第2回のランキングシリーズもこれが最後です。
県外編の対象は50軒。10軒選んでみたはものの、
さすが全国、それぞれ素晴らしくて、甲乙が付け難く今回はランキング
するのをやめました。その代わりに名門店ジャンルと、
個人的に気に入ったお店ジャンルの2つに分けてみました。
《名門店》
☆ 下関春帆楼本館 (2014-1-20付) 山口県下関市



春帆楼本店さんは河豚料理で有名だが、それ以上に
歴史的に重要な場所で名が轟いている。それは日清戦争の
講和条約が結ばれた所だからだ。世に言う下関条約だ。
中に入ることができなかったがその記念館が隣にあって
歴史好きの方にはたまらない所だ、私は今までフク料理は
さして評価はしていなかったが、ここの料理を食べてイメージが
変わってしまった。ふぐ煮凍り、ふく真丈、ふく薄造り
ふく唐揚げ、ふく白子蒸し、ふくちり鍋、ふく雑炊
フクのひれ酒等々、フク料理のフルコースはその名に恥じない
どころかそれ以上の逸品コースだった。下関に行ったら
是非行くべしだ
☆ 鮨 みつ川 (2014-10-16付)石川県金沢市



金沢の鮨は日本一レベルが高いと言われている中でも
知る人ぞ知る名店だと思う。名門に入れるには
どうかナーと考えたが、将来間違いなく名門鮨屋に
なると思い入れて見た。カウンターのみの小さな店だが
今や観光地として必ず訪ねる東茶屋街の
奥まった所にひっそりと店を構えておりそれがまた良い
オーナーの光川氏はまだ若いが既に鬼才のオーラがある
地の鮨ネタを活かした目利きは鋭く、真っ直ぐに客と
向き合う。又、握りの姿は実に美しく端正だった
金沢には他にも沢山名店があるやに聞いたが金沢に
来たら必ず寄りたい店だ
☆ 中華料理 四海楼 (2015-7-8付) 長崎県長崎市



今やちゃんぽんは中華料理の全国ブランドだが、その歴史を
辿ると実におもしろい。当然ちゃんぽん、皿うどんの生みの親は
明治の中頃、中国(福建省)から志を抱いて裸一貫で来た
その当時、多くの中国人留学生が来日し、栄養が高く安価で
ボリュームがある長崎ちゃんぽんを考案して留学生の胃袋を
サポートしたという歴史の秘話がとても楽しい
過日、TV番組「ケンミンショー」で長崎県民のちゃんぽんは
皆リンガーハットを指すと言っていたが、この四海楼はじめ
本格ちゃんぽん店とファミレスリンガーハットの間にはどんな物語が
あったのか知りたくなった。いずれにしてもちゃんぽん、皿うどんで
こんなすごいビルが建ってしまうのだからビックリしてしまう
☆ 日本料理 つば甚 (2015-12-24付) 石川県金沢市



加賀百万石の城下町、金沢で最も歴史ある料理屋さん
店名の由来に成っている刀の鍔が奥ゆかしく床の間の
一部に飾られている。前田藩主のお抱え鍔師、鍔屋
三代目甚兵衛が始めて260年。その洗練された品格
のある加賀料理は金沢の文化レベルを感じざるをえない
加賀料理の名物、鴨の治部煮、季節の香箱がに等々
箱庭の様に美しく、味も上品で奥深い
しみじみ味わわないと見逃してしまう程
繊細だ。そして何と言っても出される料理の各器が素晴らしい
戦乱の世を前田家の英知で戦もなく乗り切った加賀の文化が
つば甚さんでは堪能することができる
☆ 米沢牛・郷土料理 上杉伯爵邸 (2016-6-25付) 山形県米沢市



都内部門で小笠原伯爵邸というスペイン料理店を紹介したが
当然地方都市にも江戸時代から明治大正を生き抜いた名家の
建物の中でその郷土料理を振る舞ってくれる名門店がある。
ここ米沢は米沢藩主上杉家が治めた城下町だ。上杉の
食文化、素朴ながら先人の知恵が活きている郷土料理。
山形のいも煮。地方独特の野菜、うこぎ、丘ひじき。
祝い料理の鮭の紅白塩引寿司。鯉のいとこと煮。
そして何といっても米沢牛。上杉鷹山公の質素倹約の治世が
食文化にも受け継がれている。厳しい東北の歴史に思いを
馳せながら味わうのも旨いものの醍醐味かもしれない。
《気に入った店》
☆ せき川 (2014-11-20付) 京都市



