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うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

かわたれどき

2019年04月11日 | 畠中恵
2019年2月発行

 お気楽な、名主の跡取り麻之助と、家督を継いで名主となった清十郎。そして八丁堀見習同心の吉五郎。3人の悪友たちが繰り広げる人情物語「まんまこと」シリーズ第7弾。

きみならずして
まちがい探し
麻之助が捕まった
はたらきもの
娘四人
かわたれどき 計6編の短編連作

きみならずして
 麻之助の元に、神田の塗り物問屋・楓屋を名乗るおりょうという娘が訪ないを入れた。その用件は、この度の縁組の下見だと言う。
 寝耳に水の麻之助だったが、どうやら、お由有の実父・札差の大倉屋、吉五郎の養父・北町奉行所同心の相馬小十郎、神田の高利貸し・丸三らが、競って麻之助の縁組をまとめようとしているらしい。
 麻之助は、誰がおりょうとの話を進めているのかを調べるうちに、「おりょうと縁のあった相手は皆不幸に見舞われる」といった剣呑な噂を耳にするのだった。

まちがい探し
 地本問屋・喜楽屋から、金魚の絵を持ち込んだ男を捜し出すように頼まれた麻之助。町名主の仕事として引き受けるが、喜楽屋の手代・熊助は、自分こそがその絵師だと、見え見えの嘘を付き…。
 探索を始めた麻之助は、料理屋・花梅屋に辿り着き、そこで、遠縁に当たる呉服太物問屋・笹川屋の娘・お珠、そのお珠と何やら揉めていた貸本屋の竹五郎に出会う。
 そして、熊助と竹五郎に絞られた絵師探しは、思わぬ人物を炙り出していくのだった。

麻之助が捕まった
 神田で、地代賃料業を営む五国屋夫婦から、昔、泣く泣く手放した息子の為吉の行方を探して欲しいと、頼まれた麻之助。程なく品川の米屋・白川屋に奉公する為吉は見付かったのだが、その養父母は既にみまかり、実子か否か定かでないと、五国屋の腰は引けている。
 為吉が実子である証し探しに、花梅屋のお雪が一計を投じ、麻之助、吉五郎、清十郎らは動き出すが、そこに、為吉の義弟(養家の実子)の幸太郎が、とんだ災いを招いており、ことは為吉や五国屋にまで及び…。

はたらきもの
 天狗や怪異の噂が江戸を飛び交っていた。そんな折り、麻之助、清十郎、吉五郎、両国の顔役・貞吉の四人は、 両国橋近くの料理屋・南北屋へと呼び出されたのだった。彼らを呼び付けたのは、札差の跡取り息子三人(大倉屋冬太郎、中森屋秋太郎、虎白屋春太郎)。
 どうやら総領息子の己よりも、麻之助等の方が重く見られていること立腹の様子。
 そして彼らは、江戸を賑わす剣呑な噂の出所を調べろと、麻之助たちに威圧するのだった。

娘四人
 日本橋界隈を盗賊が荒し回っていた。奉行所は面目を掛け、盗賊を捕獲せねばならない。
 そんな折り、日本橋の両替屋・小加根屋は、長年に渡り、同心・和木坂剛一郎が受持っていたのだが、訳を明確にしないまま、新人の前川へと交代した。
 そのことにより、世間では小加根屋の非ぬ噂が流れ、長女の縁組にも差し障りが出る有様。
 ことを重く見た二女・緒りつが、与力・北山の娘であるお紀乃を通し、北町奉行所同心・相馬家に相談を持ち込んだことから、町屋の問題は町名主の跡取りの麻之助、町名主の清十郎がことの次第を突き止める運びとなり…。
 そこに絡む、男女の思い。果たして…。
 ここに詳しくは記さないが、畠中氏にしては珍しい結びで興味深い。

かわたれどき
 深川の出水に料理屋花梅屋の孫娘・お雪が飲み込まれ、一晩川に浸かりながらも、一命を取り止めた。お雪を救ったのは、両替商矢田屋の婿養子・八三郎。
 妻のお市を探すために船を出したところ、木にしがみついたお雪を救い出したのだった。健康を取り戻したお雪だったが、ポッカリと記憶が抜け落ち、それは何やら怖いものを見たかららしい。
 麻之助は事情を探る為に八三郎を訪うのだった。だが、矢田屋の奉公人と八三郎の関係に違和感を感じ得ない。お市と八三郎の関係にも剣呑な噂があった。

主要登場人物
 高橋麻之助...神田の古町名主宗右衛門の総領息子
 八木清十郎...隣町の町名主
 相馬吉五郎...北町奉行所見習同心
 故・野崎寿ず...麻之助の妻、吉五郎の遠縁
 頼町おこ乃...吉五郎の姪、寿ずの又従姉妹の娘
 貞吉(両国の貞)...両国の顔役、物売り
 大貞....両国の顔役、貞吉の父親 
 丸三...神田の高利貸し
 お虎....丸三の妾
 相馬小十郎...北町奉行所定町廻り同心、吉五郎の義父
 相馬一葉...小十郎の娘、吉五郎の許嫁
 みけ(八木家)、とら(相馬家)、ふに(高橋家)...兄弟猫
 大倉屋....札差、お由有の実父
 大倉屋冬太郎....大倉屋の総領息子
 お浜....料理屋花梅屋の隠居
 お雪....料理屋花梅屋の孫娘
 お紀乃....北町奉行所与力・北山の娘
 緒りつ....日本橋・両替屋小加根屋の二女

むすびつき

2018年10月12日 | 畠中恵
 2018年7月発行

 大妖である皮衣を祖母に持つ事から、妖や付喪神が見えるが、滅法身体の弱い若旦那と、若旦那命の妖たちが織りなすファンタジー小説第17弾。

昔合った人
ひと月半
むすびつき
くわれる
こわいものなし 
終       計6編の短編連作

昔合った人
 上野広徳寺の高僧・寛朝からの依頼で、出掛けた一太郎一行は、そこで、蒼く丸い玉である蒼玉を見せられた。
 どうやら付喪神になり掛けているらしく、「若」とだけ呟くらしく、寛朝は、長崎屋の若旦那である一太郎に心当たりは無いかと問いたかったのだ。
 だが、一太郎は蒼玉を見るのも初めてで、皆目見当も付かない、そんな中、貧乏神の金次が、遠い昔の記憶の欠片に思い当たると、回想する。
 
ひと月半
 一太郎と、仁吉、佐助が箱根に湯治に出掛けてひと月半。留守居の妖たちが首を長くして一太郎の帰りを待っている折り、死神を名乗る3人の男が現れた。
 どうにも胡散臭い自称死神たちを選別するため、催された「化け合戦」。
 見物の野次馬たちの中に、新たに2人の死神を見極めた妖たちは、死神の目的を探り出そうとするのだった。

むすびつき
 一太郎の前世と己は、旧知であると信じたい鈴彦姫は、自身の鈴が納められている五社神社の神主・星ノ倉宮司、その人ではなかったかと言い出す。
 そして、その証しを探すべく、屏風のぞき、おしろ、鳴家と向かったのだった。
 そこで、今現在の五社神社が窮地に陥っていることと、星ノ倉宮司の不可思議な死。同時に消え失せた金の謎を知る。子細を把握した一太郎は謎解きに取りかかった。

