Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

『4月の涙』

2011-05-01 21:02:58 | フィンランド

最寄り駅に大きなポスターがはってある。『4月の涙』、個性的なタイトルと思って近づいてみると、監督アク・ロウヒミエスとある。どうみてもフィンランド人の名前、「へぇ~、フィンランド映画」と立ち止まってしまった。少し前まではフィンランド映画=カウリスマキだったが、最近の話題作『ヤコブの手紙』をはじめ、フィンランド映画が頑張っている!

この『4月の涙』は、1918年に同じ国民同士が戦ったフィンランドの内戦で敵同士で出会った男女と愛を描いた作品。http://www.alcine-terran.com/namida/

(一般的なフィンランド国旗:雪の白と湖の青)

フィンランドには悲しい歴史がある。この映画の背景になっているフィンランド内戦は、おそらくフィンランド国民の最大の悲劇ともいえる。1917年12月、フィンランドは帝政ロシアの支配下から悲願の独立を果たしたが、国内はロシア革命の影響から社会改革を望む赤軍と、これに抵抗する白軍に分裂する。独立直後の1918年1月、両者の間で激しい内戦がおこる。当初赤軍側が首都ヘルシンキを手中にするなど優位に戦いを進めたが、3月に正規軍中心の白軍側が猛反撃。寄せ集め市民兵の赤軍はあっという間に敗北の道を進み、4月には首都ヘルシンキも陥落。5月赤軍の残党が国外に脱出し、白軍勝利で内戦は終わった。

 

(公式掲揚旗:国章のライオン紋章が入る)

内戦を経験した世代の話を聞いたことがある。1977年に留学していたとき、<独立60年祝賀番組>をTVで放映していた。フィンランド国旗が象徴的にはためき、シベリウスの<フィンランディア>が流れていた。ボランティアしていた老人施設でテレビを観ていた私に、90歳をこえるヴィヒトリおじいさんは、「独立はフィンランド国民同士が闘った悲しい歴史がある」と語った。「ロシアとの戦いより悲しい、フィンランド人同士の戦争」と。ヴィヒトリは市民兵と言っていたから、今思えば、負けた赤軍だったのかもしれない。ヴィヒトリと私のやりとりを聞いていたほかの老人たちも、言葉少なく頷いていたのが、今でも忘れられない。

(軍旗、軍艦旗)

5月7日(土)から公開。シネマート新宿、銀座シネパトス他にて公開。