「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

静岡県発表の新東名高速道路の開通効果の欺瞞

2012-11-30 19:26:00 | 近況活動報告
11月21日に県が記者提供した資料「新東名高速道路の開通効果は「年1,167億円」 ―経済波及効果は「年819億円」―」について、疑義があったため照会し、以下の回答を得たので報告するとともに、批評する。

<11月30日付け県回答>
日ごろは、県行政に御協力いただき大変ありがとうございます。
新東名高速道路の開通効果についての御質問に統計利用課から回答いたします。
SA・PAの売上については、東名高速の減少分はデータを把握できず、今回の推計には考慮しておりません。
また、観光交流客については、平成23年3月11日から31日の震災による減少分の補正は行っておりません。
なお、より詳細なデータの収集に努め、精度を高めた分析を行い、情報提供を行なっていきたいと考えておりますので、御意見、御質問等いただければ幸いです。

<11月27日付け県民のこえ宛照会>
「県統計利用課による新東名高速道路の開通効果について」
報道で、標記については「波及効果は「サービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)の売り上げ」「観光交流客の増加」「維持管理費」の3項目を対象にして、開通半年後までの実績を基に算出した」とありましたが、「サービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)の売り上げ」については、新ではない元の東名高速のサービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)の売り上げの減少分は効果算定に当たり考慮されているのでしょうか?
また、観光交流客の増加で比較対象として用いた平成22年度は3月に震災での減少がありましたが、この補正は行われていますか?
以上2点お答えください。


この照会の元になる県発表資料とは以下のものである。



県の回答について解説するならば、要するにAというスーパーマーケットの近くにBというスパーマーケットができて、A店の売り上げが1億円から0.5億円に減って、B店の売り上げが0.8億円だったとしても、B店ができたことによるこの地域の経済効果の元となる需要増加額は(実際は0.3億円であるにもかかわらず、)0.8億円にする、ということである。
(ちなみに、静岡空港ができたことによる経済波及効果でも、同様の論理でマイナスを考えずに経済波及効果が算出され発表されている。)

そもそも、この県の記者提供資料のタイトルからして静岡県が「経済波及効果」と費用対便益比でいう「便益評価」とを混同(まさにくそみそいっしょ)し、現実を歪曲しているていることが分かる。
もっとも、トップである知事からして同様の認識であるのだからその取り巻きがそのレベル以下であっても何の不思議もないのであるが、お粗末というより学問への冒涜、むしろ害悪ですらある。

例えば、資料中の「3 参考(便益評価額)」の④に「走行コスト低減(燃費)」とあるが、便益評価でいえば、金額換算で54億円の便益が生じたということになるのであるが、一方の経済波及効果でいえば、約76億円(54×波及効果倍率約1.4)のマイナスの経済波及効果が生じたということになり、同じ事実が正反対の評価を示すのである。

簡略にいうならば、これは、費用対便益比でいう「便益評価」が国民生活上の純粋な利得の向上(公共の利益)の評価であるのに対し、経済波及効果は、単にどれだけのお金が動いたかということに過ぎないからである。

その証拠に、資料中の「2 経済波及効果」の中に「維持管理費」とうものがあるが、経済波及効果を増やそうとするならば維持管理費を増やせばいいが、一方の便益評価を考えるなら「少ない方がいい」のである。
極端な話、1億円で穴を掘り、元どおりに埋め戻したとしたらどうだろう。
便益が増えることはないが、経済波及効果は約1.6倍(産業連関表34部門中の建設業の波及効果倍率1.6)の1億6千万円増という結果が生じるのである。
明らかに無駄と評されるべきこのような事業でさえ、役人はこういうのである、「確かに1億円投じましたが、無駄ではありません。工事の業者やその関連業種に1億6千万円もの経済効果があったのですから。」と。
では、も一度やりますかというとやらない。大型イベントが開催後に大きな経済効果を誇っても、二度と同じことをしないのも、この効果というものが公共の利益という視点からは眉唾と分かっているからである。
どれほど無駄な公共事業であってもその支出額以上に「効果」が表出され、誇張されるのが経済波及効果の浮ウなのである。

さて、行政は、政治は、今、どちらを見て治政を行うべきであろうか。
無駄な公共事業、イベント、そのたびに経済効果があったと吹聴しては反省もない。
その結果、国と地方の債務は右肩上がりに膨れ上がって国民に増税という形で尻拭いを求める。
いつになったら、この連鎖から断ち切れる誠実で賢明な政治に舵をきれるのか。
国民の選択の機会である総選挙は12月16日。
よくよく熟考して、投票に行こうではないか。