くわれる
 長崎屋の離れに一太郎を訪ったのは、人を喰らうという悪鬼のもみじと青刃だった。鬼女のもみじ曰く、一太郎とは三百年前に将来を誓い合った仲だと。どうやらまた、一太郎の前世の知り合いらしい。その辺りの事情も納得出来ないちに、妖のもみじは、同時に訪っていた一太郎の許嫁・於りんと共に、攫われてしまう。
 二人の身柄との引き換えは、栄吉が考案した辛あられと、北国の雪屋が売り出している甘味噌饅頭を参考にした甘味噌団子のレシピと、栄吉が菓子職人を辞めることだった。
 この不可思議な取引に、一太郎は二人の身柄探しと同時に犯人がもみじに喰われないためにと、謎解きに掛る。

こわいものなし
 猫又のおしろは、同じく猫又のだんごからの頼みで、病いに苦しむ、飼い主の笹女のため、長崎屋で薬を頂けないかといった申し出を受けた。
 その笹女の飼い猫・だんごが、猫又であると知った、長屋の隣に住う夕助までもが、長崎屋を訪い、輪廻転生を説明して欲しいと強請る。
 それは上野広徳寺の高僧・寛朝が適任だと一太郎と妖たちは広徳寺へと夕助を伴うが、折しも同寺は、神職・昭安と、その神宮寺の弘文が諍いの真っ最中。
 大物主の神までもがその揉め事に介入し、夕助は図らずも、望んでいた転生を繰り返すことに…。
 

 「若旦那がいなくなった」と、泣く小鬼。どうやら、このところ、昔話が続いたせいで、先のことを思うと、若旦那の居ない世の中を想像し、怖くなったらしい。

 あれっ、シリーズ終了か? 書き下ろしの「終」が、そんな締め方なのだ。気になる。

主要登場人物
 長崎屋一太郎...日本橋通町廻船問屋・薬種問屋長崎屋の若旦那
 仁吉(白沢)...妖、薬種問屋長崎屋の手代
 佐助(犬神)...妖、廻船問屋長崎屋の手代
 屏風のぞき...付喪神
 鳴家(小鬼)...妖
 鈴彦姫...付喪神
 金次...貧乏神
 おしろ...猫又
 守狐...長崎屋の稲荷に住まう化け狐
 日限の親分(清七)...岡っ引き
 美春屋栄吉...日本橋菓子屋の嫡男(安野屋で修行中)、一太郎の幼馴染み
 寛朝...上野広徳寺の僧侶
 秋英...上野広徳寺の僧侶、寛朝の弟子
 黒羽坊...元小田原の天狗、寿真の弟子
 本島亭場久...貘の妖、噺家
 於りん 深川材木問屋・中屋の娘・一太郎の許嫁(いいなずけ)
 月岡宮司...五社神社の神主

とるとだす

2017年08月03日 | 畠中恵
 2017年7月発行

 大妖である皮衣を祖母に持つ事から、妖や付喪神が見えるが、滅法身体の弱い若旦那と、若旦那命の妖たちが織りなすファンタジー小説第16弾。

とるとだす
しんのいみ 
ばけねこつき
長崎屋の主が死んだ
ふろうふし 計5編の短編連作

とるとだす
 上野広徳寺にて行われた、薬種屋の集まりで、長崎屋の主・藤兵衛が昏睡状態に陥った。
 見ていた者の話では、何やら薬を飲んだと言う。一太郎と妖たちは、「長崎屋の一大事」に、立ち上がる。
 そこには藤兵衛の、果てしない親心があった。

しんのいみ
 病いに伏せる父・藤兵衛の枕を反転させた、枕返しを探す一太郎は、突如として江戸に現れた、蜃気楼に迷い込んでしまった。
 そこに長く居ると、次第に記憶が失せ、何もかも忘れてしまうと言う。
 一太郎も、鳴家の名を忘れるなどの記憶障害が起こり始めていた。一刻も早く、枕返しを見付けて江戸へと戻らなくては…。

ばけねこつき
 染物屋・小東屋の主が、娘のお糸を伴い、一太郎の元を訪なった。小東屋は唐突に、一太郎とお糸の縁組話を切り出す。何でもお糸には星降るが如く縁組があったが、二度立て続けに断られ、その理由が、「お糸に化け猫が付いている」からだと言う。
 お糸の嫁入り道具は、長崎屋藤兵衛の病いに効く薬だと、一太郎に取引を持ち掛ける始末。
 秘密裏に行われた話し合いにも関わらず、瞬く間に読売に書き立てられるなど、どうにも剣呑な話となっていくのだ。
 一太郎は、その真相を探るべく、動き出す。

長崎屋の主が死んだ
 長崎屋の離れに、妖・狂骨が現れた。噂に寄れば祟られて幾人かの死人も出ている。
 今度は、病いに付せる父・藤兵衛に災いをもたらすのではと考えた一太郎は、妖退治で名を馳せる、上野寛永寺の寿真を訪なうも、時を同じくして寛永寺、そして寛朝の居る上野広徳寺でも僧侶の女犯問題が起きていることを知る。
 狂骨の正体を突き止めるため、寛朝の下へと向かった一太郎たちは、安時という僧侶の悲恋話を知る。

ふろうふし
 病いに付せる父・藤兵衛のために、解毒薬を手に入れようと、常世の国に住う、少彦名を訪ねることにした一太郎。
 だが、かの地には、永久の命をもたらすとされる「非時香菓」も生っていることから、剣呑な侍たちに追われることになってしまう。
 果たして無事に常世の国に辿り着けるのか。少彦名に会うことはできるのか? 藤兵衛のための薬は…。一太郎の冒険と戦いが始まった。

 シリーズも16作ともなると、良く題材を考え付くものだと、作家の才に頭が下がる思いである。
 一時、蚊帳の外感のあった一太郎だが、やはり主役の座に座っていないと、「しゃばけ」シリーズとしては物足りず、今作では、その活躍が牽引している。

主要登場人物
 長崎屋一太郎...日本橋通町廻船問屋・薬種問屋長崎屋の若旦那
 仁吉(白沢)...妖、薬種問屋長崎屋の手代
 佐助(犬神)...妖、廻船問屋長崎屋の手代
 おたえ...一太郎の母親 
 長崎屋藤兵衛...一太郎の父親、長崎屋の主
 屏風のぞき...付喪神
 鳴家(小鬼)...妖
 鈴彦姫...付喪神
 金次...貧乏神
 おしろ...猫又
 守狐...長崎屋の稲荷に住まう化け狐
 野寺坊...獺の妖
 寛朝...上野広徳寺の僧侶
 寿真...東叡山寛永寺の僧侶
 秋英...上野広徳寺の僧侶、寛朝の弟子
 黒羽坊...元小田原の天狗、寿真の弟子
 本島亭場久...貘の妖、噺家
 喜見...蜃気楼・蛟竜
 坂左...枕返し
 大黒天...財福の神(七福神)
 小彦名...薬租神
 金時...(坂田金時/金太郎) 神仙
 島子...(浦 島子/浦島太郎) 神仙


