鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

江戸博の企画展「横山松三郎」について その4

2011-03-10 06:13:31 | Weblog
横山松三郎は天保9年(1838年)に千島列島の択捉(エトロフ)島で生まれています。松三郎の出自についてもっとも詳しいのは、『幕末・明治の東京─横山松三郎を中心に─』東京都写真美術館編集(東京文化振興会)で、それによると松三郎の祖父文六(初代)は、高田屋嘉兵衛がエトロフ漁場を開いた時の支配人で、現在の青森県津軽郡大畑町の出身。父文六(2代)は近江商人の3店共同の支配人で、母みやは現在の青森県津軽郡田舎館村の出身。祖父も母も津軽の出身ということになる。しかし択捉島に長く住んでいたわけではなく、幼少期に家族とともに箱館に移り住んでいます。幕末の箱館が、日本の写真史において重要な土地の一つであることは、函館を訪れた時に実感したことですが(このブログでかつて触れたことがあります)、たとえば、ペリー艦隊従軍写真家のE・ブラウン・ジュニアは、安政元年(1854年)に、箱館で松前藩の重役たちとその用人らを写真に撮っています。その時、松三郎は16歳。彼が写真というものに興味・関心を持ったのは、その安政元年以後のことと思われます。 . . . 本文を読む