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読書と旅行と柴犬のブログ
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書籍「永遠の0 (ゼロ)」戦後に生きる自分達を考える

2011-04-04 19:09:59 | インポート
「永遠の0 (ゼロ)」★★★★★泣いた!
百田 尚樹著 ,
講談社文庫、2010/7/7、9刷
( 608ページ , 920円)


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「特攻隊で死んだとされる祖父が
どんな人物だったのか、
その孫である主人公の健太郎は姉とともに
その祖父について調べてみると、
全く知らなかった事実が明らかとなっていく。
戦争を体験した人たちの口が重く
なかなか実体験が語られない中、
それならこちらのほうから調べてでも
知るべき事実が確かにあることを実感した。
素晴らしい読書体験だった。」



週刊ブックレビューを録画して見ているので
読書家としての俳優・児玉清さんのファンになった、
この文庫を書店で見つけた時
帯に児玉さんの
「僕は号泣するのを懸命に
歯を食いしばってこらえたが、ダメだった」
そんな推薦文を見て
ちょっと大げさだなとは思ったが

家に戻っていつものネット書店「bk1」の
「買い物かご」に追加した、
丁度これで買いたい本の合計額が3.000円を超えたので
300円引きのクーポンを使って注文。
その2日後にはもう読み始めていた。



今回は実家に帰省するとき読もうと、
電車の中で読み始めて
2日で読んだが、後半では児玉さんの宣伝コピーの通り
何度か涙を流した。



“娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために”
そう言い続けた祖父は、
なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。



祖父である宮部久蔵は大正8年生まれ、
軍隊で一緒だった数人のインタビューを繋いで
祖父が生きた時代を構築していくが、
中学を中退し、母が亡くなり天涯孤独となり
海軍を志願したのは生きていくためだった、
飛行のテクニックと戦闘に天才的なセンスを持ち
皆に一目置かれていたその人が
何故、特攻で死んだのか。



この本のいいところは
軍隊用語や戦争で使われた船や戦闘機、
様々な今ではあまり耳にしない言葉を
生き証人から語らせることで
専門書を読めば分からなくなって
読むのを諦めるような部分も
物語として分かりやすくしている所で、
それにより知らなかった戦争末期の様子が
すんなりと伝わるところだ。



もちろんこれが全てとは言わないが
そういう見方もあることを
断片的に語られる主人公の祖父の足跡を通して
自分達にも想像させてくれるのは、
貴重な読書体験となった。



特攻は志願するもの、
もちろん拒否できるような状況ではなかったろうが、
決して生き延びることのない
片道飛行にゴーサインを出し続けたのが
広島や長崎に原爆が落ちた後も
続けられていたことは
知っていたことだったが
やはりどうしても納得できない
悔しくて悔しくて堪らない事実だった。


「お国の為に喜んで死んでいった」


その言葉はきっと正しいと思う、
けれどその「お国」っていうのは
まさに日本そのものというより
「家族」という言葉だったと思う。



今、自分達は愛国心というと
どこか居心地の悪いものを感じる、
家族の為というなら分かる
けれど愛国心から何かをするというのは
ちょっと違うように感じるのだ。



でも海外旅行へ行き
「日本のどんなところが素晴らしい?」と聞かれて
言葉に詰まるような瞬間を後で振り返ると
やはりこれも違うなと思う、
海外の人たちは自国の良い所を
すごく嬉しそうに話すからだ。



戦後、日本人は日本人として何かを考えることを捨てた、
個人単位では自由に考え発言出来るのに
日本という国という立場では
どこか曖昧に霞のようなものがかかった物言いしか
出来ないようだ、
でも戦時中も同じだったのかもしれない
個々人のそれぞれの家族を守ることが
日本全体を守ることだったのだろう。



歴史に「もし」は無い、
けれどどこかで道を誤らなければ
多くの家族が明るい未来を夢見ることが出来たのに
その事がこの小説を読んで
自分の身を切るように痛くて仕方なかった。


東日本大震災で
「がんばろう、ニッポン!」と
国がひとつの気持ちに繋がっている今、
操縦桿や銃の引き金に手をかけなくても
守れるものがある、
こんな時こそ未来への団結力を見せる時なのだろう。



この小説は歴史的な事実の中に
まさに小説的な奇跡を用意している、

これだけの積み重ねがあるからこそ
この奇跡にまたしても泣けてくる、
「必ず帰ってくる」
その約束が守られたことに、
とても幸せな気分で最後のページを読み終えた。


★100点満点で100点


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