防衛省による静岡県へのオスプレイ関係説明に関する知事報告文書

2012-11-21 21:50:00 | 近況活動報告
先日開示請求したオスプレイに関する標記の公文書について、以下のとおり開示が決定され、本日郵送で到着したので取り急ぎ公開する。



<公開公文書抜粋(オスプレイに関する計6回の防衛省説明の静岡県知事報告文書と防衛省説明概要文書)>
静岡県知事報告.pdf

<参考>
11月7日に報道された、キャンプ富士へのオスプレイ飛来をめぐる国と静岡県の主張に食い違いがあったことから公文書を開示請求。

<食い違いの概要(発言順)>
川勝平太知事:全国知事会での森本敏防衛相のキャンプ富士(御殿場市)を使用した米軍の新型輸送機MV22オスプレイの訓練計画の説明に「初めて聞いて驚がくした」。

森本防衛相:省南関東防衛局の幹部が6~9月に少なくとも計6回、静岡県庁を訪ね、キャンプ富士でのオスプレイの訓練飛行も想定した環境影響調査の結果や墜落事故報告書について説明してきた。「担当レベルの方にご説明しているつもり。」

松井隆県民生活局長:防衛省幹部が6回、来庁したことを認めた上で、「あくまで評価のための想定であり、キャンプ富士への飛来の説明は受けていない」。

静岡空港利用者の推移(開港4年目第5月)~過去3年の10月利用者最低記録更新~

2012-11-09 19:36:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で4か年を比較したグラフです。
以下、開港4年目の5月目となる10月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
開港から4年目の5月目を迎えた静岡空港であるが、6、7、8月と、対前年比1割増しで推移していたが、領土問題による中国・韓国との関係悪化から利用者が激減し、9月に対前年比92.2%と過去4年の同月で最低の利用客となり、10月にあっても回復せず、再び対前年比92.8%と過去4年の同月で最低の利用客となった。

さて、個別の傾向を見るに、国内線の下落傾向は先月よりも改善し、昨年比83.1%(先月は74.3%)であるが、札幌線と沖縄戦が前年並みなのに比べ、福岡線は対前年同月比73.6%、鹿児島線にあっては54.0%と利用者が大きく減少している。

一方、国際線にあってはトータルで見ると昨年同月比113.8%と伸びを見せたが、これは今年開設の台湾路線(わずか3,108人ではあるが、・・)の貢献によるもので、これがなければ1割以上減少していたこととなるなど、楽観視できない状況である。
いまだ国際線需要の6割強を占めるソウル線にあっては、対前年同月比で93.6%であるものの、震災前の同月比で見ると53.7%と、半減していることが国際線低迷の大きな要因となっている。

とてもじゃないが、県民のために税金を投入しているようには思えない静岡空港。
補助金を湯水のごとく中国・韓国の航空会社のために投入し、何を得ようとしているのか。
一方で、国の借金残高は右肩上がりに増加し、国民には増税が控える下で、空港敷地の防災拠点としての整備に税金投入が求められる中、無理に路線を維持するために税金を外国人にばらまく利も理も、皆無である。

では、以下に今月の実績を記す。
<平成24年10月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H24.10/H23.10):搭乗率[H24.10;H23.10]

札幌線:95.8%(7,591人/7,926人):[74.8%;67.2%]
福岡線:73.6%(7,046人/9,572人):[72.1%;69.6%]
沖縄線:95.0%(5,587人/5,881人):[71.0%;79.3%]
鹿児島線:54.0%(1,486人/2,753人):[61.1%;63.1%]

国内定期便計:83.1%(21,710人/26,132人):[71.8%;70.0%]

国内線チャーター便計:0.0%(0人/0人):[-%;-%]

ソウル線:83.1%(8,701人/9,292人):[51.5%;67.3%]
上海線:63.9%(1,399人/2,191人):[35.1%;53.2%]
台北線:-%(3,108人/-人):[75.7%;-%]

国際線定期便計:115.0%(13,208人/11,483人):[52.8%;64.1%]

国際線チャーター便計:90.1%(526人/584人):[96.0%;89.8%]

全路線計:92.8%(35,444人/38,199人):[63.5%;68.3%)]

公文書開示請求(11月第1回)

2012-11-07 07:52:00 | 近況活動報告
昨日報道された国・県間の主張の食い違いの事実関係を明らかにするため、本日、以下の公文書の開示を請求しました。

「今月6日の森本敏防衛相の会見で明らかにされた、防衛省側がキャンプ富士でのオスプレイ運用に関し「少なくとも6回は県庁に出向いて担当レベルで説明している」とした全「説明」についての県側記録・報告文書類のすべて」