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ひとめぼれ

2017年04月30日 | 畠中恵
 2017年4月発行

 お気楽な、名主の跡取り麻之助と、家督を継いで名主となった清十郎。そして八丁堀見習同心の吉五郎。3人の悪友たちが繰り広げる人情物語「まんまこと」シリーズ第6弾。

わかれみち
昔の約束あり
言祝(ことほ)ぎ
黒煙
心の底
ひとめぼれ 計6編の短編連作

わかれみち
 お由有にひどい仕打ちをした、幸太の父親である横平屋の達三郎が何喰わぬ顔で江戸に舞い戻ったと知り、お由有の実父・札差しの大倉屋は、横平屋の取り潰しを画策する。その鮮やかな手管を目の当たりにしたばかりの麻之助たちに、今度は定町廻り同心・山本家に養子に入った又八郎が、襲われる事件に関わってしまった。
 そもそも又八郎は町家の出であり、実家の酒屋・高須屋の出見世を任されていたが、甲斐性がなく潰してしまったのだった。その当時の奉公人たちの恨みからではあるが、麻之助は裏で糸を引く存在に気付き…。

昔の約束あり
 相馬吉五郎は、両国橋西詰にて衆人観衆の下、「千里眼の予言で相馬家と縁を結ぶ者である」と、仏具屋・東国屋の娘・お蝶に詰め寄られる。
 元より養子である吉五郎には、身に覚えがないばかりか、居合わせた麻之助もその内容も腑に落ちない。事情を義父・小十郎告げるも、一蹴するのだが、気になるのは、相馬家の娘で吉五郎の許嫁の一葉である。
 麻之助たちの制止を聞かずに、お安、お虎と共に東国屋を訪なうが、そのまま足取りが消えてしまった。
 麻之助たちは、三人の行方を追ううちに、お蝶には、小普請組世話役の多村との縁組の話があると知るのだった。
 
言祝ぎ
 吉五郎の姪・おこ乃に三つもの縁談が持ち込まれた。大名家の陪臣で、200石の頼町の娘の縁談とあっては、慎重にならざるを得ない。
 そしてどの縁も、どこかが引っ掛かる、吉五郎の養父・相馬小十郎は、麻之助に、3人の調べを依頼する。麻之助は金貸しの丸三、両国の顔役の貞吉と共に、おこ乃にとっての良縁を探り出した。

黒煙
 支配町で火事が起きた。たまたま居合わせた麻之助は。逃げ遅れた者がいないか見回る中、泣いている双子の子どもを無事保護した。それは、唐物屋・菊屋仙十郎の子どもであったが、何故に子どもだけが取り残されたのかと、訝しがる仙十郎。
 一方、八木家の支配町では、火事騒動の最中に、小間物屋・丸太屋から螺鈿細工の櫛が失せ、それが扇屋・紅屋の娘・おかやの仕業ではないかと、ひと悶着。
 双方の、腑に落ちない点を繋ぐと、ひとつの答えが…。

心の底
 定廻り同心・相馬小十郎の頼みで、麻之助は、商いの為、旅に出たきり行方知らずの、葉茶屋鳴海屋の二男・丈之助を探しに東海道を旅する運びとなっていた。
 同行は、丈之助の許嫁・料理屋花梅屋の隠居・お浜である。孫娘・お雪の縁組相手が行く方知らずとあって、我が目で確かめようとしていた。
 が、いつしか麻之助は、方々から土産を頼まれたり、許嫁のお雪までもが旅に同道すると言い出したり。
 そんな中、江戸で丈之助を見掛けたという話が伝わり…。

ひとめぼれ
 吉五郎の許嫁である養子先のひとり娘・一葉に、仏具屋の四男坊の春四郎が「同心になりたい。武士になりたい」と、近付いていた。
 春四郎の甘い顔立ちに、若い一葉は夢中になり、吉五郎は気が塞いでいた。
 だが、相馬家当主の小十郎は、跡取りは吉五郎とし、一葉は好いた相手に嫁がせると決断。一葉の思いと、春四郎の思惑が擦れ違う。

主要登場人物
 高橋麻之助...神田の古町名主宗右衛門の総領息子
 八木清十郎...隣町の町名主
 相馬吉五郎...北町奉行所見習同心
 高橋宗右衛門...神田の古名主、麻之助の父親
 故・野崎寿ず...麻之助の妻、吉五郎の遠縁
 お由有...清十郎の義母、故・源兵衛(清十郎の父親)の後妻
 幸太...お由有の実子、清十郎の義弟
 お安....清十郎の妻、町名主・甲村家の娘
 頼町おこ乃...吉五郎の姪、寿ずの又従姉妹の娘
 貞吉(両国の貞)...両国の顔役、物売り
 大貞....両国の顔役、貞吉の父親 
 丸三...神田の高利貸し
 お虎....丸三の妾
 相馬小十郎...北町奉行所定町廻り同心、吉五郎の義父
 相馬一葉...小十郎の娘、吉五郎の許嫁
 みけ(八木家)、とら(相馬家)、ふに(高橋家)...兄弟猫






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まことの華姫

2016年10月22日 | 畠中恵
 2016年9月発行

 人形遣いの月草と、姫様人形お華の迷コンビが江戸の事件を快刀乱麻!


まことの華姫
十人いた
西国からの客
夢買い
昔から来た死
終  短編連作

 江戸両国の見世物小屋では、人形遣いの芸人・月草と、相方の木偶の姫様人形・お華が大人気になっていた。
 その芸は、月草がひとり二役で、話芸を繰り広げるだけではなく、お華は、単なる人形ではなく。「まことの華姫」の異名を持つ程に、真実を言い当てると、もっぱらの評判を呼んでいた。
 なぜなら、お華の目は、真の井戸から真の井戸から引き上げられた、水を固めたような玉で創られていたのだ。

まことの華姫
 姉の死は、実の父が原因かもしれないと疑う、小屋一帯の地回りの娘・お夏。

十人いた
 七年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに我が子を捜し続ける夫婦に、突然十人の子どもが名乗りを上げる。

西国からの客
 行方知れずとなった親友かつ義兄を捜しにはるばる西国からやってきた若旦那。

夢買い
 華姫が「真」を話すと聞き付け、それ盗み出そうとする者あり、安い木戸賃で小屋に入り、「真」を語らせようとする者あり。

昔から来た死
 火事で傷を負い人形師を続けられなくなったがために、添えなくなった元許嫁のお路が夫殺しの嫌疑が掛っていることを知った月草だったが。

 「うーむ」。どうにも畠中恵さん“らしからぬ”作品に感じた。結局お華(華姫)はただの木偶人形なのか…。
 釈然としない。個人的な独断ではあるが、ちょっと「違うかな」感が拭えず、物語に入り込めなかった。
 畠中氏は、ファンタジーを得意としているのだから、この作品もいっそ、華姫をファンタジー仕立てにしてくださった方が、分かり易かったような気がする。
 ただし、飽くまでも、個人的感想であって、嗜好の相違だろう。因に、畠中氏の作品で一番好きなシリーズは、「まんまこと」。作品としては、「こころげそう」である。

