「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

平成25年度「空港アクセスバス運行事業費」68,000,000円

2013-07-01 20:43:00 | H25県予算評価
今夜は空港関係予算の中から、「空港アクセスバス運行事業費」6千800万円を紹介する。

この予算の99%がバス会社への運行委託料(赤字補てん)である。(これもまた、空港の赤字には算入されていない)

この運行委託料の必要性について、県は「富士山静岡空港の利活用を促進させるためには、利用者の利便性を確保することが重要であり、公共交通機関は必要不可欠」として予算計上しているが、そもそも空港自体が行政目的のための手段であったはずであるが、その何のために空港利用を利用促進させる必要があるのかという視点が忘れ去られ、手段自体が目的化しているのである。
似たような事例には事欠かないが、身近なところで、農地の耕作放棄地解消が目的化して、草を刈ったら解消であるとかミツバチが蜜を採取しはじめたから解消であるとかして解消という区分の数字アップを目的化しているが、そもそも何のために耕作放棄地を解消すべきなのかという主目的は忘れ去られてしまった末路のような様である。
目先の数字に振り回される今日の県行政が県民にとってろくな成果を出せないのは必然というべきである。
上から言われ黙々とその数字合わせに躍起になっている職員には申し訳ないが、見ていて実に滑稽である。せめて市町にあっては自立した見識をもって県に対してノーと言えるようになってほしいものである。


さて、この空港アクセスバス運行委託であるが、予算書の積算根拠を見ると、24年度上半期の利用は、

新静岡°`間(1,277便)が1便当たり5人の利用
島田°`間(6,574便)が1便当たり1.2人の利用

トータル(7,851便)で1便当たり1.8人(昨年度の調書では2.0人)の利用でしかない。
まさに「空気を運ぶバス」である中での予算継続である。

もちろんこれが過疎地の生活路線のための経費なら空気を運ぶバスといってもある程度の公益性は認められるであろう。実際に県は経費の50%を補助している生活路線もある。
しかしこの空港路線はそのようなものではない上に、補助率に換算すれば82%(=運行収入が2割にも満たないということ)にも及ぶ破格の厚遇での路線維持である。(しかも、乗客が少なくてもバス会社には全く損がないので運行会社に旅客増加のインセンティブも働かない。)

県民生活者と観光旅行者といずれを優先すべきか。
過疎の進む市町にあっては毎月専門の病院に行くためにバスがないので駅までタクシーでいかなければならない、福祉の乗り合いバスのようなものがほしいという要望もある中で、県行政はあまりに県民生活者とは隔絶している感がある。
経済振興のためというのは大いに結構だが、費用対効果(*穴を掘って埋め戻すような工事でも効果が費用を上回るような経済波及効果のことではなく便益のこと)を欠くものは勇断をもってやめるべきである。

<予算調書>
「空港アクセスバス運行事業費」

平成25年度「空港定期便拡充促進事業費」179,700,000円

2013-06-18 21:30:00 | H25県予算評価
今夜は空港関係予算の中から「空港定期便拡充促進事業費」179,700,000円を紹介する。(なお、この予算も空港の収支計算、つまり赤字には算入されていない)

この予算の97%、1億7,970万円を占めるのがやはり補助金である。(他には昨夜に似て県職員の就航先企業訪問旅費など)

この補助金の必要性について、県は「他空港との競争の中、利用者数を拡大するには、当事業による県内の民間団体、行政機関等が一体となった取組が必要」として予算計上しているが、実質は昨夜紹介の予算同様、路線維持のための航空会社支援にほかならず、やはり、なぜこの金額でなければならないのかという根拠は一切不明である。

昨夜の補助金が県からの直接ルートなら、今夜紹介の補助金は富士山静岡空港利用促進協議会なる官製団体を通じての不透明な税金のばらまきなのである。


(注:一番上段に補助金が予算計上されている

この補助金の内訳であるが、別紙計上されており、補助金交付先の「富士山静岡空港利用促進協議会」の活動費として5,800万円。
同団体を通じての迂回補助として、旅行会社支援に1,500万円、チャーター便補助に5,160万円、修学旅行やビジネス利用の補助に3,380万円、販売座席数に応じた補助金に1,560万円、が積算根拠である。

