うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

「幕末」に殺された女たち

2015年09月07日 | ほか作家、アンソロジーなど
菊地明

 2015年5月発行

 安政の大獄、桜田門外の変、池田屋事件、水戸天狗党、戊辰戦争…。時代に翻弄され、歴史 の片隅に忘れられていった女たちの命。彼女たちの身に降り掛かったのは、果たして運命だったのか…。

梅田雲浜の妻・信―国事に奔走する夫を支えながら病死した女

洋妾・斎藤きち―米国総領事に雇われ、人々の蔑みを受け続けて自殺した女

関鉄之介の妾・瀧本―桜田門外の変の関係者として捕らえられ、拷問を受けて死んだ女

児島強介の養母・手塚増子―坂下門外の変によって捕縛され、獄中死した息子を見送って病死した女

清河八郎の妻・蓮―反幕攘夷派の夫の身代わりとして捕らえられ、出獄後に急死した女

岩亀楼の遊女・喜遊―「ラシャメン」になることを拒絶して自殺した女

井伊直弼の妾・村山可寿江―生き晒しにされたうえ息子の命を奪われ、絶望のなかで最期を迎えた女

勝野豊作の妻・ちか―安政の大獄で出奔した夫を庇って投獄され、夫の死を知らずに病死した女

芹沢鴨の妾・梅―壬生浪士組の暗殺事件の犠牲となった女

武田相模守の母・某―天誅事件に巻き込まれて殺害された女 ほか全22編

 黒船来航を機に、未曾有の激動の時代を経験することとなった日本。新しい日本を夢見た男たちの陰で、運命の悪戯に翻弄され、命を落とした女たち。その22人を通して描いた、もうひとつの幕末維新史。

 読み応えあり。そして、心が震えるような衝動に駆られる。こんな時代があっての現在を噛み締めさせられた。




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