにあの「昭和」の時代に匹敵するレベルにまで増加している。近年の物価上昇を受けて給与水準も高まっている。

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少子高齢化で大卒者の就活は学生優位の「売り手市場」となり、高卒者を対象に採用を始める中堅企業も出てきた。令和時代の「金の卵」を巡り、初任給を大卒者と同等にする動きもあるが、高卒者の求人倍率は50年ほど前の高度経済成長期、バブル経済期直後以来となる高水準だ。若手人材の確保に奔走する企業に就活探偵団が迫った。
(日本経済新聞「高卒採用者は令和の『金の卵』 バブル期以来の求人倍率」2023年10月4日より引用)
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 企業側からすれば理工系や医薬系といった専門的スキルを持つ人材は別として、とりわけ文系の人材については「あえて大卒者を採用しなければならない理由」がそれほどないことに気づき始めている。

■わざわざ文系大卒者を採る理由はない

 卒業大学の偏差値は学習能力や知的情報処理能力の高さをある程度は担保するという評価はできるかもしれないが、それはべつに卒業高校の偏差値でも十分に代用可能だし、そもそも文系にかぎっていえば、時間割が組まれて規則正しい生活をだれもが送っている高卒時点が「社会人適応性」のピークである人もそう珍しくはない(高校生の時分とくらべて、不規則で自堕落な生活を送ってしまう大学生は高偏差値の大学生でも少なくない)。

 とりわけ営業職や接客職など対人コミュニケーションを主とした企業が「優秀で勤勉な、高校を卒業したばかりの若者」を欲しがるようになるのは当然の帰結だったと言えるのかもしれない(もちろん高卒者だってなるべく学業成績が良好な「ええとこの高校」が好まれる傾向はあるだろうが、しかし大学ほど厳然たる偏差値至上主義ではない)。大学側が行っている大学教育が、現代の企業が欲しがる人材と必ずしもマッチしておらず、また世の中のニーズに応じて教育をアップデートしなかったことのツケと見ることもできるかもしれない。

 いずれにしても、わざわざ文系の大卒者を採用しなければならない理由がどんどん薄れていくにつれて高卒者に対する労働需要は高まっており、それは偏差値至上主義的な世界観の大前提となっていた「高偏差値でなければまともな仕事に就けない・まともな稼ぎを得られない」という物語を急速に突き崩していることは事実だ。

■「偏差値至上主義」は、人余りの時代の共同幻想だった

 偏差値至上主義とは「人余りの時代」だからこそ実効性があった共同幻想だったのだ。

 たとえば1990年代前半から2000年代前半に大学を卒業した初代氷河期世代は、同学年の人口の絶対数が多かった。結果として学歴競争がいまよりずっと苛烈だった時代でもあったのだが、デフレ型の不況によって「人余り(労働力の供給過剰)」が起こってしまってもいた。同学年に150~200万人もいてダブついていた人材を文字どおりの“ふるい”にかけて選別するために有効だったのが、出身大学のネームバリューや偏差値であった。だからこそ、この時代に一気に学歴競争は噴出して「偏差値至上主義」が世の中のヘゲモニーを握り、その余韻は都心部で色濃く残っている。

 だが、ご存知のとおり現在はかつての「人余り不況期」とはまったく様相が異なっている。

 少子化は当時よりもずっと加速しており、事業の好調にともなう事業展開の拡大を企図しても、現場で働いてくれる人手がまったく足りていない状況だ。人手不足のせいで会社や店が休業したり倒産したりする、就職氷河期時代には考えられなかったような事態も当たり前に見聞きするようになった。皆さんの暮らす街でも「人手不足のために休業します」という店先の張り紙をしばしば見るようになったのではないだろうか。掲示されたアルバイトの求人票も時給がどんどん上昇している。

■大卒と比べて「教育にかかるコストに差は感じない」

 先述したとおり、これまで「大卒必須」としていた企業でも、そうしてしまうともはや人が集まらないためその学歴要件を緩和し、大卒並みの待遇や福利厚生はなるべく維持したまま高卒や専門卒でも門戸を開くような流れが生じている。そして実際に採用して働かせてみた人に話を聞けば「過去大卒の新卒を雇った時と、教育にかかるコストに大きな差は感じない」というのだから、これまで世の中に当たり前の前提とされていた大卒必須とはいったいなんだったのだろうかと思わずにはいられない。「大卒でなければ社会人として務まらない」とただなんとなくのムードが世の中にあっただけで、そこにはしっかりとした根拠などなかったのかもしれない。

