「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

追加負担1億1千万円+αは誰の過失(責任)か

2008-10-31 22:47:11 | 静岡空港
滑走路短縮に伴う追加工事に要する費用1億1千万円。
そのほかに印刷物の差し替えやら、場合によっては空港関係企業からの損害賠償で県の出費はさらに増えるかもしれない。

もちろん、不可抗力であれば、すなわち誰にも過失がなのであれば、税金で負担することに問題はないだろう。
しかし、誰かの過失によって生じたものであるならば、最終的には税金ではなくその者に負担させるべきは当然の理である。

では、誰にどのような過失があってこれら追加負担が生じたのか、以下子細が未だ明らかでない部分も多いため概括的ではあるが考えてみたい。
最初に地権者であるが、これはもちろん何ら過失はない。
推進する側の感情論としての非難はあっても、単に自己の土地等を平穏公然と所有しているに過ぎないものに法的責任などありえないからだ。

次に、知事が、訴訟の被告となっている国の判断が出なかったから1年以上も議会・県民・関係企業に公表していなかったという形で矢面に立らされた国(国土交通省)であるが、そもそも県が1年以上前に事実を明らかにし、その時点でリスクコントロールをし、3月開港と2200m滑走路をリスク最小限で決断するタイミングを計っていれば余計な追加工事や開港日遅延による出費を負うことはなかったことは明白である。むしろ、使わないILSを整備しなくてすんだかもしれない。
また、県がこの判断を早期に行う必要を認識し、国に早期の判断を求めたかといえば、29日の知事会見では「促進するような行動を我々は取れない」などと国にプッシュしていないことを認めている。すなわち、国見解が固まるまで漫然と待っていたのである。
そうであるなら、国にどのような過失があるか全く不明であって、とても過失責任を問えるものではない。

さらに、収用漏れというミスの責任の一端を指摘された委託業者であるが、現在のところ知事も原因について「推定」という言葉を使っていることから事実関係がはっきりしているわけではないこともあるが、仮に成果品に瑕疵があったとしても、その責任はあくまで成果物の瑕疵と因果関係がある範囲に限られ、前述の国の場合同様、県の公表の遅れによって生じた損害までをも賠償する過失責任はないと考えられる。

すなわち、県の公表の遅れがだれの責任によって生じたのかが最大のャCントである。

これについて、知事は29日に記者の「確認なのですが、ぎりぎりまで公表しなかったことについて、事業認定取り消しという影響と、3月開港を目指して準備を進めている多方面の方々へ説明するということを秤にかけた時に、事業認定の取り消しの影響の方が大きいと判断されたということでよろしいでしょうか。」との問いに対し、
「それと、まだ撤去できる可能性も、今もそうですが、我々は諦めていなかった訳で、そういう色んな諸々の要因を考えて、しかし、今あなたのおっしゃったような色んな所へ、もし開港延期になった場合に色んな被害とか悪影響、迷惑を、最小限に留めるギリギリのところの選択が今日だったということです。これは私の判断です。それの是非は、私自身が言い張っても、ダメだということになればダメな話でしょうし、皆さんの御判断にお任せします。」と最高責任者である知事自らの判断であることを認めているのである。

知事と同じ元自治相官僚であった上村章文氏による「自治体の危機管理マニュアル」(学陽書房)という本があり、この中に「(2)政策決定の誤りによる危機¢ホ処の遅れによる危機」という1段落がある。
ここでは、「危機として問題となるのは、早期に対処していれば、事態が深刻にならなかったのに、対処が遅れたことにより、深刻な危機事態となるタイプの事案である」とした上で、香川県の豊島における産廃不法投棄事件での対応の遅れによる甚大な被害が例示されている。
そして「『対策の遅れ』の原因として、管理職が自らの担当している間に不祥事が発覚して、過去からの責任を一身に負うことになりたくないという保身意識や、処理が困難なことが予想される問題事案処理の苦労を回避したいという意識が背景にある」とした上で「このような意識をもったトップや上司は、処理が困難な問題事案の情報が入っても、回避行動や忌避行動をとり、なかには部下を叱責することもある」と看破している。さらに「行政において把握していても、問題を回避するため、議会や住民には公開しない隠蔽体質が、問題の解決をさらに遅らせる原因となる。」と、まさに今般の本県で生じた不祥事そのものである。