主要登場人物
 お華…真の井戸から引き上げた水を固めたような玉の目を持つ、木偶の姫様人形
 月草…腹話術の人形遣い(元は西国の人形師)
 山越…両国の地回りの頭、小屋主
 お夏…山越の娘



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若様とロマン

2016年10月21日 | 畠中恵
 2016年4月発行

 文明開化華やかし明治を舞台にした青春ストーリー。「アイスクリン強し」、「若様組まいる」に続くシリーズ第3弾。

園山・運動会
小山と小沼・川開き
加賀・百花園
長瀬・居留地
真次郎・亜米利加 計5編の短編連作

 平穏に過ぎていた明治の世に、不穏な空気が漂い始めていた。戦へと突き進みつつある一派の意向を押さえようと、成金のひとり小泉琢磨はこのままでは開戦派を押さえようと秘策を練る。
 それは、若様たちに縁組をし、開戦派に対抗する同士を増やそうというその魂胆。早々、若様たちの見合いを画策するが…。

 漸く、時間が取れ、読み終えました。若様それぞれが、小泉琢磨の政治力の為に、見合いをさせられる話で、一章毎に、各々が主役となる、同シリーズ初めての手法で描かれている。見合いひとつにおいても、相手の事情やシチュエーションなどが絡み、一筋縄ではいかないといった具合。
 そして、多分…大凡…。同シリーズはこれで終幕か、もしや、舞台や時代を移して第二幕の幕開けとなるのか…。いずれにしても、それぞれの人生の岐路を描いて筆を置いている。
 確か、第1弾の「アイスクリン強し」では、ミナこと、皆川真次郎が主役だった筈が、第2弾の「若様組まいる」では、若様たち(永瀬健吾・園山薫)が主役になり、今回は満遍なく主役のバトンを繋ぐといった、考え抜かれたシリーズだ。

主要登場人物
 永瀬健吾...巡査(若様組の頭/元二千石の若様)、ミナの幼馴染み
 福田春之助...巡査(若様組/元千石の若様)
 園山薫...巡査(若様組/元三千石の若様)
 小山孝...巡査(元三百石の若様)
 小沼武一...巡査(元五百石の若様)
 皆川真次郎(ミナ)...築地外国人居留地の西洋菓子店風琴屋の主
 小泉琢磨...小泉商会の主
 沙羅...琢磨の娘、女学生、ミナの幼馴染み









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おおあたり

2016年08月20日 | 畠中恵
 2016年7月発行

 大妖である皮衣を祖母に持つ事から、妖や付喪神が見えるが、滅法身体の弱い若旦那と、若旦那命の妖たちが織りなすファンタジー小説第15弾。


おおあたり
長崎屋の怪談
はてはて
あいしょう
暁を覚えず 計5編の短編連作

おおあたり
 一太郎の幼馴染み・栄吉の拵えた「辛あられ」が大当たり。その「辛あられ」は、栄吉の実家・三晴屋で制作し、長崎屋で販売すると、瞬く間に評判となったのだった。
 だが、そこから栄吉の許嫁・お千夜との祝言話やら、「辛あられ」の類似品やらで、一太郎始め長崎屋の面々も騒動に巻き込まれていく。

長崎屋の怪談
 真夏のある日、清涼のため長崎屋所有の一軒家で、本島亭場久の寄席を開くこととなった。場久の悪夢の怪談は大盛況で幕を下ろしたが、すぐに場久自身が、悪夢に追い掛けられていると感じるようになった。
 同時に、岡っ引きの才蔵の姿が消え失せ、嫌疑の目が日限の親分に向けられて…場久の噺のとおりの悪夢なのか、それとも…。長崎屋に集う妖たちが立ち上がる。

はてはて
 貧乏神の金次が、落とされた饅頭の代金の代わりに渡された、富籤が300両の大当たり。しかし、その富籤は、割り札で2枚のところが3枚持ち主がいた。一体誰の富籤が偽物なのか…。
 そんな最中、長崎屋に3人の女が、自分こそ富籤の賞金を手にするに相応しいと、分け前を要求。
 偶然手にした1枚の富籤が、とんだ大騒動へと。人間の依怗や欲を目の当たりにした時、金次は…。

あいしょう
 仁吉と佐助が、一太郎に仕えた時の初めて物語り。十歳の小僧に姿を代えて、長崎屋にやって来た仁吉と佐助。
 だが、顔合わせの直後に一太郎が忽然と消えていた。長崎屋に住う妖と共に、仁吉と佐助は、一太郎の追跡を始めるが、そこには、大店の子どもの勾引(かどわか)しに関わる事件の匂いが…。そして合羽まで現れて…。
 果たして人の仕業か、はたまた妖なのか、仁吉と佐助の意見は真っ二つに分かれる。

暁を覚えず
 釣りの接待に行くことになった一太郎の供に誰がなるか。妖たちは、美晴屋の饅頭に3個だけ栄吉の拵えた饅頭を混ぜておき、引き当てた者が釣りに出掛けるといった懸けを思い付くが、一太郎の異母兄・松之助が栄吉の拵えた饅頭を沢山携えて来たことから…。
 その松之助到来の目的は、ある悩み事の相談であった。

主要登場人物
 長崎屋一太郎...日本橋通町廻船問屋・薬種問屋長崎屋の若旦那
 仁吉(白沢)...妖、薬種問屋長崎屋の手代
 佐助(犬神)...妖、廻船問屋長崎屋の手代
 おたえ...一太郎の母親 
 長崎屋藤兵衛...一太郎の父親、長崎屋の主
 伊三郎...一太郎の祖父、皮衣(ぎん)の亭主
 皮衣(ぎん)...一太郎の祖母、妖
 屏風のぞき...付喪神
 鳴家(小鬼)...妖
 鈴彦姫...付喪神
 金次...貧乏神
 おしろ...猫又
 守狐...長崎屋の稲荷に住まう化け狐
 日限の親分(清七)...岡っ引き
 野寺坊...獺の妖
 美春屋栄吉...日本橋菓子屋の嫡男(安野屋で修行中)、一太郎の幼馴染み
 青玉屋松之助...日本橋小間物屋の主、一太郎の異母兄
 本島亭場久...貘の妖、噺家
 お千幸...万之助の妹




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うずら大名

2016年05月21日 | 畠中恵
 2015年9月発行

 「御吉兆!」と鳴く勇猛果敢な鶉(うずら)を連れた若き隠居大名・有月。泣き虫で人に振り回されてばかりの村名主・吉之助。昔なじみだった二人が再会し、江戸を揺るがす難事件、背後に蠢く策謀に挑む!