直接補助にしないのは県の厳格な支出チェックを回避し、県の会計書類上から実態を見えなくするための役人の常とう手段であり、県に残る簡易な実績報告書類では個々の支出の実態が全く見えなくなるのである。(先日紹介の補助金事務の概説中の補助金内訳書で県職員が検査した書類が付いているから県民は信じろと言わんばかりの構図)
もちろんこれでは県議会でさえ実態把握できていない。
今般の選挙で多数を占める県議会会派が川勝県政を批判していたが、その前に自分たちがすべきこと、すなわち県に対するチェック機能を果たしてきたのかをまずもって問うべきであろう。
議会を通さずに役人による自由な事業がまかり通っている部局調整費の無チェック放置もしかりである。

昨夜と合わせ、二つのばらまき予算だけで、すでに5億円を超えている。
開港前に石川嘉延は「グランシップは8億円くらいの持ち出し(県の予算で埋めている)となっている。空港は着陸料が丸々入ってこないとしても、今の想定では5億円強で、グランシップの赤字に比べはるかに少ない」とうそぶいた。
維持管理費を5億円と見込んでのことだが、こういったばらまき補助金も県の持ち出し以外の何物でもない。
いまさらだまされたといっても取り返しがつかないのである。
高い授業料を我々県民は払った。
二度と過ち無きよう、真実を見る目を養いたいものである。


<予算調書>
「空港定期便拡充促進事業費」

平成25年度「空港競争力強化事業費」373,000,000円

2013-06-17 20:15:00 | H25県予算評価
再開第1弾は空港関係予算の中から「空港競争力強化事業費」373,000,000円を紹介する。(なお、この予算は空港の収支計算、つまり赤字には算入されていない)

この予算の95%、3億5,567万1千円を占めるのが航空会社への支援を目的とした補助金である。(他には県職員の航空会社訪問旅費など)

この補助金の必要性について、県は「他空港との競争の中、より利便性の高い空港を実現するには、航空会社に対する運航経費支援や積極的な働きかけを行い、路線便数の維持・拡大を図ることが必要」として予算計上しているが、実質は路線維持のための損失補てんであり、しかも、なぜこの金額でなければならないのかという根拠は一切示されていない。
すなわち、増やすも減らすも行政のさじ加減次第というに等しいばらまき予算である。

先日来全国ニュースを騒がしている鹿児島県の県職員千人を上海に研修派遣する予算案であるが、その額は1億1,800万円。
目的は中国東方航空の鹿児島¥繩C線を維持するためであり、実質、本県の空港競争力強化事業費と変わるものではない。
しかも鹿児島では非難の声が上がる中、当初予定していたパスメ[ト申請費用の県費負担をやめたり、県民枠を設けたりしたにもかかわらず、いまだ理解の声は少ないようだ。

このことを比較すると不思議な錯覚に至る。
一方(静岡県)はお金を直接的に航空会社に与えるのみで非難が上がらず、もう一方(鹿児島県)は航空会社支援に加え研修という目的を付加し、かつ額も少ないにもかかわらず非難を受ける。
一方(静岡県)は職員のパスメ[ト負担に非難が上がらず継続を誇示、もう一方(鹿児島県)はマスコミの取り上げられたばかりに非難を受け負担を回避する。

これが今日の現実であり、現実とは如何に不条理であるかを示す事実でもある。

もう一つ。
安倍政権で打ち出された成長戦略第3弾の「10年間で1人当たり国民総所得(GNI)を150万円増やす」という目標であるが、あたかも国民の平均年収を150万円増やすかのように流布され批判を浴びているが、一方で本県では「県民所得が3位」であることが県民の平均年収であるかのごとく報道されても一向に問題にされない(※このブログ内を県民所得で検索されたい)。

とても同じ国の中のこととは思えない現実であるが、一級の専門家を含め様々な目で監視されこれを検証できる全国報道と少数の記者個人に依存し批判能力・検証能力を欠く地方報道の差がこれら不条理を放置している一因であることは疑いない。

