鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

渡辺崋山『参海雑志』の旅-佐久島~藤川宿~吉田宿-その5

2015-06-08 05:24:17 | Weblog

 西尾市役所の吉良支所を右手に見て県道を北進すると、「←旧糟谷邸・尾崎士郎記念館 ↑国宝金蓮寺弥陀堂 ↑華蔵寺・花岳寺」と記された道路標示が現れました。

 この県道を進めば、華蔵寺に至ることがわかりました。

 崋山はこの華蔵寺に立ち寄っています。

 日記には華蔵寺に関する記述はありませんが、スケッチを見るとここに立ち寄ったことがわかります。

 関係するスケッチは5枚ほどあります。

 ①五輪塔

 ②扁額

 ③和尚像

 ④題額

 ⑤茶臼山、華蔵寺、横須賀畷(なわて)

 華蔵寺に至る前に、荷船らしきものが浮かぶ川辺の風景を崋山は描いていますが、私はこれは矢崎川を描いたものと推定しています。

 向こうに見える山からこの位置を考えると、矢崎川のやや上流から幡豆の山々を描いたものと思われ、川は左から右へと流れていることになります。

 つまり右の延長に矢崎川が三河湾に流入する河口があることになります。

 よく見ると、右上端に集落があり荷船が川辺に密集しているのがわかりますが、これが吉田湊の一部(現在吉田橋が架かっているあたり)ではないかと思われます。

 この絵から、おそらく崋山は吉田湊から上陸し、矢崎川沿いに吉良道へと入って行ったらしいことがわかるのです。

 

 続く

 

〇参考文献

・『渡辺崋山集 第2巻』(日本図書センター)

・「近代デジタルライブラリー 参海雑志」

・「十八世紀の平坂湊・大浜湊と三河の廻船」曲田浩和(『愛知県史研究 第9号』愛知県)

 



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