意味がわかると怖い話２９９２ 「栄」

賽は投げられた。

これが最後のチャンスだ。

机を囲む四人は、黙々と己の作業をこなす。

作業をする音と緊迫した空気が部屋を満たす。

いち早く作業を終えた俺は少し安堵した。

まだ希望は持てそうだ。

なんとしても勝ってみせる……





よし、来たぞ。

これなら確実に勝てる。

奴らを騙すための布石も十分だ。

躊躇うことはない。

｢これでどうだ！｣

バシッ

俺は机を思い切り叩いた。

｢クックック……｣

と、向かいの男が不敵な笑みを浮かべた。

｢何が可笑しい？｣

｢残念ながら、あんたの負けだよ｣

｢どういうことだ。そんなわけあるはずが……｣

言い掛けて、俺は気付いた。

なぜ俺は今まで警戒しなかったんだ。

俺の描いた最悪の予想は、直後現実となった。

｢32000、払ってもらおうか｣

絶望のあまり、俺は視界が眩んだ…… 

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