「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

静岡空港利用者の推移(開港7年目2月)~国内線振るわず、ついに中国路線が6割占拠~

2015-08-11 20:13:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で7か年を比較したグラフです。
開港7年目2か月目の実績は中国路線の2万人強の増加により利用者数71,193人と過去最高を記録した。
全国的に見れば航空利用者数の0.3%程度のわずかな利用者数の空港であるが、元々利用者数の少ない空港にとっては中国の2万人程度の増加であってもセンシティブに作用し、結果、過去最高となった。

一方で、国内線は、近隣空港や他の交通手段との競争激化もあって伸び悩んでいる。

さらに、訪日旅客数が増えている国際線にあっても、静岡空港にあってはその全てが伸びているわけではない。

中国一局に頼っている構図が顕著に表れている。
実際、静岡空港の全利用者数に占める中国路線利用者(そのほとんどが日本人以外)のシェアは約6割を占めているのである。
これは、補助金に加え、就航初年は着陸料無料という破格の条件の上に成り立っているわけであり、いわば、作られた需要である。いつまで続くか、不安定さは否めない。


さて、県は先週8月4日に、平成27年5月の県内外国人延べ宿泊者数が前年同月比193.2%増と、全国比の53.0%を大幅に上回り、全国1位の伸び率となり、中国人のシェが6割を占めるなどと発表した。
さらに、その原因を「中国人の宿泊者数が伸びた原因としては、5月に入ってから富士山静岡空港において、西安、武漢、南寧の便が新たに就航し、天津が増便になったことが考えられる」とした。

しかし、これは明らかにうそである。
出入国管理統計によれば5月に静岡空港から入国した外国人はわずか14,805人(前年4,371人)で、増加したのは10,434人でしかない。
一方で、5月の外国人延べ宿泊者数は172,500人(前年58,830人)で、113,670人増加している。
静岡空港から入国の外国人は、外国人延べ宿泊者数の増加率+193.2%(113670/58830)のうちの17.7%(10434/58830)程度しか寄与しておらず、これを全国の+53.0よりも増加率が高かった原因だなどと言うのは誇張以外の何物でもなく、まさに大本営発表(「内容を全く信用できない虚飾的な公式発表」の代名詞 by Wikipedia)である。
静岡の広報は相も変わらずの県民軽視の子供だましの姿勢で、空港建設時の誇大広告の反省は全く見られない。
せめて、マスコミがチェック機能を果たしてくれたらと思うが、現実は厳しく、県発表垂れ流し記事が目に付く今日この頃である。

(注:実宿泊者数と述べ宿泊者数で見れば、一人平均1.1泊(172500/154620)しているため、静岡空港からの入国者が9割方県内に宿泊しているとすれば、単純に1対1で比較しても比誤差はほとんどない)

静岡空港利用者の推移(開港7年目初月)~中国路線の増加で18千人増も、国内線は全路線前年割れ~

2015-07-13 22:57:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で7か年を比較したグラフです。
開港7年目の静岡空港は全国的な傾向である中国人観光客の増加の恩恵を受け6月としては過去最高の利用者数を記録して始まった。
前年同月比で約1万8千人の増加である。
ローカル空港としては健闘であるが、静岡空港から入国した外国人を全国比でみればわずか1%のシェアにすぎない。
増加したとはいえ、成田、関空などの国際空港からの訪日外国人の増加から見れば誤差といってもいいレベルである。
一方で、国内線はLCCのある近隣空港との競争激化もあって漸減傾向が続いている。


空港アクセスへの税金補助の強化にもかかわらず、国内線の各路線を見ると福岡便の健闘が目立つものの、全体的に伸び悩みも見られる。7月下旬からの空港運用時間延長に伴い福岡便を1便増やすとのことで利用者の増加は見られるだろうが、経営的に成り立つ搭乗率が確保できるかが今後の路線継続の焦点となろう。
県はアクセスの補助だけでは他空港との競争に勝てないと見て、ついに航空運賃についてもビジネス向けと限定してはいるものの国内線で1人最大6000円、国際線で8000円を現金還元するという税金バラマキに出たが、こういうものは赤字覚悟の安売りと同じで継続すれば大やけど、やめれば客離れというおきまりの最後が見える一時しのぎでしかない。


国際線にあっては、中国路線(定期)の増加が顕著となっている。6月は前年1路線だったものが7路線に増え、これにより2万2千人増え、利用者総数の4割近いシェアを占めるに至る。とはいえ、もともとも利用者数が少ないため伸び率的には多いが、人数的には関空ひとつの国際線の伸びが30万人以上であることから見ても国内需要への貢献としては軽微なものである。
また、7月には中国路線(定期)はさらに4路線増え、一見6割増しに見えるが、これらはすべて週2便であるため、便数的には3割増しである。8千人程度の押し上げ程度しか見込めないレベルと言える。