 こうなってしまえば「偏差値が高くなければ雇ってもらえない」「まともな仕事を選べない」といった人余り時代につくられた神話はますますその真実性を失ってしまう。「偏差値がすべてではない」というのは、冒頭のニュースでも報じられた裁判でも実際に被告人の父が語った言葉のようだが、それはこれまでのような気休めではなく本当にそうなりつつある。受験生を襲撃した彼がもしあと10年遅く生まれていたら、世の中はもっと違う景色になっていたし、彼も偏差値に呪われることなどなかったかもしれない。

■“泥臭い”仕事を嫌い、事務系職種に殺到する文系人材

 長引くデフレ不況による人余りの時代につくられた「偏差値至上主義」的な神話は、若い労働力が加速的に不足する時代に直面し、急速にほころびを見せている。

 上述したように高卒者の求人は昭和の時代を彷彿とさせる高水準である。とりわけ宿泊業や運輸配送業や飲食サービス業や建設業といった業種では若い人材が猛烈に不足しており、賃上げや福利厚生の拡充あるいは教育制度の見直しによって人材確保に躍起になっている。

 だがこれらの採用枠は、下手に高等教育を受けてしまった文系人材では選びにくい仕事でもあるだろう。なぜならプライドが傷つくからだ。

 中途半端に偏差値の高い文系の学生には、そうした“泥臭い”匂いのする仕事は「学のある人間がやるような仕事ではない」という観念や自尊心があるせいでなかなか選ばれないようだ。かれらはそうした泥臭い仕事を嫌がり、その代わりによりにもよって人手不足の時代でも猛烈な買い手市場のまま推移する都市部の事務職に殺到している〔ちなみに厚生労働省のデータによれば事務系職種の現在の有効求人倍率は0.32である(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年9月)」2023年10月31日)〕。

■学歴コンプレックスを持つ文系が割を食う時代

 おそらくこれからの時代は、偏差値至上主義的な神話コンプレックスを強固に内面化しているノースキルの文系がもっとも割を食う世の中へと変わっていくことになるだろう。別に大卒文系でなければ務まらない仕事は少ない。あったとしても先述したとおりそのポジションは求職者が飽和状態になっており雇用流動性も低い。その最たる例が出版業やテレビ業で、これは高偏差値文系学生にとって最高峰ともいえる憧れの就職先だが、倍率は毎年500倍近いとも言われている。

 大学文系学部で過ごす4年という若い時間のキャリア的損失を埋められるような学生は、一部の超高偏差値・超エリート層を除けばそれほど多くない。とくに、毎年定員割れを起こすいわゆるFランク大学に通うくらいなら(すなわち、Fランク大なのに大卒者というプライドがついて就労可能性の幅を自発的に狭めてしまうくらいなら)活況を呈する高卒の売り手市場にさっさと身を投じてしまうか、あるいは専門学校で「手に職」をつける方がよほど合理的でさえあるだろう。

■「若い労働力」のプレミアが飛躍的に高まる時代だ

 この記事がリリースされる11月といえば、大学受験でいえば「最後の追い込み」の時期に突入している。いまもきっと日本のどこかでは「いい大学に入らないと、まともな人生が送れない」という世界観を強固に内面化した子どもたちが、不安と期待、なにかに追い立てられるような焦燥感や恐怖感を入り混じらせた感情を抱えながら、必死に机に向かっているのかもしれない。

 だが世の中は過渡期である。「大学を出なければ社会の正規ルートに乗れない」というデフレの時代の幻想は終わり、社会は変わりつつある。プライドや自尊心にさえ折り合いをつければ、いくらでも若者が身を立てる道は見つけることができる。

 少子化の時代はたしかに社会保障の側面では若者にとって暗雲立ち込める時代だが、しかしこの時代は同時に、「若い労働力」のプレミアが飛躍的に高まる時代でもある。

 問答無用の少子化とインフレの時代には、自分たち若者の労働力が市場では喉から手が出るほど欲しい「稀少財」としてもてはやされる明るい側面もあるのだ。そう、それは若者が「金の卵」として重宝された時代の形を変えた再演である。

