「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

静岡県の不適切事務で1億2,840万5千円の国庫補助受けられず

2014-02-23 09:00:00 | 近況活動報告
平成26年2月21日に県が「水利用課において、職員の不適切な事務処理に起因し、大井川広域水道企業団の実施する工事に対する厚生労働省の補助金が交付されないことが判明した。」と公表した「128,405千円」の国庫補助金について、住民監査請求期間を経過した前回事例(「虚偽報告で国に返還した補助金の加算金税負担は職員に責任なし?」)とは逆に、未だ県において交付確定をしていないため県の負担(債務)は未だ生じていないと考えられることから現時点において監査請求は困難であるが、今後の不透明な負担協議の展開を監視するため事実関係を精査しておく必要があるので以下のとおり公文書開示請求を行うこととしました。

なお、この不祥事を起こした部署は先日「コンプライアンス意識・危機管理能力を欠く事務怠慢の組織」として紹介した部局としては唯一の「くらし・環境部」で、現時点で補助金交付を受けられなくなることとなる事業実施主体(大井川広域水道企業団)は県職員(部長級)の天下りが代表を務める団体ですが、県は今後市町とともにこの団体の損失の補填を検討するような報道がされています。
<請求内容>
「先日、厚生労働省から交付されるはずだった補助金約1億2800万円が受け取れなくなったと報道された「水道水源等施設整備費補助金」(厚生労働省)に係る財務会計書類の全て(国・県の交付要綱・要領等の支出負担行為根拠文書含む)及び当該補助金に係る国と県(県担当者含む)と交付先団体(担当含む)との相互交換文書(メール含む)の全て」

平成26年度静岡県当初予算案について

2014-02-16 11:29:00 | H26県予算評価
静岡県は2月14日、平成26年度予算案の概要等をようやく公表した。
例年どおり空港関係を中心に予算調書の公文書開示請求を行い集計の計画であるが、現時点では詳細な内容(議案書)は公表されていないので、公表された重点事業分のみ先行して行うこととした。(請求内容は文末に掲載)

さて、平成26年度の静岡県当初予算案であるが、予算総額は対前年比3.6%(411億円)増と近年では大きく膨らみ1兆1,802億円という規模となっている。額は増えても内容的には県勢の成長を期待させるような特筆すべきものはなく、事業・対象の名称の違いだけで他県に比べて独創的なものは見当たらない。内容的には、本県らしい前年踏襲型の予算である。
まず、予算規模の推移を見てみよう。
<当初予算額の年度推移>

見てのとおり、ある意味積極的投資に舵を切った来年度予算の増は、景況感の良さや消費税の増税による税収アップを見込んでのことであるが、一方で平成26年度末の県債残高は引き続き増加の見込みである。
<年度末県債残高の推移>

県は先行きについて安心感を与えようと、「税制の中期見通しと健全化への取組」を併せて発表し、その中で、平成25年度末に2兆6,852億円(見込み)の県債残高が5年後の平成30年度末には2兆5,988億円にまで減るとの推計を示したが、これまでの失敗の反省のない、まさに前例踏襲型のお役所的推計である。
これは、5年前の平成21年に発表された「税制の中期見通しと健全化への取組」の結果を見れば一目瞭然である。
<県債残高の実績と当時の予測(推計)>(今回予測との比較のため一般財源総額一定パターンの2経済シナリオに基づく予測をグラフ化)

当時は経済や財政の状況予測に合わせ計6パターンもの推計を行っているが、現実には、経済が底ばいの条件であっても、その下での推計をも上回る県債残高の増加を招いているのである。
静岡空港の需要予測に象徴されるように、役所は過去について批判的検証はできない、してはならない組織構造となっている。ゆえに経済環境や自然環境などの外部条件に責任を転嫁した形だけの理由付けで失敗の責任を転嫁するのが常である。これなら誰も責任を問われないからだ。
今回の「平成25年度末に2兆6,852億円(見込み)の県債残高が5年後の平成30年度末には2兆5,988億円にまで減るとの推計」は、特に役所のおざなりな仕事ぶりが窺えるものとなっている。
下のグラフは平成25年を起点(0)として、県が県債残高、県税収(単年度)、地方消費税清算金(単年度、グラフ中には地方消費税収と表記)がどのように推移(増減)すると推計したかを見たものである。
<H25実績(見込み)からの増減額の推移>