うずら大名
御吉兆聞こえず
大根一万本
書き付けの数字
佐久夜の初泳ぎ
江戸の合戦 長編

 若き日に不動下道場に通った、貧乏武家の部屋住み・有月と百姓の三男・吉也。二人だけではなく、ほかの面々も、養子先でも見付けなければ先が開けぬ身の上だった。
 だが、運命とは分からぬもので、豊島村の村名主となった吉之助(吉也)は、然る大名家へ向かう途中に辻 斬りに襲われるも、「御吉兆ーっ」という鳴き声と共に飛び込んできた一羽の白い鶉とその飼い主である侍に命を救われる。そして、その侍こそが、十数年振り に再会した有月だった。
 部屋住みだった有月も、大名家を継ぎ、現在では若き隠居となっていた。
 そんな有月によって、吉之助は、「大名貸し」を強要されるやら、江戸近隣で相次ぐ豪農不審死事件に巻きこまれてるやら。
 そして、それらの事件に関わるうちに、豪農や商人による、武家の身分の売買を知る。御家人株ならいざ知らず、それは幕府を揺るがし兼ねない恐ろしい陰謀へと…。

 畠中氏の新シリーズとなるであろう、本作。分限者が事件を解決するのは、代表作の「しゃばけ」シリーズや、「まんまこと」シリーズでもお分かりの通り、氏の得意な分野である。
 そこに大名がプラスされ、更なるパワーアップ。大事件へと絡んでいけるといった新境地となるか…。
 本作の主人公の、吉之助と有月の関係が、「ちょちょら」の間野新之介(播磨国多々良木藩の江戸留守居役)と、岩崎(伊勢国久居藩の江戸留守居役)を彷彿とさせる。そう言えば、「ちょちょら」は史実をベースに描かれ、大層面白かったが、続編はなにのだろうか?
 間野新之介が多々良木藩士ということは、同作とのジョイントも期待できる。
 いずれにしても、続編が待たれる新作である。

主要登場人物
 高田家吉之助(吉也)…東豊島村名主(豪農)
 有月(浅山日向守有正)…播磨国多々良木藩・先代藩主(大殿)
 佐久夜(さくや)…有月が手懐けた白い鶉(うづら)
 左源太…有月の御付人
 お奈々…吉之助の姪
 山崎友衛…不動下道場師範
 榎本…不動下道場師範代




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若様とロマン

2016年04月22日 | 畠中恵
 2016年4月発行

 文明開化華やかし明治を舞台にした青春ストーリー。「アイスクリン強し」、「若様組まいる」に続くシリーズ第3弾。

園山・運動会
小山と小沼・川開き
加賀・百花園
長瀬・居留地
真次郎・亜米利加 計5編の短編連作

 平穏に過ぎていた明治の世に、不穏な空気が漂い始めていた。戦へと突き進みつつある一派の意向を押さえようと、成金のひとり小泉琢磨はこのままでは開戦派を押さえようと秘策を練る。
 それは、若様たちに縁組をし、開戦派に対抗する同士を増やそうというその魂胆。早々、若様たちの見合いを画策するが…。

主要登場人物
 皆川真次郎(ミナ)...築地外国人居留地の西洋菓子店風琴屋の主
 永瀬健吾...巡査(若様組の頭/元二千石の若様)、ミナの幼馴染み
 福田春之助...巡査(若様組/元千石の若様)
 園山薫...巡査(若様組/元三千石の若様)
 小泉琢磨...小泉商会の主
 沙羅...琢磨の娘、女学生、ミナの幼馴染み



※お詫び
 申し訳ありません。未だ読んでおらず、何時になったら読めるかも分かりませんので、概要だけ記させていただきます。講読次第、更新させていただきます。





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明治・金色キタン

2015年11月11日 | 畠中恵
 2015年11月発行

 江戸が明治に改まって20年。煉瓦街が並ぶ銀座は、夜を照らし出すアーク灯が灯る東京でも一番のモダンな街へと変貌していた。
 そこにモダンとは掛け離れた、江戸の遺物のような、掘立小屋のような派出所があった。だが、それは建物だけではなく、明治の世では消えてしまったと思われている妖たちが跋扈していたのである。「明治・妖モダン」シリーズ第2弾。


第一話 赤手と菜の花

第二話 花乃と玻璃

第三話 モダン 美人くらべ

第四話 闇の小道

第五話 上野の競馬

第六話 祟り、きたる

終            短編連作

 巡査の滝と原田は、日々持ち込まれる事件や相談事の解決に奔走する。だがこの2人とその周囲には、時折、妖も姿を現すのだった。
 不忍池の競馬場、女学生と結婚事情、頼母子講等に奔走しながらも、全編を通し廃仏毀釈によって消えた寺と仏像の謎解きも描かれている。

主要登場人物(レギュラー)
 原田巡査...銀座煉瓦街四丁目・交差点派出所勤務の警官
 滝駿之介巡査...銀座煉瓦街四丁目・交差点派出所勤務の警官
 百木賢一(百賢)...銀座煉瓦街三丁目牛鍋屋・百木屋の主
 百木みなも...賢一の長妹
 百木みずは...賢一の次妹
 赤手...銀座煉瓦街三丁目裏路地・煙草商
 お高...三味線の師匠
 騙しの伊勢...詐欺師
 長太...かっぱらい

※お詫び
 申し訳ありません。未だ読んでおらず、何時になったら読めるかも分かりませんので、概要だけ記させていただきます。講読次第、更新させていただきます。


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うずら大名

2015年11月11日 | 畠中恵
 2015年9月発行

 「御吉兆!」と鳴く勇猛果敢な鶉(うずら)を連れた若き隠居大名・有月。泣き虫で人に振り回されてばかりの村名主・吉之助。昔なじみだった二人が再会し、江戸を揺るがす難事件、背後に蠢く策謀に挑む!

うずら大名
御吉兆聞こえず
大根一万本
書き付けの数字
佐久夜の初泳ぎ
江戸の合戦 長編

 若き日に同じ道場に通った貧乏武家の部屋住み・有月と百姓の三男・吉也。
 今や豊島村の村名主となった吉之助(吉也)は、然る大名家へ向かう途中に辻斬りに襲われるも、「御吉兆ーっ」という鳴き声と共に飛び込んできた一羽の白い鶉とその飼い主である侍に命を救われる。そして、その侍こそが、十数年振りに再会した有月だった。
 だが、大名を自称する有村は、どう見ても怪しく謎めいていた。鶉の佐久夜と、正体不明の自称大名の有月に振り回されながらも、泣き虫吉之助が幕府を揺るがす陰謀に挑む。

※お詫び
 申し訳ありません。未だ読んでおらず、何時になったら読めるかも分かりませんので、概要だけ記させていただきます。講読次第、更新させていただきます。


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なりたい

2015年08月04日 | 畠中恵
 2015年7月発行

 大妖である皮衣を祖母に持つ事から、妖や付喪神が見えるが、滅法身体の弱い若旦那と、若旦那命の妖たちが織りなすファンタジー小説第14弾。
 病いがちの若旦那。神様相手に、来世では何になりたいかを苦悶中。


妖になりたい
人になりたい
猫になりたい
親になりたい
りっぱになりたい 
終 計5編の短編連作

妖になりたい
 何とか働きたい一太郎は、妖たちの力を得て、新しい薬を考案していた。その薬作りに協力を得たい西八谷村の名主・甚兵衛から、協力の見返りとして、妖になることを要求される。
 一方、一太郎を逆恨みする赤山坊と名乗る天狗も現れる。