懐石・会席料理の「せき川」さんは、大分以前に宿泊したホテルの
コンシェルジェに紹介された店。京都先斗町の裏、高瀬川の近く
木屋町通りにある名店だ。京都と言えば懐石、会席料理では全国一
二の激戦区。ここで大将夫婦は東北から出て来て、20数年間も勝ち抜いて
いるとはそれだけでも料理のレベルがわかる。
つい最近も知人がタクシーに乗ってどこか本当に旨いお店を
教えてと聞いたら、その運転手さんは「私だったらせき川さんを勧める」
と言われたとか。前述のブログの料理写真を見て頂ければ
わかると思いますが、その食材の素晴らしさ、いい仕事してますネーと
言いたくなる、丁寧さ。又、京都に行ったら是非寄りたい
私の内緒にしたい大事なお店だ。
☆ 日本料理 千とせ家 錦店 (2015-1-7付) 名古屋市



この店程、想定外の大当たりの店と言える店はそう無い。
私も地方都市へ行くと食事にはこだわって予約を指定するのだが、
千とせ家さんは名古屋方面に社員旅行で行った時、
是非もう一度食べたい、ひつまぶし発祥の名店「あつた蓬茉軒」を
予約お願いした所、定休日で駄目だとの事。仕方なく旅行屋さんに
趣旨を話してお任せした所、ここに成った。あまり期待もせず
入った所、出る料理出る料理がマイウの連続。しかも、ひつまぶしだけでなく
名古屋めしの手羽、味噌カツまでオンパレード。
大満足だったことを思い出す。名古屋で食べる機会があったら
今度はお好みでオーダー、絶対にいくぞー!
☆ 串かつだるま (2015-1-28付) 大阪市



大阪のグルメ旅に行く前に散々聞いていた大阪のソウルフード、
串かつのだるま。大阪のイメージとぴったりの雰囲気、B級グルメ
串かつだるまに即はまってしまった。特に新世界、通天閣の袂
ジャンジャン店はオッチャン、ネーチャンの単語が
恐ろしい程似合う店だった。「ソースの二度漬けは禁止やで!」
イイ響きですネ。名物「どて焼」350円 大阪プライスだ。
この味、雰囲気が忘れられなくて後日又行ったが
3店舗回ったが、一時間以上の待ちで諦めて、他店に行ったが
全く味も空気もちがっていた。やはり大阪で納得するのには
根性がいるのかもしれないことをこの時感じた。
☆ 食堂やまと (2015-6-16付) 岡山市



なんといっても、記憶から離れないのが、この「食堂やまと」さん!!
1年半経ってもこの時の印象と舌に残った味が消えない。
地元の人の強い勧めで訪ねたのがキッカケ。最初の目的は
岡山のB級グルメ「ソースかつ丼」をどうしても食べたかった為。
行ってみたら長蛇の列。「1時間待ちだな」と聞いて、
諦めようと迷ったが、なぜかその日は意地が出た。
入店したら昭和の洋食食堂。そこに中華メニューが加わっている。
誰かが言ったのだろう人気メニューに大と小がある。これは旅人には
名案だと喜んだのを覚えている。ソースかつ丼のソースの
まろやかさ、中華そばのスープのすごさ。岡山まで来て1時間並んで
ソースかつ丼(小)520円、中華そば(小)520円計1040円で
天まで昇る幸せ感が得られたのは一体なんだろう?
人生の何たるかを考えてしまった「食堂やまと」だった。
☆ 越前がに鯛まま 荒磯亭(2015-12-22付) 福井県坂井市



このベスト10シリーズを書いて来て、実は申し訳ない気持ちに
成って来た。何か自慢話を書いているみたいで、恐縮してしまう。
この荒磯亭の旅は唯々、越前蟹を食べたいが為に
簡素な街まで足を延ばしに来た。(いくら断れない大先輩の命とはいえ)
こちらは越前蟹鍋付フルコースを食べさせてくれる
民宿的旅館で、もうそれはそれは蟹三昧の至福の夜であった。
越前蟹(福井県で水揚げされるズワイガニの愛称) という
季節の旬の食材をピンポイントで食べに行くグルメツアーは最高の贅沢なことだと
つくづく思った。特に焼き蟹の香ばしい香りは一生忘れることができない。
《番外編の番外》
☆ いなとり荘の朝食 (2013-9-19付) 静岡県稲取温泉



スミダマンのブログで度々宿泊ホテル・旅館の朝食を旨い店
シリーズに掲載してきたが、そのキッカケを作ったのが
ここ稲取温泉いなとり荘の朝食。おじゃまする前からその評判は
聞いていたが、それは感動ものであった。一つ一つの大皿料理に
心がこもっている。そして食べきれない程のメニュー数。
まるでディナー料理だった。正直言って旅館のグレードからいって
ここの料理は飛び抜けていた。その後、旨い朝食を出していた
ホテル、旅館が何軒かあったが、いなとり荘を超えた所は無かった。
逆にそれ程インパクトが強かったのかもしれない。
稲取温泉はそれ程遠い所ではないので是非又行きたい旅館になってしまった。