新宿ピットインにて、蓮見令麻さんのライヴ(2016/9/13)。
Rema Hasumi 蓮見令麻 (p, vo)
Masa Kamaguchi (b)
Roger Turner (ds)
まずは初めて観るロジャー・ターナーの音色に陶然とさせられる。数々のスティックやブラシを使い分け、ときにはブラシの持ち手側でシンバルを擦り、とても繊細に残響を活かしたプレイを披露してくれた。また、セカンドセットでは音圧が強くなり、ツアーで前の2回は使わなかったというバスドラムも生きた。
蓮見さんによれば、今回ドラムスを誰にするか検討するときに、ちょうど日本ツアーを行っていると知りターナーのヴィデオを観て決めたのだという。他のドラマーの名前には興味深いものもあったのだが、それはともかく、素晴らしい組み合わせだった。
そして蓮見さんのプレイである。ピアノと歌とをときにユニゾンで合わせつつ、まるで重力で水が流れていくように、思いがけず現れる彗星のように、美しいパッセージを放った。それは己の時間の流れ方に従ったもので、強弱を用いた見事なグルーヴを顕出させてみせた。音圧で攻めるわけではない、しかしそれでベースとドラムスとに押されず対峙しているのはどういうわけだろう。
終盤にオーネット・コールマンの「Lonely Woman」を弾いたのだが、そのときはじめてジャズらしき和音が聴こえてきたのも面白いことだった。
ところで、ロジャー・ターナーは画家でもあり、京都のギャラリーで展示もなされる(>> リンク)。当然そこには足を運べないのだが、ご本人も、小さな蛇腹状の「ストレッチ・ブック」の数々を持ち歩いていた。コラージュ、油彩風、ボールペン画など多彩で、これも面白かった。
●参照
蓮見令麻@荻窪ベルベットサン(2015年)