人になりたい
 同行の士たちが集う「江戸甘々会」で、その中のひとり菓子売りの勇蔵が死体となって発見されたが、どうにも不可解であるところに、死人の筈の勇蔵が消えた。
 難事件のお鉢が回ってきた日限の親分は、一太郎を訪ね、事件の謎解きを懇願する。屏風のぞきや貧乏神の金次など妖たちが結集して一太郎の手足となり謎に挑むと、意外な事実が…。

猫になりたい
 傾き掛けた稼業の相談に一太郎を訪った手拭い染谷屋
の青竹屋春一と紅松屋冬助。二人の訪いの訳は、春一にあった。
 一方、戸塚宿の長・虎と藤沢宿の長・熊市の猫又が、東海道の長を掛けた判定を仰ぎたいと一太郎を訪れた。だが、その前に草鞋を脱いだ長崎屋の家作の一軒家で貧乏神の金次を怒らせてしまったから大変。
 そして、長崎屋の一番蔵から大福帳が盗まれるといった事件まで重なり、虎と熊市もその犯人探しにを手助けすることとなった。

親になりたい 
 奉公人のおようが、煮売り屋柿の木屋の主と見合いをした。だが、柿の木屋の三歳になる三太が曰く付きの子で、この子の親になるのは難しいと、おくまま話を断るが、当のおようは柿の木屋を好いていた。そのおようから、三太のことを調べて力になって欲しいと頼まれた一太郎。早々、佐助や妖たちと三太に会いに行く。
 すると三太の意外な正体が分かり…。また、三太の実父を名乗る猪助まで現れ、柿の木屋を手伝い出した。

りっぱになりたい
 茶問屋・古川屋の息子・万之助が若くして亡くなった。その通夜の席で一太郎は万之助の霊と出会ってしまう。一太郎にしか見えない万之助は、産まれ変わったらどんな仕事がしたいかを親に伝えたいと一太郎に縋る。
 そんな通夜の折り、万之助の妹お千幸の姿が忽然と消え、三十両を要求する文が届いたから大騒動。
 妖たちも乗り出して事の真相に迫るのだが、一太郎にはどうにも腑に落ちない勾引し事件であった。

 これまでのシリーズとは一風変わった趣向で物語が進行する。シリーズも14回を重ねれば、脇役もメインを張れるくらいに、キャラ立ちしたということか。
 主人公をゲストに迎えて謎解きがメインになっているが、初期シリーズのようなストーリもやはり捨て難く、一太郎、仁吉、佐助の独立した活躍を次回は期待して止まない。
 そして、終章を読むと成る程。「明治妖ロマン」へと繋がるのだ。こういった当たりが「凄いなあ」。

主要登場人物
 一太郎...日本橋通町廻船問屋・薬種問屋長崎屋の若旦那
 仁吉(白沢)...妖、薬種問屋長崎屋の手代
 佐助(犬神)...妖、廻船問屋長崎屋の手代 
 藤兵衛...一太郎の父親、長崎屋の主
 おくま...長崎屋の女中頭
 およう...長崎屋の下女
 屏風のぞき...付喪神
 鳴家(小鬼)...妖
 鈴彦姫...付喪神
 金次...貧乏神
 おしろ...猫又
 日限の親分(清七)...岡っ引き
 お獅子...付喪神
 寛朝...上野広徳寺の僧侶
 寿真...東叡山寛永寺の僧侶
 秋英...上野広徳寺の僧侶、寛朝の弟子
 黒羽坊...元小田原の天狗、寿真の弟子
 本島亭場久...貘の妖、噺家
 赤山坊 天狗
 甚兵衛 西八谷村の名主
 勇蔵...菓子売り(道祖神)
 虎...戸塚宿の長(化猫)
 熊市...藤沢宿の長(化猫)
 紅松屋冬助...手拭い染谷屋
 青竹屋春一...手拭い染谷屋
 古川屋万之助...日本橋通町茶問屋の総領息子
 お千幸...万之助の妹
 末三...古川屋の手代
 塩浜屋弥曽吉...八丁堀糸物問屋の総領息子



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まったなし

2015年06月12日 | 畠中恵
 2015年6月発行

 お気楽な、名主の跡取り麻之助と、家督を継いで名主となった清十郎。そして八丁堀見習同心の吉五郎。3人の悪友たちが繰り広げる人情物語「まんまこと」シリーズ第5弾。

まったなし
子犬と嫁と小火
運命の出会い
親には向かぬ
縁、三つ
昔から来た文 計6編の短編連作

まったなし
 町名主を継いだばかりの若き当主・西松哲五郎が、祭りのための寄進が少なく、その存続も危ぶまれるとの相談事を高橋へ持ち込んだ。当主・宗右衛門は、同じく町名主の八木清十郎と共に、その打開策を話し合う。
 よって、名主の仕事は総領息子・麻之助と西松家の手代・辰平によって処理されている…筈であったが、その中に、今は亡き清十郎の父・源兵衛とおぼしく申し出に、清十郎とおぼしき息子の嫁取りを案じる内容があった。ほかに目を引いたのは、以前、清十郎と縁のあった吉田屋の娘・おときが、「狐憑き」と噂されている件。
 麻之助は、これは天からの導きとばかりに、清十郎を伴い吉田屋へと向かう。
 だが、「狐憑き」の噂を広めていた平井屋お万や、おときの縁談相手である米屋小池屋の隠居が、西松家からの寄進の話を知らない。二度も脅されたなどと、口走った事から、若き当主・哲五郎と手代・辰平の微妙な位置関係が明らかになる。
  
 相変わらずの飄々さで、事件を解決する麻之助。棒手振りの勝吉とおかめの夫婦喧嘩も交え、3つの出来事が重なり合う中で、そして、そろそろ清十郎が嫁を迎えるだろう事を匂わせている。

子犬と嫁と小火
 町内の大工の頭領の子・お松と鉄五郎から、子犬探しを託された麻之助。聞けば近頃、子犬や仔猫が頻繁に居なくなっているという。早速幼馴染みの清十郎に助けを求めるが、そちらの町内では小火騒ぎでそれどころではないらしい。
 ちょうど出会った2人は、火事騒ぎに巻き込まれ、清十郎は台八車を避け切れずに脚を敷かれ、助けようとした麻之助は堀川へ転がり落ちる。
 だが、この二つの出来事に関わりを感じた麻之助は、小火騒ぎの折りに子犬を探す少年の姿が目撃されていることを突き止めた。
 一方怪我で動きが取れない清十郎。ここ幸いとばかりに麻之助の父・宗右衛門は、見舞いと称して見合い相手の娘を次々と送り込む。
 そんな清十郎に、助け舟も出さなくてはならない麻之助は、扇屋吉田屋の娘・お香を差し向けるのだった。

 高橋家、八木家に持ち込まれた事件が絡み合い、謎解きをしていく手法は、毎度ながらも見事な展開であり、犯科帳物ではないので、町屋ならではの解決法も温かさを感じる。
 物語を通して描かれるであろう清十郎の嫁取りに、2人の候補が現れた。