最後に直近の宿泊旅行統計(4月実績)から県内経済的に見るに、外国人宿泊者数については静岡県内において前年同月比で11万人も増加しているが、静岡空港からの入国外国人は1万人にすぎず、他空港から入国した外国人の方が増加に貢献していることは明らかである。
さらに、日本人合わせた県内宿泊者数に至っては、静岡県内において前年同月比で6万人、率にして3.9%しか増加しておらず、全国の増加率7.3%と比べ劣っている。
すなわち、静岡空港からの中国人入国にこだわるあまり、そこに人材・税金という経営資源を集中投下し、もって国内他地域からの県内への誘客という大きな客層を逃している、と言わざるを得ない現状である。

静岡空港利用者の推移(開港6年目最終月)~6年目の実績は59万人、歴代2位に~

2015-06-11 22:11:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で6か年を比較したグラフです。
開港6年目の静岡空港の利用者数は開港1年目の63万人には及ばなかったものの、ここ最近の円安の風を受けた訪日外国人の増加に伴う中国からの団体のインバウンド客の取り込みにより歴代2位の59万人に及んだ。

5月単月の実績においては、国際線が牽引し5月としては過去最高を記録した。


国際線は、初年度好調だったソウル線の減少をカバーするように中国路線の増便が貢献した。

これは、報道等で伝えられているとおり立地上のメリットと運航コストの低さが主要因である。
立地上のメリットは、バス移動の団体旅行としてはゴールデンルート上にあり最初の訪問地である関西方面へのアクセスが容易であり、加えて最終日の東京を発ってからその日のうちに出国できるという地の利であるが、これは反面単なる通過点としての利用が前提となっているということであり県内経済への効果は極めて限定的とならざるを得ないという弱点ともなっている。
運航コストについては、これまでも伝えてきたように、定期便にあっては着陸料の1年間無料とターミナルビル使用料の電気代まで含めての全額補助チャーター便にあっては1便100万円の補助、その他に両者共通する団体旅行商品への補助やバス借り上げの補助など他空港にはない手厚い補助が中国の航空会社のコストを軽減させ空港選択の誘因となっている。

一方で、国内線にあってはいずれの路線も過去記録を超えられず伸び悩みが見られる。

利用者を増やすという目的を最優先に置く県にしてみれば、激増する中国人観光客の取り込みが手っ取り早いことから、国内線にはあまり力(補助金)を入れていないことが影響している。

県がこの戦略を継続するについての今後の課題は、補助金額の増加に伴う予算の流用または補正予算による予算増や、1年限りとした着陸料の免除の延長またはそれに代わる補助金の充実など、路線引き止め策が求められると推測されるだけに、透明性の確保による費用と効果を考えた民主的統制に資するため、税金負担のチェックは今後も欠かせない状況となっている。


<参考>
<5月実績>
定期路線ごとに見た過去6年間の5月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線 7,458人   2位/過去6年(1位の平成22年9,426人に対して79.1%
福岡線 9,956人  2位/過去6年(2位の平成26年10,128人に対して98.3%
鹿児島線 1,476人  6位/過去6年(1位の平成22年3,099人に対して47.6%
沖縄線 5,179人   3位/過去6年(1位の平成26年5,480人に対して94.5%
ソウル線 3,136人 6位/過去6年(1位の平成22年16,383人に対して19.1%
上海線 7,725人   1位/過去5年(2位の平成26年3,440人に対して224.6%
台北線 4,853人   1位/過去2年(2位の平成26年4,072人に対して119.2%
また、上記路線以外のチャーター便及び新5路線を含む総利用者は56,835人で過去6年間で第1位、2位の平成22年53,564人(52,364人+上海推計1,200人)に比べて106.1%であった。

静岡空港利用者の推移(開港6年目11か月)~訪日中国人増加の風を補助金誘導でキャッチ~

2015-05-13 19:52:00 | 静岡空港

「富士山静岡空港利用促進協議会」のチラシから抜粋

静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で6か年を比較したグラフです。
静岡空港の利用者数は開港6年目の11か月目の4月実績にしてようやく開講初年の実績を超えました。

牽引役となったのは国際線です。


全国的には復調している韓国からの訪日需要は取り込めず過去最低となる反面、GW中に前年同期比で2倍の訪日入国を成田空港で記録するなど勢いの衰えない訪日中国人をターゲットにした路線の取り込みが大きく貢献し、4月として過去最高の利用客数となったからです。


一方、国内線にあっても開講初年の実績を超えるには至っていないものの、やはり増加しています。

特に堅調に増加しているのが唯一のビジネス路線である福岡線です。
冒頭のチラシは県の税金をばらまくための補助金迂回配布団体「富士山静岡空港利用促進協議会」のものですが、この予算は県の平成27年度当初予算においては2500万円と見積もられています。

