普通合わせ鏡の前に立った場合、
正面・背後・正面・背後……
と交互に見えるはず。
この見え方を文章で説明するとややこしくなりそうだけど
正面の鏡に映るのは物体の表と背面の鏡、
背面の鏡に映るのは物体の裏と正面の鏡。
以降、正面の鏡=鏡A、背面の鏡=鏡Bとして、
鏡Aに映るのは物体表と鏡Bに映った物体裏、
以降、正面の鏡=鏡A、背面の鏡=鏡Bとして、
鏡Aに映るのは物体表と鏡Bに映った物体裏、
鏡Bに映るのは物体裏と鏡Aに映った物体表と物体裏、
それを鏡Aが映すので物体表・物体裏・物体表・物体裏、
それも鏡Bが映すので物体裏・物体表・物体裏・物体表・物体裏……と
永遠に交互に続く。
すなわち、語り手一人が鏡の前に立った時、
正面・正面・背後・背後と映るのはあり得ない。