すなわち、今般の様々な損害の発生は、まさに「政策決定の誤り」そのものであり、その過失責任はその決定をした知事個人にあると考えるべきである。

ちなみに、「組織の文化・風土における『隠す体質』を改め、透明性の高い組織文化に変えるという決断が必要である」(同書)と処方は示されても本県の闇は既に奥深く浸透しすぎている。手遅れに近い。ゆえに、私は道州制を望むのである。

訴訟に勝つためなら隠ぺいも嘘も犠牲も何でもあり?

2008-10-30 23:56:13 | 静岡空港
今日は知事が1年以上にわたり何も問題はなく順調と県民に嘘をつき事実を隠ぺいしてきた理由とした静岡空港に係る「事業認定取消訴訟」の公判があった。
この訴訟に支障が生じかねない、すなわち、負けてしまうかもしれないから1年以上嘘をついてきたんだ。だから、理解すべきというのが知事の主張である。
さすが、官僚知事の発想である。勝つという命題を与えられたら手段は選ばない。これが、官僚の常識というものだ。また、官僚知事の限界といってよい。
現実問題として訴訟で負けたとしても今回の場合は明らかに原状復帰は無意味・不可能で事情判決によって開港に支障はないことは承知であるのに、いや、むしろ任意に除去するといっているのだから完全開港にできるのに、「勝つ」「負けてはならない」というメンツが優先しているのだ。
訴訟では、国と県は問題の土地立木の存在は認めたが、その障害物件は航空法49条3項で除去できるので問題ないとの主張であるが、原告側はその条項で強制執行できないとの主張で、ここでの対立は明確だ。
この航空法の問題は既にこのブログでも触れたが、
http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/271.html
請求権はあっても行政代執行の前提となる命令の根拠はなく、ゆえに、筆者は「通常代執行はできないはずであるが、開港ありきで、もしかしたら違法(敗訴)を承知でやることまで考えているのかもしれない」と記述したのであるが、現実に滑走路短縮による開港という選択をしたことが物語っているように国と県の主張は非現実的な訴訟上の主張ということだ。もちろん、訴訟では国と県はこの問題を重大な瑕疵として認めることはない。

今日は職員向けに知事名で事情説明のメールが送られたが、責任論が強まったのを受けてか、この中では昨日の議会全員協議会での説明よりもミスの責任について明らかにトーンダウンしている。
昨日は「・・・が、支障物件が残った要因と推定される」であったが、今日は「・・・原因だと推定しています。」と、障害物件が残ったのは県の単純ミスの他に主たる原因があるんだということが明確に意図されている。これが、責任回避のための官僚文学である。もちろん、責任を認める記述は一切ない。

これは昨日の全員協議会後の記者会見で責任問題が記者から追及され、「事実認識の甘さや対応の遅れなど政策判断の誤りはないとの認識を示した」(静岡新聞)ことと無関係ではないだろう。「やむを得なかった。どのような責任を負うべきかは県民の皆さんの判断に委ねるしかない。」(同)というのも、自分は正しい判断をしたんだから、責任があるというなら選挙で落とせと開き直りそのものだ。

今後は追求すればするほど「俺は悪くない」との知事の本音が明確化していくだろう。
もちろん、1億1千万円についても俺が悪いわけではないと思っていることは疑いない。
そしてこのことは、住民監査請求の過程ではっきりと文書で示されることになるに違いない。これが、ミスは認めても責任は認めないということの証明となろう。
http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/287.html

