「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

静岡空港利用者の推移(開港6年目10か月)~訪日利用者増加も全国的勢いには及ばず~

2015-04-13 22:30:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で6か年を比較したグラフです。

開港6年目の3月実績は過去最高だった開港1年目には及ばなかったものの前年同月からは大きく伸びた。
詳細は後述するが、身長の原因は、昨年度同月から中国便がチャーター便を筆頭に2万人弱伸びたことによる。

一見すると歓迎すべき現象に見えるが、内実は深刻な懸念が拡大している。






これは、ホームページの論説に詳解しているが、要は、税金を静岡空港からの訪日にこだわるあまり静岡空港との関連で税金を集中的に投じてきたため、羽田や成田とのアクセス改善やそれら空港からの誘客、加えて観光地の訪日外客のための環境改善に税金を投じてきた空港のない山梨県に本来求めるべき成果で遅れをとっていることがはっきりしてきたからです。
以下、開港6年目の10か月目となる3月実績に基づき傾向を概観する。

<傾向>
開港から6年目の3月実績は、前年同月から大きく伸びたものの、先月同様歴代2位どまりであった。
全国的な中国人訪日客の激増を追い風に、補助金と着陸料無料によって海外路線を誘致したが、既存の国内路線は開港初年度の3月の7割ほどにとどまるなど、風と金で底上げした結果と言える。

顕著なのはソウル便で、中国路線のようにチャーター便補助金や親切路線の着陸料免除の特典が及ばないため、全国的には訪日韓国人観光客は震災前の水準に復調しているにもかかわらず、静岡空港にあっては減便が続き平成22年3月に比べてわずか2割程度の利用者数にまで落ち込み低迷したままとなっている。
金の切れ目が路線の切れ目という厳しい現実を見ると、中国路線を現在の水準で維持していくには切れ目なく補助金を維持または拡大させていかなければならないという厳しい現実を自覚せずにはいられないのである。

結果、右肩上がりに増え続ける補助金にもかかわらず、3月は、国内、国際合わせても50,400人にとどまり、県が目標とする70万人達成に当たってまず越えなければならない開港初年度の壁(51,829人+上海推計1,750人)は、またしても超えられなかったのである。

<3月実績>
定期路線ごとに見た過去6年間の3月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線 8,550人   2位/過去6年(1位の平成22年9,070人に対して94.3%
福岡線 10,551人  3位/過去6年(1位の平成22年12,174人に対して86.7%
鹿児島線 3,132人  4位/過去6年(1位の平成22年4,313に対して72.6%
沖縄線 7,972人   1位/過去6年(1位の平成26年7,663人に対して104.0%
ソウル線 3,454人 6位/過去6年(1位の平成22年17,491人に対して19.7%
上海線 4,550人   1位/過去5年(1位の平成23年2,198人に対して207.0%
台北線 4,880人   1位/過去2年(1位の平成26年4,092人に対して148.0%
また、上記路線以外のチャーター便及び1月から定期便化した天津便等を含む総利用者は60,080人で過去6年間で第2位、ピークの平成22年64982人(62,582人+上海推計2,400人)に比べて92.5%であった。

国内線と国際線の過去6年間の推移


国内線の推移の内訳


国際線の推移の内訳


机上の空論?奨学金ばらまきで税収増のからくり

2015-04-08 21:11:00 | 雑感
静岡空港の経済波及効果計算を請け負った同じ学者が、毎年学生200人に県内就職を前提に奨学金50万円を支給すれば、大きな経済波及効果が生じ、10年~20年で税収増効果によりペイできるという試算を発表したとの記事が今日の朝日新聞県内版にありました。

そんなおいしい話があるのでしょうか?
よく読むと、空港の経済効果と同じで、「需要の移転」を考慮していないことがわかりました。
つまり、この学者の試算は、200人全員が県内に定住し就職する「純増」であることを前提としているということです。

これは、静岡空港の経済効果を算出する際の、「静岡空港の利用者全員が空港がなかったら旅行しなかった人々である(=空港利用者全員が純増旅行者)」という前提と同じ、非現実的な前提です。

現実には、奨学金をもらった者が元々県内に就職するつもりの者であるなら「奨学金をもらわなかった者」が「奨学金をもらった者」に区分が変わるだけで経済効果に変動が生じるわけがありません。
また、県内企業の採用枠自体が奨学金の有無で変動するわけではないのですから、採用枠自体が奨学金効果で増加しないならば「奨学金をもらった者」が採用されれば、その分「奨学金をもらわなかった者」の採用が減ることになるだけで、これまた経済効果に変動が生じるわけがありません。
それを、「奨学金をもらわなかった者」のマイナスを無視し、「奨学金をもらった者」だけで経済波及効果を計算することで大きな効果が生じて、税収まで増えるというフィクションが生まれてしまったのです。
換言すれば、この学者の試算は、奨学金を受けた学生は元々は県内に就職する予定の者ではないことに加え、県内の大卒採用枠が、奨学金の支給により毎年200人づつ増え続けなければ成立しない虚構なのです。
売り手市場の就職状況ならいざしらず、この就職難時代にあまりにも現実離れした虚構というべきです。

それよりも、これをマスコミが無批判に垂れ流す異常さのほうに、驚きを隠せません。
ジャーナリストの正義や批判精神はもはや過去のものなのでしょうか。