Sightsong

自縄自縛日記

川下直広『漂浪者の肖像』

2017-02-11 11:40:33 | アヴァンギャルド・ジャズ

川下直広『漂浪者の肖像』(off note、2005年)を聴く。

Naohiro Kawashita 川下直広 (ts)
Masaru Watanabe 渡辺勝 (vo, p, g) (track 6-9)
Hiroshi Funato 船戸博史 (b) (track 8-10)
Takero Sekijima 関島岳郎 (tp) (track10)
Kanji Nakao 中尾勘二 (ds) (track10)
Yuriko Mukoujima 向島ゆり子 (vln) (track10)
Takero Fukui 福井岳郎 (Charango) (track 10)

何しろ川下さんのテナーである。濁っていて、情そのもののようなヴィブラートがあって、聴く者は共振してしまうのである。

昨年末に(2016年12月23日)、新宿ゴールデン街のナベサンにおいて2メートルの距離でじっくりとこの音を体感することができた(川下直広@ナベサン)。企画そのものが、本盤を川下さんとオフノートの神谷さんが聴いて再発見したことによるものだったと記憶している。そのときも、本盤に収録されている「St. Thomas」、「La Vie En Rose」、「Que Sera Sera」なんかを吹いていた。

本盤も完全ソロだと思い込んで聴いていたところ、突然6曲目に渡辺勝さんの声が出てきてびっくりした。ダンディで味わい深く、川下さんのテナーと本当によくマッチする。「Truth」は、なってるハウスでのライヴ(渡辺勝+川下直広@なってるハウス)のときに聴いて印象に深く残った曲。

そして最後の10曲目は、船戸・関島・中尾・向島・福井という素晴らしい面々を迎えての「Comme A La Radio(ラジオのように)」。いや濁りと情とがますます増していて、聴き入ってしまう。川下さんは『RAdIO』カセットテープ版でも『RAdIO』CD版でもこの曲を吹いていた。個の賑々しさを出した表現は、ブリジット・フォンテーヌがアート・アンサンブル・オブ・シカゴを迎えて吹き込んだときから曲に似つかわしいものである。またシャンソンの声と向島ゆり子さんのヴァイオリンとが重なるようで、喜多直毅さんの演奏でもそのように感じられた(喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器)。

さて川下さんの新たな艶歌集の制作が、つげ忠男さんとのコラボレーションのもと進んでいるようで、とても楽しみなのだ。オフノートの神谷さんのツイッターによれば、つげ忠男さんは、「田端義夫の『かえり船』は欠かせませんね」と言っているそうである。

●川下直広
川下直広@ナベサン(2016年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2016年)
渡辺勝+川下直広@なってるハウス(2015年)
『RAdIO』(1996, 99年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』(1988年) 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。