鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

笛吹川流域の道祖神祭り その18

2018-02-27 08:09:52 | Weblog

 

 甲州市塩山熊野の熊野神社から恵林寺へと向かい、恵林寺横の駐車場に車を停めて放光寺参道横の駐車場へと歩いて行きました。

 途中、右手にある藤木の道祖神御仮屋をふたたび眺めました。

 放光寺の駐車場へと近づくとすでに道祖神祭りの準備が行われており、「どんど焼き」の火も焚かれていました。

 駐車場を入って左横には折り畳みテーブルが置かれ、そのテーブルの上に「道祖大神」「平成三十年」と墨書された箱型行灯が左右に置かれています。

 またテーブルの上には神饌用の六角形の台膳も二つ置かれています。

 そのテーブルの後ろには4本の竹柱と注連縄(しめなわ)によって四角形の神域が設けられており、その神域の中央に丸石が鎮座していました。

 これらは先日は置かれていなかったもので、今夜の道祖神祭り(どんど焼きと太鼓乗り)のためにここに運ばれてきたものと思われました。

 どこの道祖神場から運ばれてきた丸石道祖神であるかはわかりません。

 この放光寺の駐車場はもともとの道祖神場ではなくて、藤木地区にはいくつかの道祖神場があるものの「どんど焼き」が火災の危険を伴うことからいつの頃からかここが「どんど焼き」の広場として使われるようになったようです。

 消防車もやって来ていることから、火災への対策が厳重に行われていることを知りました。

 したがっていつの頃からかここが仮の道祖神場となり、鎮座する道祖神の前の広場(駐車場)で「どんど焼き」が行われ、また「太鼓乗り」の行事も行われるのです。

 テーブルの右横には門松が置かれ、その右横に「奉納」と記された賽銭箱のようなものが置かれ、その後ろに大きな犬の張りぼてがありました。

 駐車場の一角にはテントが設けられ、中で地域の女性たちが参集者にふるまうための甘酒を作っていました。

 聞くところによると、今年の道祖神祭りの当番は「西組」で、合図の花火が打ち上げられると西組の者が大太鼓を迎えに行くとのこと。

 大太鼓は各地区(西藤木・上藤木・下藤木)に1台、計3台あり、迎えがやって来るとそれぞれの大太鼓の行列が「どんど焼き」の行われるこの広場に集まってくるらしい。

 テント内のテーブルの上にティシュボックスが多数積み上げられているので何に使うのかお聞きしたところ、男たちの演目(太鼓乗り)が終わった後にみんなで踊りをするのだが、その踊りの参加者に配るものであるとのこと。

 今年は雪が降らなかったが、雪が降り積もっている時には会場(駐車場)の雪かきから始めなくてはいけないから大変であるとのこと。

 参集する人たちの中には地元ではない人たちも多く、かつてはわざわざ観光バスで見学しにやってきた人たちもいたとのこと。

 会場にはケーブルテレビの撮影機器を設営するテレビ局の人たちもいます。

 「太鼓乗りの演目は今年は一つだけれども、昨年は二つだった」

 「白浪五人男の時は五人の掛け合いだった」

 「かつては藤木のそれぞれの地区の道祖神場で行われていた」

 「歌舞伎の名場面のさわりのところを大太鼓の上で青年たちが演じるのが太鼓乗り」

 といったことを教えてくれました。

 つまり藤木地区の三カ所の道祖神場で行われていた「どんど焼き」と「太鼓乗り」の行事が統合されて、放光寺横の消防車が入ってこれるような大きな駐車場が仮の道祖神場として設定され、その年の当番の地区(今年は西組)がそれぞれの地区の大太鼓を迎えに行って、3地区の大太鼓(3台)が会場(駐車場)に集合してくるということであるようです。

 「どんど焼き」の行われる会場で、その3つの大太鼓に乗った若者が歌舞伎のさわりの場面を演ずるという催しが「藤木の太鼓乗り」であることになります。

 犬の飾り物についてお聞きしたところ、その年の干支(えと)の動物を当番の組の人たちが毎年作成して会場に飾っているのだとのこと。

 昨年は酉(にわとり)。

 今年は戌(犬)。

 もちろん来年は亥(いのしし)。

 「どんど焼き」に使われる焚き木は昨日北東隅に置かれていたのよりずっと増えており、燃える炎の近くに積み上げられていました。

 畑(果樹園)で間引きしたり伐採したりした枝木類が多く、「軽トラ10台分ほどの量」であるとのこと。

 これからさらに「どんど焼き」が盛大になることが予想されました。

 法被と帽子を被った地元の消防団と思われる人たちが炎に向かって焚き木を威勢よく放り投げ、暗くなってきた会場の真ん中で、燃え盛るの炎が次第に大きく明るくなっていきました。

 これからどのように催しが展開していくのか、初めて見るだけに私も気分が高揚してきました。

 

 続く

 



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