県は5年後の平成30年度末までに県債残高が864億円減るとしているが、一方で、県税収入は平成26年度に280億円、平成27年度に819億円、平成28年度には1,134億円、平成29年度には1,329億円、平成30年度には1,536億円今よりも増えると見ているのである(累計で見れば5年間で5,098億円の増収)。地方に配分される地方消費税の収入の見込みも同様に、平成26年度に213億円、平成27年度に700億円、平成28年度には802億円、平成29年度には859億円、平成30年度には920億円今よりも増えると見ているのである(累計で見れば5年間で3,494億円の増収)、を加えればこれが健全化(行政改革)によってではなく、税収の大きな伸び期待によって支えられたフィクションであることが分かるのである。

つまり、県はこのような楽観的というよりも無責任な見込みを根拠として、開港初年度の実績を大きく下回っている空港状況を無視し空港ビルの拡張工事などに大盤振る舞いを始めたということである。
企業収益の向上は為替の効果によるところが大きく、人口減少・高齢化が進むと見込まれる環境の中で今後県内経済の成長が右肩上がりと見るのはあまりに楽観的・無責任すぎる。そのつけは将来世代だけでなく、現役世代にも及ぶことは容易に想像できるだけに、空港建設が静岡県衰退への転換点であったとすれば、この展望亡き増額予算は静岡県衰退への推進点であったと後世に評価されるであろう。



【文末資料】

先行請求の公文書開示請求内容(主要事業分のみ)、(追記:2月17日付け請求完了)

「平成26年度県予算案中の以下の事業予算に係る予算調書類(平成26年度当所予算編成要領の「様式編」及び「その他様式編」に規定の文書(附表含む)並びにそのほかに予算査定に用いた文書のすべて)

<空港関係>4,619,075千円
大規模災害時における航空燃料確保事業費(危機政策課)7,400
国際防災協力関連事業費 (危機政策課)3,000
地域外交展開事業費 (地域外交課)76,600
海外駐在員事務所運営費 (地域外交課)199,400
空港管理・周辺地域振興関連事業費(空港地域連携課・空港経営課)3,447,000
空港利用促進関連事業費 (空港利用政策課)552,200
観光誘客関連事業費(観光振興課)266,400
県内企業海外展開支援関連事業費(企業立地推進課)67,075

<文化関係>3,748,100千円
「富士山」後世への継承推進事業費(富士山世界遺産課)160,000
富士山世界遺産センター(仮称) 整備事業費(富士山世界遺産課)181,000
韮山反射炉世界文化遺産登録推進事業費(富士山世界遺産課)9,200
ふじのくに件p回廊創出事業費 (文化政策課)84,200
ふじのくに件p祭等開催事業費 (文化政策課)120,400
美術館運営事業費(文化政策課)424,000
グランシップ管理運営関連事業費(文化政策課)889,000
グランシップ安全対策事業費(文化政策課)866,000
グランシップ大規模修繕事業費(文化政策課)617,400
件p文化普及事業費(文化政策課)89,000
舞台件p振興関連事業費 (文化政策課)307,900

<その他>488,400千円
天竜浜名湖鉄道支援関連事業費 (交通政策課)110,700
都市高速鉄道高架関連事業費 (街路整備課)377,700」

空港関係委託料・補助金公文書開示請求

2014-02-13 19:47:00 | 近況活動報告
本日夜、県ホームページの請求フォームから以下のとおり2部局の公文書開示請求を行いました。
これまでは空港関係の当初予算段階の資料については開示請求で明らかにしてきましたが、支出の実態については不明確でした。そのため、問題がありそうな委託料と補助金にしぼって、監査請求期限との兼ね合いもあるためこの時期に検証します。また、さきの住民監査請求で平成24年度に違法事務の実績のあった文化観光部についても併せて平成25年度を検証します。
<請求内容>
1 平成25年度の文化・観光部の4課(富士山世界遺産課、文化政策課、観光振興課、空港利用政策課)所管事業(部の企画調整費による事業含む)の委託費(13節)及び補助金(19節)に係る2月14日現在までの財務会計関係書類の全て
2 平成25年度の交通基盤部の空港局所管事業(部の企画調整費による事業含む)の委託費(13節)及び補助金(19節)に係る2月14日現在までの財務会計関係書類の全て