運命の出会い
 江戸で麻疹が万延する中、真っ暗な道を歩く麻之助と清十郎の前に、救いを求め竹之助という少年が現れた。不気味な男・大江に、送ってやると執拗に追い掛けられていると言う。
 間に割って入ろうかといった麻之助と清十郎だったが、竹之助に逃げられた大江は、今度は麻之助と清十郎に照準を合わせたのだった。
 麻之助は、はたと気が付いた。清十郎共々、麻疹で病いの床にあった筈の己が、どうして灯りひとつない闇夜を歩いていたのか。
 大江は、幻覚を見せ、宗右衛門、お由有、寿ずと姿を変えて、あの手この手で麻之助を黄泉への渡し船の乗せようと企む。
 
 流行病により、死の淵にある人物へ、疫病神が取り憑き、三途の川を渡らせようとする幻想的な話に、未亡人となったお由有の後添え話が加わる。
 「まんまこと」シリーズでは珍しい、妖物。「しゃばけ」シリーズに麻之助と清十郎が迷い込んだかのような幻想的で、面白い話。麻之助の智恵と推理が光る。
 
親には向かぬ
 病に伏した質屋赤松屋から、愛息・万吉の養い親探しを頼まれた麻之助。万吉が成長するまで赤松屋の身代を守り切れ、かつ女手のある相手となると…同じ質屋を生業としてはいるが、裏で高利の金貸し業を営む丸三へと託す事にした。
 この仕儀を不思議に思う清十郎と吉五郎ではあったが、赤松屋の身代を狙う、実兄である浅草の胴元・与一(金に手を付け勘当の身)の登場で得心する。
 是が非でも赤松屋を手に入れたい与一は、丸三の妾・お虎を勾引し、人質に取るといった暴挙に及び、丸三一家と与一手下とを含めた争いに、両国の顔役・貞吉が加わり…。

 麻之助の知恵と丸三の人情味ある別の顔、そして貞の男気が描かれ、サブキャラである、丸三と貞が回を進める毎に無くてはならない存在感を示している。

縁、三つ
 麻之助の勝手知らないところで、書役の正吾が縁談絡みの裁定を下していた。そしてその裁定が片手落ちであると、公事にまで上ろうかといった騒ぎになっていた。
 それは長治を横取りした形のお真知が、その白無垢の仕立てをおしんに依頼するも、故意に汚されたと賠償を要求していたのだ。それを正吾は、おしん側に賠償金の支払いを命じていた。
 町名主の沽券はがた落ちである。麻之助は、縁組の当事者である長治、おしん、お真知とその縁者を呼び寄せ、新たに裁定を下そうと試みるも、それを待たずに長治が自らが身を引くと断言してしまう。
 果たして、白無垢を汚したのはおしんなのか…。その染みに麻之助は、真実を見出す。
 一方、お由有も再嫁が決まり、高橋を出ると言う。また、清十郎もいよいよ縁談から逃れられなくなり…。

 お由有へ淡い思いを寄せる麻之助との、擦れ違いをバックグラウンドに、それぞれの縁の運命が流れて行く。
 
昔から来た文
 お安との縁組が決まった清十郎だったが、その後一向に話が進展しない。業を煮やしたのは、お由有の実父・札差の大倉屋だった。清十郎の縁組がはっきりしないと、お由有の再縁話も立ち消えになると言う。
 歓迎しない依頼を受けた麻之助は、お安を呼び出すと、以前清十郎と付き合いのあった娘からの、嫌がらせの文に心を痛めていると言う。
 そこに何故か丸三の妾・お虎も加わり犯人探しを始めるが、意外な人物の存在が…。

 畠中氏の作品で最も好きなシリーズである。そのシリーズも5作目となり、次なるステップへと登場人物が移り変わり、更なる展開に期待が高まる。

主要登場人物
 高橋麻之助...神田の古町名主宗右衛門の総領息子
 八木清十郎...隣町の町名主
 相馬吉五郎...北町奉行所見習同心
 高橋宗右衛門...神田の古名主、麻之助の父親
 おさん...麻之助の母親
 故・野崎寿ず...麻之助の妻、吉五郎の遠縁
 お由有...清十郎の義母、故・源兵衛(清十郎の父親)の後妻
 貞吉(両国の貞)...両国の顔役、物売り
 大貞....両国の顔役、貞吉の父親 
 丸三...神田の高利貸し
 みけ(八木家)、とら(相馬家)、ふに(高橋家)...兄弟猫
 黒蔵....岡っ引き
 西松哲五郎....町名主
 辰平....西松家の手代
 おとき....扇屋吉田屋の長女
 お香....扇屋吉田屋の二女
 お安....町名主・甲村家の娘
 お虎....丸三の妾
 大倉屋....札差、お由有の実父



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えどさがし

2015年01月17日 | 畠中恵
 2014年12月発行

 仁吉、佐助、禰々子、寛朝、日限の親分の女房・おさえが「しゃばけ」シリーズからスピンオフとなった、シリーズ初の外伝。

五百年の判じ絵
太郎君、東へ
たちまちづき
親分のおかみさん
えどさがし 計5本の短編連作

五百年の判じ絵
 弘法大師によって生を受けた犬神。弘法大師を探し求め孤独の旅にあった。
 犬神こと佐助が、若旦那に仕えるに至までを描いている。
 
太郎君、東へ
 時ならずの利根川の氾濫に、関東河童の大親分である禰々子は、頭を痛めていた。
 幕府による利根川普請に禰々子の尽力があった。

たちまちづき
 上野広徳寺の僧侶・寛朝の元に寄せられた難題。とうてい妖の仕業とは思えない問題を、寛朝は如何様に捌くか。

親分のおかみさん
 岡っ引き・日限の親分の長屋に、赤子の捨て子があった。女房のおさきは、あれやこれや思い巡らせるが、何やら訳ありの様子で…。因におさえは、初登場。

えどさがし
 時は流れ明治の治世。京橋と名を変えた仁吉は、夜の銀座で、若旦那の転生を探し求めていた。そんな最中、訪った新聞社でけったいな事件に巻き込まれていく。

 「しゃばけ」シリーズ程になると、脇役が主役にしても立派に成り立つくらいにキャラが生きているといったお手本。このスピンオフ、かなり興味深く、続編も期待しているのだが、「えどさがし」にて、完結の兆しが読み取れなくもない。
 シリーズを読んでいない人でも、独立した物語として楽しめる。

主要登場人物
 仁吉(京橋/白沢)...妖、銀座煉瓦街・長崎商会の主

 佐助(犬神)...妖、廻船問屋長崎屋の手代
 日限の親分(清七)...岡っ引き
 おさえ...日限の親分の女房
 禰々子...関東河童の大親分
 寛朝...上野広徳寺の僧侶
 秋英...上野広徳寺の僧侶、寛朝の弟子
 皮衣(ぎん)...一太郎の祖母、妖
 鳴家(小鬼)...妖
 鈴彦姫...付喪神

