鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

笛吹川流域の道祖神祭り その6

2018-02-12 07:04:28 | Weblog

 

 室伏(むろふし)から国道140号を北上して「道の駅まきおか」で昼食を摂った後に、「徳和入口」の信号のところで左折。

 徳和川沿いに道を進んでしばらくして「笛吹の里・みとみ 徳和」と記された看板があり、道沿いの駐車場に車を停めて集落がある方面へ歩いていくと、道が分かれるところの左手に幟(のぼり)が2本立っている道祖神御仮屋(おかりや)がありました。

 杉葉で作られた御仮屋は社殿風の形をしており、正面真ん中に四角い穴が設けられています。

 形としては倉科(くらしな)山本組の御仮屋と共通しています。

 屋根の棟の両端が耳のように飛び出しており、茅葺屋根の民家のようにも見えます。

 その右隣には寄り添うように「蚕影山」と刻まれた石塔が立っています。

 ここでも「道祖神」と「蚕影山」がセットになっています。

 竹竿の幟には「奉納 道祖大神」「奉納 蚕影大神」と墨書され、「納主」の名前や奉納された年月も記されています。

 幟の前には日の丸の旗が交叉していました。

 幟の支柱である竹竿の先は杉葉で飾られています。

 道祖神御仮屋の前は道に面して小さな広場になっていて、その真ん中に白い灰があって数本の木片が転がっています。

 その広場の右端には板材や枯れた杉葉の重なりの上に「御山飾り」の一部が置かれていました。

 広場の真ん中の白い灰やこの「御山飾り」の破片から考えると、あの室伏のおじいちゃんが言っていた徳和の立派な「御山飾り」はすでに撤去されて、道祖神広場の真ん中で飾りなどは燃やされてしまったようです。

 「どんど焼き」で燃やす板材や杉葉は広場の隅に集められているから、これらはまた14日の夜の「どんど焼き」で燃やされるのでしょう。

 多くの場合14日の「どんど焼き」の前に「御山飾り」は撤去されるようですが、この徳和ではどういうわけか早めに撤去されていて、お飾りのほとんどはすでに燃やされてしまったようです。

 復活したという「御山飾り」を見てみたかったのですが、残念ながら見ることはできませんでした。

 近くには「馬頭観世音」や「三界万霊塔」、石仏(お地蔵さまか)なども並んでいました。

 左手の道を進んでいくと公園があり、「乾徳公園」と記されていました。

 「乾徳公園ご案内」の看板によると、この公園は武田信玄の菩提寺である乾徳山(けんとくざん)恵林寺(えりんじ)の開祖夢窓国師が修行した霊山乾徳山にちなんで名付けられたもので、水車小屋を中心に農山村の昔の風景を復元したものであるとのこと。

 いくつもある水車はこの集落で使われていた水車の数だという。

 案内図を見ると水車は4基あり、徳和の集落では4基の水車がかつては使用されていたようです。

 水車が回っていた場所は、徳和川かそこから引かれた用水路であったでしょう。

 園内の地域伝承館の建物の前には「三富村指定文化財 天神祭の由来」と記された看板がありました。

 それによると天神祭は、菅原道真公の命日に行われる祭りとして古くから各集落で子どもたちを中心に行われてきたお祭り。

 ここ徳和地区では江戸中期より一月二十四日・二十五日に親だま(六年生)・小だま(五年生)を中心に行われてきたとのこと。

 現在は、一月二十四日に一番近い日曜日に大人も手伝って行われているという。

 かつて大人の仲間入りは15歳ほどであったから、「親だま」「小だま」は数えで13、12歳。

 つまり天神祭は子どもの年長者を中心に行われていた祭りであったて゜しょう。

 男の子どもたちはやがて「若者組」に入り、道祖神祭礼など村の祭礼的行事の中心的な担い手となりました。

 男の子たちは「若者組」の予備軍であり、道祖神祭礼の時は道祖神場に設けられた小屋に入って太鼓囃子を昼夜を通して打ち鳴らし続けました。

 道祖神場の前の道を進むと徳和川に架かる橋があり、その橋を渡ると山の斜面や乾徳山へと通ずる道の両側に人家が並んでいました。

 室伏のおじいちゃんの話によると、徳和の集落は30軒ほどの小さな集落であり、道祖神祭礼もしばらく行われていなかったのが最近復活したらしいとのことでした。

 上組・下組の子どもたちが天神祭を行っていたのが、現在では大人が手伝って行っているということは子どもの数が少なくなっているものと推測することができます。

 少子高齢化が進み若い人が集落からいなくなって祭りを継続することも困難になっているという現状は、ここ徳和でも例外ではないようですが、道祖神祭礼において立派な「御山飾り」が復活したのはどういう理由であるのか知りたいと思いました。

 

 続く

 

 



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