GOVAP便り

プノンペンからモンドルキリに、その前はTAY NINH省--AN GING省--HCM市GO VAP

カントーのエタノール工場

2011-04-17 23:44:44 | 農業・食品
久しぶりにメコンデルタに行って来ました。日曜日とフンヴン王記念日の3連休はカンボジアかシンガポールへ行くつもりでしたが、日頃の心掛けの悪さ故当たり前の如く2日間は工場に出ざるを得ず、最後の1日はメコンデルタへの片道で潰れてしまいました。

訪問先はカントー市トットノット区の工場ですが、宿泊は10kmほど離れたロンスエンにしました。昨年暮らしていた街ですが、1年ほど離れていたためか随分と印象は異なります。チャンバンの工業団地周辺に暮らす身には眩しい大都会に見えてしまうのが不思議。スーパーのMETROも完成し開店してました。カントーの街は更に都会ですから改めてタイニンの貧しさとメコンデルタの豊かさを思い知らされます。

もっとも通り過ぎる者にとって眩しく見えるメコンデルタの都会もその場に留まればどれほどのものであるかは別問題。ホテルのレストランで遅い夕食をとっている時に料理を運んで来たウェイトレスが皿を傾けてしまい、汁が同行者の股間を派手に濡らしてしまいました。通常ベトナムでもおしぼりを持って来て謝るぐらいのことはするわけですが、自分の不始末に驚いて為す術を知らず仕舞い。ロンスエン・ホテルの30万ドンのシングルルームは壁がカビで汚れていてもう一泊するとなれば考えてしまいます。

以前は水産養殖関係の仕事でこのトットノットには来ていたのでアルコール工場については気に留めることがありませんでした。カントー市と言ってもトットノット区はカントー市の中心街や、まして砂糖黍の産地である今のホウザン省からはかなり距離があります。輸送コストを考えれば好立地とは思えず不思議でしたが、聞いてみるとかつてこの地には手工業のアルコール精製工場が数十も立ち並んでいたそうです。

砂糖の廃糖蜜を原料とするのではなく恐らく米からアルコールを作っていたのではないでしょうか。この工場では今も顧客の要求があれば米を原料にしたアルコールを精製しているそうで、米の貯蔵庫がありました。米からアルコールを作った方が香りが良いのだそうです。

今は数十の手工業工場は姿を消し、たぶんメコンデルタのアルコール精製工場はこの1社のみ。ベトナム国内でのエタノール製造工場は8箇所と言われてます。最近はキャッサバを原料とする燃料用エタノール工場の建設が進んでいるようですが。

廃糖蜜を原料とした方がキャッサバを原料とするよりは糖化工程が省かれる分だけ効率的のようです。しかし廃糖蜜の供給には限度があり、製糖会社から出る廃糖蜜は砂糖黍原料の約3%。ベトナム全土の砂糖黍収穫量が1500万トンですから砂糖が150万トン、廃糖蜜は45万トン程度。ここから精製されるエタノールはトン当たり280Lだったかと思います。しかし、ベトナム国内では味の素、VEDAN等の調味料会社がこの廃糖蜜の半数を使用してしまうのだとか。

初めてこの日、廃糖蜜の貯蔵庫を覗きドリアンにも劣らない強烈な匂いを嗅ぎながら、これが食品添加物となり、あるいはビールや焼酎、ワインに混ぜられてわが日本の友人諸君の胃袋に納まるのかと思うと可笑しくなりました。












最新の画像もっと見る

コメントを投稿