 野寺坊...妖
 獺...妖
 おしろ...猫又






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すえずえ

2014年08月12日 | 畠中恵
 2014年7月発行

 大妖である皮衣を祖母に持つ事から、妖や付喪神が見えるが、滅法身体の弱い若旦那と、若旦那命の妖たちが織りなすファンタジー小説第13弾。

栄吉の来年
寛朝の明日
おたえの、とこしえ
仁吉と佐助の千年
妖達の来月 計5編の短編連作


栄吉の来年
 一太郎の幼馴染み・栄吉の見合いの話を、貧乏神の金次が聞き付け、長崎屋に持ち込んだ。守狐や鳴家、屏風のぞきたちは早々に聞き込み開始。一太郎は栄吉に問い質すが歯切れが悪い。
 金次が、栄吉の見合い相手のおせつを探ってみると、おせつの見合い相手の男には情婦がおり、貢いでいた金の返済を求められ、おせつが立て替えたと驚くべき話だった。栄吉がそのような男でないことは明らかである。
 一太郎も乗り出し真相を探ると、おせつの言い交わした相手は、櫛職人・正之助で、情婦・女髪結いのお富への借金は櫛の収集のためと分かる。
 一方、栄吉は、おせつの妹の千夜とどうにも、良い感じだ。2人の様子から、好き合っているのでは? 一太郎はそう思う。

 輿入れは未だ先になるが、栄吉の縁組みが整う。「しゃばけ」シリーズも13弾。いよいよ、登場人物も第二段階に入っていった。
 
寛朝の明日
 妖退治で高名な、上野広徳寺の高僧・寛朝の元を天狗・六鬼坊の連れ合いを名乗る黒羽坊が訪った。聞けば、小田原宿で高僧2名が、何者かに喰い殺される怪異が起きたと言う。宿場の人を救う為に、是が非でも寛朝に足を運んで貰いたいと懇願するのだった。
 居合わせた一太郎は、小田原宿へ向かう寛朝に、猫又のおしろと、貘の本島亭場久を伴に付け、夢の中で場久と連絡を取り合う策に出る。
 だが、小田原宿の手前、戸塚宿でも川崎宿でも怪異の噂は無く、不信に思った一太郎は、一向に足止めを伝えるが、ひと足遅く、寛朝は天狗に拉致されてしまっていた。
 妖術の衰えたた老天狗が、妖退治の出来る僧の肉を喰らえば、再び人の姿に戻れると信じての暴挙だったのだ。
 彼らを説き伏せた寛朝は、羽が千切れ山へは戻れないと懇願する黒羽坊を、同じく妖の見える東叡山寛永寺の寿真の弟子へと託す。

 寛朝が主役を張り、旅に出るといった新しいストーリに、貘の夢を使って一太郎が参加し謎解きをするといった、巧みに捻った一編。

おたえの、とこしえ
 藤兵衛が上方へ出向いた留守に、大坂で米会所の相場師・赤酢屋七郎右衛門が長崎屋を訪ない、藤兵衛が、上方からの荷を期限までに江戸に運べなかった弁財として、長崎屋を貰い受けるとの証文を突き付ける。
 藤兵衛が不在で詳細の分からないおたえであったが、その証文に花押がないことから、赤酢屋の企みであると見抜くが、この一件に関し、藤兵衛の身に良からぬ自体が生じていると怪しんだ一太郎は、仁吉、佐助、金次らを伴い大坂へと向かうのだった。
 そして、おたえの守狐のネットワークにより、大坂での出来事は瞬時に江戸に知れ、赤酢屋の悪巧みが白日の下になる。
 
 おたえを主役に、凛としたおかみ姿がメインとなる。前編「寛朝の明日」同様、出番は少ないが、解決には一太郎が縁の下の力持ち的存在で、遠距離での推理を担当。
 「しゃばけ」シリーズも回を重ね、舞台も江戸府内には収まらなくなり、飛脚以外の通信のない時代の工夫が「寛朝の明日」共々、妖を交えて物語のキーとなっている。

仁吉と佐助の千年
 近頃丈夫になったと評判の一太郎の元に、あちらこちらから縁組話が持ち上がり、中でも家柄の釣り合った3人の娘との見合いが、半ば強引に行われようとしていた。
 そんな折り、仁吉は銀に呼ばれ荼枳尼天の庭へ。佐助は弘法大師修行の地である四国の小龍寺へと旅立つ。
 煩い兄やの留守となれば、仲人たちがやっきになり、一太郎との見合いをまとめようと長崎屋の離れを訪なうのだった。

 人である一太郎の元を離れ、それぞれに荼枳尼天の庭、小龍寺で妖として暮らさないかといった話であったが、千年後になろうとも、一太郎の輪廻天性を待ち続けると、2人は決断する。
 これにて連載に影がとは思えないが、進行形の物語なので、いずれは避けて取れないテーマとなった。センチメンタルな感動的、仁吉と佐助の物語と一太郎の縁組み話がコメディタッチで同時進行。

妖達の来月
 長崎屋が家主の二階屋に金次、おしろ、本島亭場久が3人で住まうことになった。屏風のぞきや鳴家、守狐など長崎屋の妖たち総出で引っ越しの手伝いの最中。引っ越し祝いにと一太郎に貰った各々の長火鉢、仁吉からに鉄瓶、佐助がくれた湯飲み、守狐が用意した布団がそっくり失せてしまったのだ。
 早速、日限の親分共々、盗人探しに走り回る妖たち。その行く手には、妖を見世物にする興行師たちがいた。

 人間と同化していこうとする妖。また、人間社会への憂いを抱く妖。それぞれの生き方が描かれる。
 また、同一冊中、一太郎はほとんどを脇に回り、「しゃばけ」シリーズもいよいよ大詰めか…と思わせるが、十分に主役を張れるほどに各々のキャラがひとり立ちしているにほかならず、シリーズの幅は更に広がりそうである。

主要登場人物
 一太郎...日本橋通町廻船問屋・薬種問屋長崎屋の若旦那
 仁吉(白沢)...妖、薬種問屋長崎屋の手代
 佐助(犬神)...妖、廻船問屋長崎屋の手代
 おたえ...一太郎の母親 
 藤兵衛...一太郎の父親、長崎屋の主
 皮衣(ぎん)...一太郎の祖母、妖
 屏風のぞき...付喪神
 鳴家(小鬼)...妖
 鈴彦姫...付喪神
 金次...貧乏神
 おしろ...猫又
 守狐 長崎屋の稲荷に住まう化け狐
 日限の親分(清七)...岡っ引き
 美春屋栄吉...日本橋菓子屋の嫡男(安野屋で修行中)、一太郎の幼馴染み
 寛朝...上野広徳寺の僧侶
 寿真...東叡山寛永寺の僧侶
 秋英...上野広徳寺の僧侶、寛朝の弟子
 黒羽坊...小田原の天狗
 本島亭場久...貘の妖、噺家
 黒羽...天狗
 山童...妖
 おせつ...菓子屋中里屋の番頭・権三郎の長女
 千夜...権三郎の二女
 於りん...深川材木問屋・中屋の娘


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