GOVAP便り

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扇風機の羽

2007-04-07 20:20:03 | 生活
お腹の汗疹は衰えを知らず、忘れていた足の水虫も復活していました。どちらも大して困ることでもないとは言え、これからまだまだ高温多湿状況は進行するわけですから、今のうちに多少対処しておくべきところです。

土曜の朝はグエン・キエム通りの渋滞も少なく、ふと道路わきの扇風機を並べた店が目に入りました。店先には中古品の部品が並べられています。壊れた扇風機を分解し、使える部品を売っていました。バイクを引き返して店に立ち寄り、扇風機の羽のサイズを捜していると、店のおばさんが「こっちの新品にしなよ」と奥に置いてあった普通サイズの羽を取り出しました。値段はわずか8000ドン。たった60円のために数週間も暑い思いをして来た自分は間抜けでした。壊れた羽の内径を修理するために接着剤を買うよりも安上がりのようです。

子供の頃、家で最初に扇風機を見たのが何時頃だったかは覚えていません。それに扇風機の風に当たって「涼しい」と感じた記憶も残っていません。どちらかと言いうと暑い空気をかき回しているだけ、という印象でした。電気製品としては、冷蔵庫や洗濯機同様に日本語で呼ばれる製品ですから、ラジオやテレビ、クーラーなどカタカナで呼ばれる製品より古い時代のものなのでしょう。

ベトナムでも扇風機はMAY QUATとベトナム語で呼ばれますが、パソコンやハードディスク、マウスもベトナム語に翻訳されて使われてます。その代わり、フランスの時代に入って来たものでは、フランス語のままベトナム語化したりもしています。電池をPINというように。マウスはマウスで何も「ねずみ」と呼ばなくても良いだろう・・・などと感じたりもするわけですが、やたらカタカナ英語が増える日本の風潮というのも戦中の敵性言語放逐の反動に過ぎないような気もしてきます。もっとも、日中戦争時のわが大日本帝国の狡さは宣戦布告もせず、したがって中国を敵にしているのに敵としても規定せず、敵性言語に漢字を含めなかったことでしょうか。漢字にも著作権というものがあるなら中国の著作権収入はマイクロソフトどころのものではなかったでしょうに。

1975年の4月30日にサイゴンに突入した北の兵士たちが競って買った製品の一つが扇風機だったと何かの本で読みました。当時北部では首を振る扇風機がなかったそうです。その時代に日本で使っていた扇風機には首振りの角度を調節できるものがありました。それなりに便利だったと思うのですが、今はないようで、首振り角度は90度に固定されています。日本での扇風機使用期間はせいぜい2ヶ月。ここでは年12ヶ月ですからそんなことよりは耐久性と価格が問題なのでしよう。1区のレ・コン・キュウ通りではフランス時代のずっしりと重量感のあるアンティークの扇風機が売られたりもしています。扇風機の有り難味をひしひしと感じるベトナム生活ですから、もう少しこの製品も改良・進化しても良さそうなものですが、ベトナムのメーカー側にはその発想はないようです。