 「偏差値こそが人生」「偏差値が高くなければ人生はまともに歩めない」という共同幻想が支配した時代は本当に終わりを迎えようとしている。スマートではないかもしれないしカッコよくもないかもしれないが、泥臭く強かに生きることを厭わずに臨めば、その想いに応えてくれるような場所や機会は着実に増えている。

 これから世に出る若者にとって、いまの日本はなにもかもが絶望というわけではなく、見方を変えればチャンスも広がっている。



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御田寺 圭(みたてら・けい)
文筆家・ラジオパーソナリティー
会社員として働くかたわら、「テラケイ」「白饅頭」名義でインターネットを中心に、家族・労働・人間関係などをはじめとする広範な社会問題についての言論活動を行う。「SYNODOS(シノドス)」などに寄稿。「note」での連載をまとめた初の著作『矛盾社会序説』(イースト・プレス)を2018年11月に刊行。近著に『ただしさに殺されないために』(大和書房)。「白饅頭note」はこちら。
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文筆家・ラジオパーソナリティー 御田寺 圭

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4つの府立高校の再来年度募集停止、元教員らが撤回求め要望書と9500人分の署名提出 大阪

2023年11月13日 13時09分18秒 | 受験・学校・学問

4つの府立高校の再来年度募集停止、元教員らが撤回求め要望書と9500人分の署名提出 大阪

読売テレビニュース11/11(土)11:38

4つの府立高校の再来年度募集停止、元教員らが撤回求め要望書と9500人分の署名提出 大阪

読売テレビニュース

 

 再来年度から募集を停止する予定の大阪府立の4つの高校について、元教員らでつくる団体が教育委員会に撤回を求めました。

 今年8月、大阪府教育委員会は少子化などの影響で3年以上続けて定員割れが続いている西野田工科高校など4つの工業高校について再来年度から入学者の募集を停止する案を示しています。10日、元教員らでつくる団体は、府が示している案の撤回を求める要望書と約9500人分の署名を教育委員会に提出しました。

 大阪の高校を守る会・奥野 喜久夫 会長

「従業員確保は大事なこと。その担い手を作っているのが工科高校。大阪の産業を守るためにも見直していただきたい」

 

 府の再編整備案は来週行われる教育委員会の会議で正式決定される予定です。

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定員割れ私立大→公立化 「退場すべき大学を税金で延命」批判も ... 公立大が今春、100校に達した。多くの公立大が立地する地方では、都市部以上に少子化が

2023年05月29日 12時39分14秒 | 受験・学校・学問
6 時間前 — 定員割れ私立大→公立化 「退場すべき大学を税金で延命」批判も ... 公立大が今春、100校に達した。多くの公立大が立地する地方では、都市部以上に少子化が ...
地方自治体の財政負担を良く考えるべきです。
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募集停止ドミノが続く大学・短大・2~2012年の危険62校のその後とは 個人記事、公開。2012年に危なかった大学の62校のその後をまとめました。

2023年05月29日 12時29分18秒 | 受験・学校・学問

NewsTwit
https://newstwit.jp › 26220967
募集停止ドミノが続く大学・短大・2~2012年の危険62校のその後とは
個人記事、公開。2012年に危なかった大学の62校のその後をまとめました。リストラ策については意外な策が判明。

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ABEMA TIMEShttps://times.abema.tv › ... › 国内海外旅行に行けない子は惨め?「貧困層ほど部活参加率は低い」

2023年05月21日 15時12分05秒 | 受験・学校・学問
ABEMA TIMEShttps://times.abema.tv › ... › 国内海外旅行に行けない子は惨め?「貧困層ほど部活参加率は低い」親の所得で変わる子どもの“ ...
 
