今回は初回で紹介したリニア 松本ルート案への執着と、リニア 「とおせんぼ」で得たかった一番のものが空港新駅であったことについてである。
初回で紹介した川勝の「リニア中央新幹線は、私は甲府以西はぐるっと北を回って松本空港の下に作るのがベストだと思っている。長野は空港とリニア、静岡は空港と新幹線で結ぶというのが落としどころ」との発言は単なる思いつきの結果などではない。さらに以前からの彼の持論であることが以下から分かるだろう。
「JRには「静岡県がJRを応援している」という姿勢を見せることが大事。空港新駅、リニア工事のための畑薙までの道路建設、富士山5合目までの登山鉄道など、JRの協力を得なければいけない重要なことがたくさんある。」
「私はリニアは、日本のためには、松本を通った方がいいと思っている。松本空港の近くを通って、空港とリニアが一体となった方がいい。松本空港の真下はリニアで、静岡空港の真下は新幹線です。松本を周っても、10分くらいの違いです。(リニアの工事は)何があるか分からない。水とエコパークと2つで攻めるのが一番、説得力がある。」
「リニアに対しては、環境評価の根拠になる。リニアには賛成ですが、南アルプスを通るルートには反対です。中山道のルートは通しやすい。元々は、リニアは松本を通る予定だった。松本空港の近くを通れば、空港にもすぐに出られる。フォッサマグナは年間4mm隆起している。そこを通すとは(JR東海も)大変な冒険をしている。」
「ルートは水脈に影響のない松本の下を通るルートが妥当であると思う。」
「南アルプスも(エコパークに)登録される前と後では、条件が違うはずだ。通過県1県につき、1駅造ると言っていたはずだが、うちの県はどうなっているのかと。コメントに書いてください。(リニアの駅を)造る予定が無いのならば、元々、静岡県を通る予定は無かったのではないか。コメントはこれでもいいが、具体性に欠ける。こちらに駅(新幹線新駅)を造ってもらうために、相手に手ごわいと思わせる。(リニアの)駅の話はこちら(新幹線新駅)を狙っている。ちょっと踏み込んで書いてください。」
以上、知事協議で幹部職員らに述べた言葉。
このように、川勝は、水(水脈)への危惧を抱きながら松本ルートへの変更と環境問題を利用しての空港新駅獲得の意図を幹部職員らに繰り返し説いてきていたのである。
あわよくばさらにもう一つの新駅(「その3」で紹介)や鉄道網の整備、道路建設や登山鉄道への協力も含めて。