まだまだ書き足りないが、続きは明日としよう。


知事と議会、3月開港よりも責任回避を選択

2008-10-29 20:12:07 | 静岡空港
今日の県議会全員協議会は30分弱の知事の説明だけという単なるセレモニーと化した。
すでに開会前に議会は責任追及による円満解決ではなく県の根回しした開港延期・滑走路短縮・知事の延命を事実上受け入れ、急ぐ必要もなくなったということで質疑を臨時議会へと先送りすることを合意してしまったからだ。
端的に言えば、3月開港よりも県の保身に理解を示したということになる。
このあと、来月6日から議会で形だけの追求が行われるであろうが何の解決にもならない虚しいセレモニーとなるだろう。

問題の本質は行政無責任で決着することを是とするのか否とするのかということが問われていると認識することだ。
地権者は今日も会見で、空港には反対であるが、ここまで来たら失った土地は戻らない。県がこれまでの非を認め真に謝罪(責任をとることも含め)すれば除去に向けた協議をすると明言していたではないか。
社保庁のミスも行政だから謝罪のお言葉だけで良しとするのかということだ。
民間ならば県民にこれだけの損害を与えて謝罪のお言葉だけでは済まないはずではないのか。
今、地権者が切ってもいいですよ土地も削っていいですよというのでは、行政の無責任を是認することを意味する。
これは、行政体質の変革というまさに社会的機会の損失であろう。

そういう問題意識を持って、以下に要約した全員協議会での知事説明をお読みいただきたい。

今日の知事の説明の要約であるが、
1 制限表面にかかる障害物件
  3か所(図のA,B,C)の立木計153本
  3か所(図のD)の土地計7.4平米
  立木障害の内訳(3m未満85本、3~5m未満16本、5m以上52本、最大の障害高12.7m
  土地は最大で1.1m突出
2 原因
  ① 空港反対運動が激しかったためレーザー測量をしたが急峻かつ複雑な地形で樹木が密生しており正確に反映されず誤差が出た。
  ② 2か所(図のBとC)の立木については事業認定申請後立ち木が成長した。
  ③ 収用のために起業地表示図を作る際に、測量の最終データとは異なるCDデータを引き渡すなどのミスがあり、その後県と業者が共同で行った修正にミスがあったと考えられる。この際、収用範囲は最小限という配慮が働いた結果とも推定される。
3 1年以上前に知りながら報告ができなかった理由
  土地収用の前提となる事業認定取消訴訟を起こされ、この問題が争点となることが見込まれ、現に争点とされたため、訴訟継続への支障に留意せざるを得なかった。
  また、除去に向けた協議が続いていたためその推移に留意せざるを得なかった。
  これら事情を理解願いたい。
4 対応策
  安全性や事業認定取消訴訟等の行政訴訟への影響など考慮した結果、滑走路2500mを暫定的に2200mに短縮して非精密侵入方式で運用することとした。
  このため、追加工事(航空灯火追加工事、滑走路標識の追加工事、電源設備の改修など)が必要で費用は1億1千万円を見込んでいる。(工期は約3か月)
5 今後のスケジュール等
  今日の午後、国土交通省に完成期日を21年3月とする工事完成期日の変更許可申請、航空灯火変更許可申請を行い、11月初旬に速やかに工事に入りたい。
  21年3月の開港は断念せざるをえない。
  開港は工事の期間にもよるが、最も遅くて7月と見込まれる。
6 謝罪と責任発言
  心労に心からお詫びするとともに改めて1日も早い2500m滑走路の完全運用の実現に向けてご理解を賜るようお願いをしてまいる考えです。
  暫定運用は苦渋の判断。このような事態について私自身の責任を痛感しているところであります。
  今般の対応策の実現に一定のめどが立った段階で改めて責任の在り方について明確にしたいと考えております。私といたしましてはまずは暫定運用といえども早期の開港に向けて全力を傾注していくことが私に課せられた最大の責務であると受け止め全身全霊をかけて取り組んでまいりますので、今後とも変わらぬご支援を賜りますようかさめてお願い申し上げます。

以上

なお、午後の記者会見で一定のめどが立った段階とはいつか(開港後か)との記者の問いに、いつとは明確にしなかったという。
しかも、遅くとも開港をとした7月といえば知事の任期満了直前。

これでも、あなたは知事説明に納得できますか?