6 時間前 — 旅行やレジャーで楽しい思い出を作れる子どもがいる一方、懸念されているのが“体験格差”だ。公益社団法人「チャンス・フォー・チルドレン」の調査によると ...
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国試ストレート合格率、私立大の3分の1が50%以下 最低で14.5%の大学も

2023年01月24日 15時42分09秒 | 受験・学校・学問
 
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国勢調査の学歴に「小卒」新設したら全国で80万人…50代以下は外国人が過半数の2万人

2022年06月20日 09時26分22秒 | 受験・学校・学問

 

国勢調査の学歴に「小卒」新設したら全国で80万人…50代以下は外国人が過半数の2万人

国勢調査の学歴に「小卒」新設したら全国で80万人…50代以下は外国人が過半数の2万人

読売新聞 【読売新聞社】

(読売新聞)

 中学校を卒業できず、小学校卒業が最終学歴の外国人が全国に約2万人いることが、最新の国勢調査で分かった。政府は、外国人が働きながら学びやすい夜間中学の設置を後押しするなど、教育機会の確保に努める方針だ。

 2020年の国勢調査では、最終学歴の回答項目に「小学校」を初めて設けた。先月公表された調査結果によると、20年10月時点で小学校卒業が最終学歴の人は、全国で80万4293人。年代別では、80歳代以上が9割を占めた。戦前の教育制度の違いや戦後の混乱などが背景にあるとみられる。

 外国人が占める割合は、全体の2・5%(1万9731人)だったが、50歳代以下に限ると、いずれの世代でも外国人が日本人を上回った。十分な教育を受けないまま、働きながら生活する外国人も少なくないとみられる。

 政府は、義務教育を受けられなかった人の受け皿として、市町村や都道府県などが設置する夜間中学を重視している。夜間中学は今年4月現在、15都道府県に40校ある。政府は26年までに、全ての都道府県と政令市に夜間中学を設置する目標を掲げている。』

 

国際化時代の日本の悲しい学校教育の現実です。

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【独自】1年生の4割が自主退学 パワハラか、学校は否定 千葉県南部の看護系学校 元生徒ら県に相談も…

2022年02月28日 15時43分02秒 | 受験・学校・学問

【独自】1年生の4割が自主退学 パワハラか、学校は否定 千葉県南部の看護系学校 元生徒ら県に相談も…
2/28(月) 7:35配信千葉日報

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千葉日報オンライン
イメージ画像(本文とは直接関係ありません)

 千葉県南部の看護系学校で、本年度入学した1年生38人のうち約4割に当たる15人が自主退学したことが、千葉日報社の取材で分かった。複数の元生徒は取材に「教員によるパワーハラスメントがあった」と証言、改善を求め県に相談したという。学校側は退学の事実は認めたが、パワハラについては否定した。コロナ禍で看護師不足が叫ばれる中、地域医療の担い手育成の現場が揺れている。

 取材に応じた元生徒らは、特定の女性看護教員から「あんたみたいなばかに教えることはない」などとののしられたり、同級生の前で「あの高校は勉強しなくてもテストをクリアできる」などと出身校をからかわれたという。

 このほか、「校内で書類をテーブルに投げ付けられた」り、課題の提出が遅れ、謝罪し再提出したところ「もう留年だから」と言い渡されたとの証言も。髪型など容姿について笑われた生徒もいるという。

 生徒の中には精神面や体調の不良を訴えるケースもあり、取材に応じた1人は「医療従事者を目指している人が、あのような指導で夢を諦めさせられるのは腹立たしい」と悔しさをにじませた。

 これらの証言に対し、学校側は千葉日報社の文書による取材に答え、15人の退学を認めた上で「退学はとても残念だが、正当な理由で本人が決めたこと」と説明。

 一方で、パワハラについては「そのような事実はありません」と否定。「教員も何とか資格試験に合格させるように努力をしてきた」などとした。

 一方、医療技術者養成校の指導などに当たる県医療整備課は、生徒らから複数回にわたり校内でのパワハラについて相談を受け、学校側に連絡を取ったことを認めたが、「法令上、細かい人間関係など個別案件は指導できない」と説明した。

 厚生労働省がまとめた看護師等学校養成所に関する「入学状況及び卒業生就業状況調査」によると、同種の養成校で退学や留年などで卒業しなかった人の2020年度全国平均は17・5%、千葉県は8・4%だった。』

看護師養成学校で有ろうとどんな学校でも、教員は、教育者です。
若い生徒を教えながら、自分も学事を忘れています。
日々教育現場に生きた教材有りです。
技術を教えること以外、人間を育てる事が大切です。

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