前から思っていたのですが、日本の首相や官房長官は、
マスコミ対応に時間を使いすぎのように思います。
田中秀征さんが「ダイヤモンド」のオンラインサイトに、
以下のように書かれています。
http://diamond.jp/articles/-/14607
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野田首相は、記者たちの「朝の声掛け」や「ぶら下がりインタビュー」に応じていない。
だから首相が発信する機会が少ないと批判するメディアもある。
しかし、私はそれを大きな理由だとは思っていない。
「朝の声掛け」も「ぶら下がり」も原則として応じる必要はない。もちろん特別の場合は別である。
「ぶら下がり」でどう答えるかじっくり考えることは首相にとって無駄な場合が多く、記者たちにも同じように無駄である。双方ともに、そんな時間があったらもっと勉強すればよい。
そのかわり、首相は1週間に一度、少なくとも2週間に一度は、1時間ほど記者からの質問中心の定例記者会見を開くべきだ。そこでは、何らかの形でフリージャーナリストからの質問に答える機会もつくる必要がある。
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まったくその通りだと思います。
おそらく日本を除いては世界中で一国の政治指導者が、
こんなにメディア露出している国はないと思います。
オバマ大統領は月に数回しか記者会見してないでしょう。
毎朝、毎夕、マスコミの取材に応えるためには、
想定問答の作成等、相当の準備が必要になります。
準備しないと余計なこと言ったりしてしまいます。
総理のぶら下がり取材は、小泉総理が始めた仕組みですが、
小泉総理のような天才以外には活用できない仕組みです。
ふつうの総理大臣が真似をすると痛い目にあいます。
総理大臣としての説明責任を果たすという意味は、
毎朝毎夕マスコミの前に立つということではなく、
適時適切に国民に丁寧な説明をすることだと思います。
それには、せわしく立ったままのぶら下がり取材形式よりも
きちんと時間をとった記者会見こそが望ましいと思います。
ぶら下がりだとワンフレーズの答えが多くなってしまいますが、
記者会見なら背景まで丁寧に説明できる時間を確保できます。
記者とのやり取りもより充実したものになると思います。
スポーツの結果へのコメントとかどうでも良い質問もあり、
話題がなくてもムリして毎日ぶら下がり取材をやるのは、
取材する記者の側にも迷惑ではないかと思います。
また官房長官という政権のナンバー2にあたる大物政治家が、
午前と午後の2回も記者会見を開いているのも異常です。
内閣広報官とか官房副長官がそのうち1回を担当する等、
官房長官の負担軽減が必要だと思います。
官房長官は、月曜日の午前と金曜日の午後だけとか、
官房長官の定例記者会見は減らしてよいと思います。
もちろん緊急事態や重要政策の発表にあたっては、
官房長官が緊急記者会見を開くべきです。
官房長官は単なる「内閣の広報担当大臣」ではありません。
危機管理の司令塔であり、省庁間の利害調整の裁定者であり、
官邸主導の実動部隊の指揮官でもあります。
マスコミ対応はそれを専門とする人材を活用すべきです。
例えば、池上彰さんみたいなジャーナリスト出身で、
難しい課題をかみ砕いてわかりやすく説明できる人が、
内閣広報官になればよいのではないかと思います。
いまの総理と官房長官のマスコミ対応のあり方は、
見直していく必要があると強く思います。