ミスだったと認めるものの・・・(県の真の狙い)

2008-10-28 19:35:24 | 静岡空港
夕方のNHKのニュースでは、県が明日の県議会全員協議会でミスを認める方向だとのこと。当初の目論見であった「1億もの追加工事や開港延期は伐採に応じない地権者の問題」との世論誘導が失敗したための方向転換である。
これで、よかったよかったと思うのは官僚や役人の習性を知らないということ。
障害のある物件の存在は認めてもミスを認めなかった県。こんなことは常識では考えられない。
同じく、ミスは認めても責任は認めないという、やはり常識では考えられないことも平然とやってのけるのが官僚であり、役人だからだ。

実際、既に布石は所々に打たれている。
① 新聞紙上での「普通なら航空調査の後に現地に入って確認できるが、空港反対運動で入れなかったので誤差が生じた」との県幹部発言(朝日新聞ほか報道)
② 27日の知事会見での「責任の問題については、その時点で事態がまだいろいろ完了していない、いろいろなものが完了していないこともあり得るので、それはいろいろなものが全部けりがついた、一段落したところで整理して対処したい」(29日UP)
③ 同じく会見で地権者が県の責任を明確することを求めているのではないかとの記者質問に対し、「県の責任を追及しているのかどうか、ちょっとよくわかりませんが。」「いや、(責任ではなく)測量に間違いがあったということを認めるべきだという主張だと受け止めています」(29日UP)

すなわち、ミスは起きたがその主な責任は空港反対運動による立ち入り拒否にある、だから地権者が伐採に応じるのは当然のことだった、なのに1年以上も応じなかったのが悪い、との県の実質的な責任をすべて回避する総括を最終的に狙っているのだ。
そんな言い訳が通用するのか?
もちろん社会一般では通用しない。
彼らの「立ち入れなかった」との言い訳は、上司から二階に来てくれと命じられて、「エレベータが動いていなかった」から行けなかった、エレベーターの管理責任が問題だという部下のたわごとに等しい。
彼ら役人は無能というか怠慢なのだ。現地に立ち入れなければ空から見た範囲でチェックしようということぐらい子供でも気づく。そうすれば、一目だ。(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/284.html
実際、記者会見でも記者がいくらでも代替手段があることを指摘している。

この怠慢が原因でこれだけの事態が生じたのであるとすればその責任者(専決権者)は万死に値するはずだ。
税金の納付を忘れ県に損害を与え賠償責任を負った職員(専決権者)の例(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/27.html)よりもはるかに罪責が重いだろう。

しかし、役所はそうは考えない。
そして、「一段落」したあとではそれを追及もできない。
彼らを侮ってはいけない。てにをは一つで意味を変えられる。
言葉を含めて文化が違うということを踏まえ、慎重に慎重を重ねて対応しなければ、必ずぬかよろこびに終わる。

さすが元官僚の知事殿

2008-10-27 20:10:24 | 静岡空港
石川君はやはりすごい。今日の定例記者会見。
本能というのか、自分に責任が及ばないようロジを組み立ててしまった。
1年以上立木問題を隠蔽してきた責任を事業認定取消訴訟を起こした空港に反対するグループと被告の国の責任に転嫁してしまったのだ。
訴訟を起こされ争点にされてしまった。被告の国が認めないので県が認めるわけにはいかなかったと。
もちろん詭弁であるが、本県の県議レベルでは保身のプロには到底太刀打ちできないだろう。
空港は捨てても保身は取る。
29日は知事の勝利、県議会の敗北が濃厚、いや、決定的だ。
今日は疲れた。眠い。
風呂に入って早めに寝るとしよう。