そもそも「富士山静岡空港利用促進協議会」への補助金は開港初年度には4千万円程度だったものですが、いまや2億5,736万円に及ぶほどにふくれあがっています。

堅調に見える国際線の誘致も、実はこの迂回補助金と、さらにこれとは別の県直接の定期便就航航空会社向けの「空港旅客ターミナルビルの使用料と電気料を全額補助」及び着陸料無料があってのことなのです。
加えて、空港予算とは別の観光振興課の観光予算からも、中国などからのツアーが来たときにその使用するバスへの補助や、中国での旅行商品売上1人につき千円の補助金など手厚い空港利用促進のための予算が投じられているのです。
先月紹介した空港のない山梨県のようにどこから入国したかにこだわらずに県内への訪日外国人の取り込みに観光予算を使った方がずっと効果的と思われますが、我が県ではそうした冷静な実利判断よりも、全国的な訪日外国人割合としてはわずかであっても静岡空港の利用者数のアップ、しかも経費増におかまいなしで、が絶対的県是となっているのです。

結局、利を得ているのは中国の就航航空会社で、定期便とチャーター便をうまく組み合わせて県民の税金からの補助を得て他空港よりも低コストでの就航を得ています。

こういった金撒きが続く限り利用者はその額相応に増えるでしょうが、全国レベルの訪日外国人増加の経済的恩恵・利益伸長に比べて結局は劣る結果となり、県民の利益は損なわれることとなるでしょう。

いまの静岡県は、まるで冷静な判断力を失い無謀に戦局を拡大していった敗戦直前の日本のように見えます。

静岡空港利用者の推移(開港6年目10か月)~訪日利用者増加も全国的勢いには及ばず~

2015-04-13 22:30:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で6か年を比較したグラフです。

開港6年目の3月実績は過去最高だった開港1年目には及ばなかったものの前年同月からは大きく伸びた。
詳細は後述するが、身長の原因は、昨年度同月から中国便がチャーター便を筆頭に2万人弱伸びたことによる。

一見すると歓迎すべき現象に見えるが、内実は深刻な懸念が拡大している。






これは、ホームページの論説に詳解しているが、要は、税金を静岡空港からの訪日にこだわるあまり静岡空港との関連で税金を集中的に投じてきたため、羽田や成田とのアクセス改善やそれら空港からの誘客、加えて観光地の訪日外客のための環境改善に税金を投じてきた空港のない山梨県に本来求めるべき成果で遅れをとっていることがはっきりしてきたからです。
以下、開港6年目の10か月目となる3月実績に基づき傾向を概観する。

<傾向>
開港から6年目の3月実績は、前年同月から大きく伸びたものの、先月同様歴代2位どまりであった。
全国的な中国人訪日客の激増を追い風に、補助金と着陸料無料によって海外路線を誘致したが、既存の国内路線は開港初年度の3月の7割ほどにとどまるなど、風と金で底上げした結果と言える。

顕著なのはソウル便で、中国路線のようにチャーター便補助金や親切路線の着陸料免除の特典が及ばないため、全国的には訪日韓国人観光客は震災前の水準に復調しているにもかかわらず、静岡空港にあっては減便が続き平成22年3月に比べてわずか2割程度の利用者数にまで落ち込み低迷したままとなっている。
金の切れ目が路線の切れ目という厳しい現実を見ると、中国路線を現在の水準で維持していくには切れ目なく補助金を維持または拡大させていかなければならないという厳しい現実を自覚せずにはいられないのである。

結果、右肩上がりに増え続ける補助金にもかかわらず、3月は、国内、国際合わせても50,400人にとどまり、県が目標とする70万人達成に当たってまず越えなければならない開港初年度の壁(51,829人+上海推計1,750人)は、またしても超えられなかったのである。

<3月実績>
定期路線ごとに見た過去6年間の3月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線 8,550人   2位/過去6年(1位の平成22年9,070人に対して94.3%
福岡線 10,551人  3位/過去6年(1位の平成22年12,174人に対して86.7%
鹿児島線 3,132人  4位/過去6年(1位の平成22年4,313に対して72.6%
沖縄線 7,972人   1位/過去6年(1位の平成26年7,663人に対して104.0%
ソウル線 3,454人 6位/過去6年(1位の平成22年17,491人に対して19.7%
上海線 4,550人   1位/過去5年(1位の平成23年2,198人に対して207.0%
台北線 4,880人   1位/過去2年(1位の平成26年4,092人に対して148.0%
また、上記路線以外のチャーター便及び1月から定期便化した天津便等を含む総利用者は60,080人で過去6年間で第2位、ピークの平成22年64982人(62,582人+上海推計2,400人)に比べて92.5%であった。

国内線と国際線の過去6年間の推移


国内線の推移の内訳


国際線の推移の内訳