批判のないところに緊張感は生まれず、このぬるま湯の中で県の役人が何をなすかは絶対権力が絶対的に腐敗するがごとく必然といってよい。

ゆえに、もし我々がここで暮らす人々の未来に責任を持とうと思うならば、我々自身が想像力と検証力を持たねばならない、行政監視を怠ってはならない、声を抑えてはならない、諦めてはならない、のである。


<予算調書>
「空港競争力強化事業費」

平成24年度企画広報部県政推進調整費の闇

2013-04-23 21:36:00 | H25県予算評価
昨年から追求を始めた、議会が干渉できない役人の自由な予算「部局調整費」。
昨年度の執行状況が開示され、その文書の中から今日は企画広報部の調整費を紹介する。


議案書では「県政を推進する上で必要な調査等を行う。」として議会の承認を受けただけで、実際何に使うのかは知事さえも蚊帳の外で役人が決めるという摩訶不思議な予算であるが、こうして実際の使途を見ると、もしこれが議会に新規事業の予算として出ていたらすんなり通っただろうかと思うものが見られる。

今回も、どこから購入したのか知らないが350万円もの税金をかけて記念誌を購入し関係者に配布したそうだが、これが県民のいかなる利益となったのだろう。
風が吹けば桶屋が儲かる式の論理で正当化するのかもしれないが、費用便益比という概念を知っていれば不要不急の事業として仕分けられるべきものである。

また、より興味を引くのが「スマートデバイス活用情報共有事業」というものだ。
名前はいかにも有効そうだが、事業内容を見ると「スマートデバイスを使って従来のワークスタイルを革新するため、タブレット端末を企画広報部幹部に配布し、実証実験を行う。」とだけしか記されていない。
要は「iPadを幹部に配れば仕事の仕方が革新するはずなので実験し実証してみる」ということなのだが、概要としても事業としての必要性・優先性は見えないし、勘ぐれば私的使用のための便法とも見て取れる。

この事業については企画広報部という県の企画の中枢が企画した事業だけに、民間企業における企画との比較の意味も含めて、どういうコンセプトの下にどういう企画書が作られどういう検証をなす予定なのか興味深い。
よって、次回の部局調整費追求に係る個別事業の公文書開示請求において、重点対象の一つとし関係文書を精査し、県民に事実を公開したい。

<参考>
昨年の「企画広報部県政推進調整費の闇」

議会の副知事議案否決をもっけの幸にする企画広報部長とごますり秘書課長

平成25年度「富士山静岡空港利便性向上事業費」56,189,000円

2013-04-20 20:43:00 | H25県予算評価
今日は「富士山静岡空港利便性向上事業費」56,189,000円を掲載する。
昨年の2億2,374万4千円から大きく減少しているが、これは昨年度まで、県職員の天下り法人である富士山静岡空港株式会社が航空会社から使用料を取って潤うための搭乗橋の整備に補助金を出していたからである。
また、残った5,618万円余についても、その75%がこの天下り法人への賃料支払いに充てられるというから、「利便性向上」というよりも「天下り法人支援」という名称の方が実態にふさわしい予算である。
そもそも、彼らは利便性という日本語の意味が理解できているのだろうか。
評価の主体たるべきは利用者であるべきだがその視点はどこにもない。
よって、本来なら、予算の査定で本来の意味での利便性向上の効果を検証してもよいはずであるが、本年度の予算に当たっての自己評価欄、特に実績評価を見ると、

昨年の予算調書の焼き直しの羅列が目立つ。
実績の評価が昨年と一字一句変わらずの「1年間を通して、呈茶サービス、富士山PR、県内産業・観光のPRなど、広く静岡県の情報を発信することができた。」という小学生の感想のような自己中な評価で済まされ、継続して予算が計上されるというのは現在の県職員の能力の低下を象徴している。
構想の策定や事業の進め方まで外部コンサルなどへの委託が増えたのもやむをえない状況にあるということだ。

一般には県の予算は厳しく大変と思われているが、はっきり言って杜撰。
茶番といわれるあの程度の事業仕訳で戸惑っていたのも、普段の予算査定が如何に甘いかの証左であったのである。

<予算調書>
「富士山静岡空港利便性向上事業費」