静岡空港利用者の推移(開港5年目第8月)~大韓航空、アシアナに敗北・退場へ~

2014-02-12 20:40:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で5か年を比較したグラフです。

先日の大韓航空の4月からの休止でにわかに注目を集めた静岡空港。
新聞の中には特集が組まれるなどの中、静岡空港を取り巻くいくつかの事実が浮かび上がっている。
その中でも、静岡新聞が取り上げたのが、静岡空港の旗振り役ともいえる知事や県議でさえ海外公務での使用率は7割程度で、静岡空港から経由が可能な県議の欧米視察に至っては5回全てが静岡空港以外からだったことも明らかにされている。
一方で県は需要喚起とばかり、県民には経由便の利用を訴えており、空港建設を促進した側が経由便は不便だとして使わずに、空港建設に疑問をもっていた県民には使えというのは、いったいこの空港が誰のため、何のために作られた空港なのかと改めて疑問を禁じ得ない。
また、静岡空港の利用者構成が、全国平均の観光4割、ビジネス3割(その他は帰省等)に比べ航空会社の採算性の柱となるビジネス利用が少ない観光75%、ビジネス15%で、国際線にあっても同様の構成だという。採算性を確保するにはより高い搭乗率が求められる空港であるということであり、補助金なしでは路線の維持は困難な理由がよくわかる。
大韓航空関係者の「だれも静岡空港を好きになろうとしない」(読売新聞)、アシアナ航空支店長の「県民はなぜ、自分たちの税金を投入した空港を活用しないのか」(静岡新聞)との言葉は、この空港がどのようにして作られたかを理解していないで、単純に税金支援があり、人口もそこそこあるからとばかり参入したことを物語っている。
需要予測に多くの疑問が提起された中で、あるいはバラ色の嘘で塗り固めた幻想を県民に抱かせ、あるいは強引な手法で疑問の声を封殺し、ようやく造ったはいいが、幻想は現実の前に大敗し、強引な手法で進めた当事者は無責任を決め込む。このような事実を知った上でこの空港を好きになるという人がいるとすれば、もはや社会正義という言葉は死んだも同然である。
今後我が国の人口は急速に減少するだけでなく、高齢化率も進む中、海外路線での競争力の劣るこの空港に未来はない。

以下、開港5年目の8月目となる1月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
1月実績は先月同様年末年始の日並びの良さもあって、現有7路線のうち1月として過去実績を更新したのは4路線あった。
一方で、かつて国際線の需要の牽引役であったソウル線にあっては依然として各月の過去最低を更新し続けている。

・路線ごとに見た過去5年間の1月実績のみで比較した順位と比率
札幌線5,504人   2位/過去5年(1位の平成22年7,235人に対して76.1%)
福岡線8,284人  2位/過去5年(1位の平成22年8,422人に対して98.4%)
鹿児島線2,569人  1位/過去5年(2位の平成25年2,114人に対して106.5%)
沖縄線6,348人   1位/過去5年(2位の平成25年7,545人に対して101.4%)
ソウル線8,251人 5位/過去5年(1位の平成23年18,026人に対して45.8%)
上海線1,605人   1位/過去4年(2位の平成25年1,565人に対して102.6%)
台湾線2,646人   1位/過去2年(昨年2,272人に対して116.5%)
また、総利用者は35,207人で過去5年間で第4位、ピークの平成22年に比べて76.5%であった。

