知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

相模原市の知的障害者施設の事件  その後・・・

2016年07月28日 | Weblog
相模原市の事件ですが、徐々に犯人当事者の実像が出てきていますね。


戦後最大の殺人事件だ・・・とか、マスコミは大きく盛り上げていますが、この事件、はたして知的障害者施設が現場・・・ということで、特殊な事例のように扱われています。このあたりが、少し違和感を覚えますが・・・。


確かに、一般社会でこういった事件が起きれば、抵抗する人もいただろうし、逆に取り押さえようとする人もいたでしょう。今回は、無抵抗の入所利用者を狙った・・・というところが、こういう多数の犠牲者を出してしまった部分でもあります。(職員が殺されていない。)


この犯人は、確かに精神的に病んでいたのは確実ですが、それ以前にすでに、その兆候や事件性が現れていたようです。
本人の様々な言動や、入れ墨に見られる異常な変化、薬物中毒化していたこと・・・等。

はたして、この犯人が、たまたま知的障害者施設の職員だったから、こういう事件になったのか?あるいは、他の職種にいれば、同じようなことをしていたのか?
教員になっていれば、もしかして子供を狙っていたかもしれません・・・(あくまでも予想です)。
あるいは、老人施設に勤務していれば、対象が老人になっていたかもしれません(これも予想です・・・気分を悪くしないで下さい)。


根本的に、この事件が犯人の異常性に尽きると思います。



この福祉業界は、閉鎖された社会に近いです。外との関わりが非常に少ないのも、情報が出てこないためですね。

逆に、今回の事件によって、少しでも知的障害者施設が世間的に、関心を持たれるようになったかもしれません。(いいのか、悪いのか?)


(※この記事を書いたことで、急に閲覧者が増えたのも、そういう理由?)



事件の内容や、犯人についての詳細な情報は、今後もいろいろ出てくると思います。



しかし、私が思うに、気になるのは、今回の事件で亡くなられた施設利用者の方が、全く表に出てこないことです。

先日のバングラディシュでの事件でも、政府があえて(身内の方の希望で)名前を明かさなかったのに、マスコミは当然のように明かしていました。


しかし、今回の事件では年齢だけで、全く名前や写真は出ていないですね。(逆に男性・女性と年齢・・・だけで、この違和感はなんだったのか?)


もちろん、身内(保護者)の方の意向は大きいとは思いますが、生存して生活している場面ならともかく・・・それも問題ですが、亡くなられたなら、やはり、その方の「生きてきた証」としての名前と写真の公表は必要だと思います。

確かに保護者の立場からすれば、微妙なのは(私も元施設職員だったので)分かりますが、あえて言わせていただければ、こういう場で明かさないと、単なる一施設利用者が亡くなった・・・という事実しか残りません。

そりゃあ、施設内では「あの人は・・・」とか記憶に残るでしょうが、世間的には全く意識されずに、年齢何歳の男性・女性で終わってしまいます。


こういう機会にこそ、この利用者の方は、生前こういう活動をされてきた・・・とか、こんな面白い方だった・・・とか、楽しいエピソードや本人の歴史が伝えられてもいいと思います。

実際に、現在施設内で活動されている方も、世間にほとんど知られないまま、終わっています。(それは、病気や寿命等で亡くなられた場合は、記憶でしか残りません)
今回は、病気や寿命ではなく、明らかに犯罪者の手によって、虐殺されたのですから・・・。


私が、このブログを立ち上げたのも、世間的に施設内の生活や活動を少しでも知ってもらうのが目的でした。
(※所属施設に裏切られたために、後半は少し自虐的になっていましたが・・・反省)


身内の方や保護者の方の意向も、ホントに大切なんですが、私ならあえて説得して、明かしたいと考えます。


隠すことが、亡くなられた本人にとっては、忘れられる存在だったのか、悪い意味で身内にとっては(犯人の言うように)”お荷物”だったのか、世間には知られたくないものだったのか・・・、それを肯定しているように感じます。


身内の方や、保護者の方の気持ちも、分かりますが、この記事を読んで気を悪くしないで下さい。28年以上も、この業界で勤務してきた経験からの考えです。

いろいろな意味で、世間に施設のことを知ってもらうことで、職員や利用者の待遇等、改善される部分が増えていけば、よい方向に向かう可能性も見えてきます。



また、新たな情報が入れば、記事にしていきたいと思います。
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