鰹(かつお)・鮪(まぐろ)・ひらめ・こち・すずき・鯛(たい)などの鮮魚となると、これらは新鮮さが勝負だから、高瀬船で運ぶというわけにはいかない。「なま船」という猪牙船に乗せられて木下(きおろし)や布佐(ふさ)に運ばれて、そこからそれぞれ行徳(ぎょうとく)や松戸まで馬で運ばれ、行徳や松戸からはまた船に乗せられて、江戸川→新川→小名木川→隅田川→日本橋川経由で、日本橋の魚市場に運ばれました。新川や小名木川には、銚子に水揚げされた鮮魚を積んだ船がおびただしく日本橋へと向かったことになります。夏の暑い時期には、「活船」といって、生簀(いけす)仕立ての船で運ばれることもあったらしい。銚子を夕刻出船した鮮魚は、日本橋の魚市場で、三日目の朝売りに間に合うようにするのがしきたりであったという。(以上、『利根川と木下河岸』山本忠良[崙書房]などによる)。 . . . 本文を読む