Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

カラオケで聴音

2007-05-15 18:40:25 | 音楽療法
失語症のAさんからのリクエスト2曲。
<川の流れのように> <若いってすばらしい>

Aさんが老健デイケア(通所リハビリ)に通い始めてちょうど2か月。リハビリメニューは言語療法、理学療法、そして音楽療法:歌のグループ。特に歌が大好きとのことで、「アアア~」と積極的ないい声が聴こえてくる。歌って声を出すことが言葉の訓練にもつながるので、言語聴覚士(ST)と連携して行なっている。

<川の流れのように> は楽譜もあるし、皆でよく歌っている曲。でも <若いってすばらしい> は、誰かに「知ってる?」と聞くと「<♪わかい~ってすばらしい~>って曲でしょ」と歌ってくれるが、皆ここしか歌えない。いつも無理をきいてもらう楽器店で楽譜を探してもらうが、ない。『青春歌謡60年代総集編』のCDにもない。ネット検索して、やっと歌詞だけ見つけた。1960年代後半に流行った曲なので、50代後半~60代の人に「全部歌える?」と聞きまくり、ようやく一人。

そこで・・・
歌詞をもって、またカラオケへ。カラオケってこんなに探してもなかった曲もあるのネと感心しながら、喉が痛くなるほど何度も歌ってもらい、私は楽譜に書き取る。昔の青春の明るい歌、シンプルなメロディーなので私もすっかり覚えてしまった。この夜は頭の中でずっとメロディーがなっていたし、お風呂の中では気がつくと鼻歌。



今日はAさんの通所日。「カラオケで覚えてきました」と歌ってあげると、目をキラキラ輝かせて「そうそう」と一生懸命言葉にしている。「一緒に歌いましょう」と誘った。最近言語の回復にほのかな光が見えてきたAさんに、ゆっくり発音を促しながら「♪わかい~ってすばらしい~」。何度も何度も歌って「そうそう、これ。そう・・・」。そしてゆっくり「あ・り・が・と・う」 筆談とジェスチャーで「先生と歌ってくれた人に」とまるで青年のように歌う姿に、音楽療法士は感動のひととき。

「先生、楽譜あったの?」とこの様子を見ていたデイケアスタッフたち。「友人にカラオケで歌ってもらって楽譜に書き取ったの」の答えに、「すごい、そこまでしたの・・・。 きっとAさんはこの歌を歌って失語症を克服するわネ」 Aさんあせらず頑張って!