搭乗率が一般に採算ラインの目安とされる65%を超えたのはソウル線の67.2%のみで、残る路線は60%をも切っており採算的には厳しい運行状況である。もっともソウル線にあってもアシアナ航空が70.5%と好調の反面、大韓航空は62.9%と対照的な結果となっている。過去の同月のピーク時からの比率で見ても、アシアナ航空が56.4%と半減程度なのに比べ、大韓航空は35.0%と3分の1程度に落ち込んでいる。撤退は限られた需要を争った末のアシアナ航空の勝利・大韓航空の敗北を象徴する結果ということが分かる。
また、5年間の推移(1月実績)を見てみると、

国内線が緩やかに回復し、伸びが落ち着き始めている中で、国際線、とりわけその主要路線というべきソウル線が低下の一途をたどっていることが見て取れる。東に成田空港と国際化した羽田空港、西には中部国際空港と、近隣の大空港に挟まれた静岡ならではの顕著な傾向が大韓航空の事実上の撤退となって現れたといえ、海外路線での競争力の低下は構造的に必然と見られるのである。

5年目の実績については、先月まで、45~50万人程度(県の平成25年度目標は70万人、これすら達成できないのに次期総合計画の目標は85万人で策定中)との推測をしていたが、当初は昨年比でやや上回っていた需要もここに来て下回り、加えて4月から大韓航空が撤退することもあって、47万人をも下回りそうな状況である。

以下、今月の実績を記す。
<平成26年1月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H26.1/H25.1):搭乗率[H26.1;H25.1](赤文字は搭乗率が65%を下回っているもの)

札幌線:110.9%(5,504人/4,965人):[50.4%;59.8%]
福岡線:110.3%(8,284人/7,508人):[56.2%;52.5%]
沖縄線:101.4%(6,348人/6,259人):[58.2%;75.4%]
鹿児島線:106.5%(2,569人/2,412人):[53.1%;51.2%]
国内定期便計:107.4%(22,705人/21,144人):[54.8%;59.4%]

国内線チャーター便計:-%(0人/0人):[-%;-%]

国内線計:107.4%(22.705人/21,144人):[54.8%;59.4%]

ソウル線:70.3%(8,251人/11,742人):[67.2%;63.2%]
上海線:167.2%(1,605人/960人):[53.7%;28.9%]
台北線:116.5%(2,646人/2,272人):[55.8%;51.4%]
国際線定期便計:83.5%(12,502人/14,974人):[62.5%;56.9%]

国際線チャーター便計:0.0%(0人/268人):[-%;97.8%]

国際線計:82.0%(12,502人/15,242人):[62.5%;57.3%]

全路線計:96.8%(35,207人/36,386人):[57.3%;58.5%)]

大韓航空、静岡空港から事実上の撤退へ

2014-02-06 18:51:00 | 静岡空港
今日、大韓航空の日本地域本部長が川勝知事のもとをを訪れ、静岡空港に定期便を就航している静岡ーソウル路線を3月30日から期間を定めず運休とするという、事実上の撤退を報告した。

大韓航空は需要が回復したら再開するとしているが、韓流バブルと言われるブームは既に終わっており、アシアナが就航している中に再び入ってくるのは困難と見られる。

県は着陸料などで2,000万円弱の収入が減るとしているが、県が空港の収支に算入していない補助金のうち、直接に大韓航空に補助しているだけで年5,800万円超(H24運行事業費補助金約5,400万円、保安関係補助金約400万円)の税金投入があり、これに(富士山静岡空港利用促進協議会等を迂回しての)利用者補助を通じた間接的補助金を加えれば、県民の税金負担は軽減されることとなる。
また、税金補助を受けながら大韓航空はアシアナと比べて隠蔽体質があり、しかも我が国の領土である駐㍼繼フ空侵犯するデモフライトをし、外務省による搭乗自粛の制裁まで受けた航空会社である。

ここのところ、アシアナとの競争にも敗れがちで、親会社の韓進グループも経営危機の状況にあり、撤退はやむを得ないし、国民としては歓迎すべきことであると考える。