うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

あんじゅう~三島屋変調百物語事続~

2012年05月07日 | 宮部みゆき
 2010年7月発行

 「おそろし~三島屋変調百物語事始~」の続編。不幸な出来事で傷心のおちかは、叔父の袋物屋の三島屋伊兵衛に引き取られ、不幸な過去や不思議な出来事を体験した人たちの話に耳を傾ける。
 神田袋物屋三島屋の黒白の間で、明かされる不思議な話。
 前作に比べると、妖色が濃くなっているが、やはり根底には人の怖さが隠されている事を訴えている。
 また、子どもたちの可愛らしくまた、切ないシーンも増え、大人のホラーだった前作とは出色を変えた人情ホラーか…。
 南伸坊氏のイラストが可愛い。

変わり百物語
 おちかが如何して三島屋に身を寄せる事になったのか。三島屋の黒白の間で繰り広げられる不思議な話。
「おそろし~三島屋変調百物語事始~」をかいつまんだ粗筋になっている。

逃げ水
 近付くと水瓶から水が逃げ出し、井戸も乾いてしまう。番頭に伴われてやって来た、金井屋の丁稚の染松(平太)には、お早さん(おひでりさん)という神様が取り憑いていた。
 
藪から千本
 双子は家を分かつと忌み嫌われている。住吉屋本家に、お花とお梅の双子が生まれた事で姑の嫁いびりが始まった。お梅は弟夫妻の養女となったが、姉のお花が早世すると、お梅の身におかしな現象が現れる。

暗獣
 隠居後の住まいを曰く付きの紫陽花屋敷に定めた、加登新左衛門と初音。そこには、噂の幽霊ではなく、生き物とも妖とも分からぬ、真っ黒いものがいた。くろすけと名付け親交を深めるが、次第にくろすけが弱っていくように思える新左衛門。

吼える仏
 三島屋へ妙な暈が見えると、目を走らせた偽坊主の行然が、語った若き日の山里での体験。村人は、富一と言うひとりの男が彫る木像に操られ、次第に正常な判断を失っていく。

変調百物語事続
 三島屋へ妙な暈が見える。「吼える仏」で行然が言ったひと言が現実のものに。三島屋が押込みに襲われた。
 
主要登場人物
 おちか...川崎宿旅籠丸千の娘
 伊兵衛...神田三島町袋物屋三島屋の主、おちかの叔父
 お民...伊兵衛の妻
 八十助...三島屋の番頭
 おしま...三島屋の女中
 新太...三島屋の丁稚
 お勝 三島屋の女中
 青野利一郎... 手習所の師匠
 金太、捨松、良介...新太の手習所仲間
 行然...僧侶(偽坊主)


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