「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

部局調整費の開示と住民監査請求の予告

2013-07-22 23:01:00 | 近況活動報告
選挙が終わったので再開します。

先週の金曜日に先に公文書開示請求していた部局調整費の開示があり、見分してきました。
結果、3件について疑義ある財務会計上の手続きがあり、使途に疑問がある件は多々ありましたが、うち1件について看過できない住民監査請求相当の事案が認知されたことから、8月12日付けで住民監査請求を行う計画で優先して準備を進めています。よって今日以降の部局調整費の紹介は作業完了後となります。(なお、監査請求事案の概要は遅くとも請求の前日までには、ここで公開の予定です)

今日は4月23日に疑義を示していた事案を以下に1件紹介しておきます。






上画像の1枚目が企画書というべきものであり、2枚目がその規格に対応した事業予算で、3枚目はそのうちの実際の機器購入の請書です。

この事業の問題点をざっと挙げれば、
・平成24年度の調査事業にもかかわらず機器の購入だけで終わっており年度内に事業として完了していない。(事後の具体的検証方法も不明)
・よって、年度末に余った予算を使い切るような物品発注事業である。
・しかも、事業に必要な機器仕様の検討がないまま、タブレット端末の中からiPadが機器選定されている。
・さらに、事業目的からは過大とも言えるLTE仕様やRetinaモデルを購入しており地方財政法第4条第1校「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」に違背する疑いがある。
・また別に購入したiTunesカードの使途が開示公文書上からは不明で私的使用の疑いがある。
などです。

特にiTunesカードは金券でありその受払状況や使用状況は公金の使途としての適否を左右するものであることから、以下について追加で文書開示請求を行いました。
「スマートデバイス活用情報共有事業で購入したiPadに係るiTunesカードの受払及び同カードで購入したソフト等の購入履歴(iPadのiTunesの購入済みの写し出力等)の分かる文書及びデータ」

ちなみに本県では平成16年12月3日付け出納局長通知により金券類の公簿整備と定期報告が求められています。

今回紹介のもの以外にも、必要性に疑問のある海外博物館視察や土木事務所の職員らによる母校訪問など、県民はもちろん多くの県職員も知らないところでのある意味贅沢な費用対効果無視の公金費消があり、節約の範を示すどころではない公務員体質・県庁組織風土が部局調整費には見て取れました。残念というよりも情けない限りです。

静岡空港利用者の推移(開港5年目初月)~5年目にあっても昨年並みの低調な出だし~

2013-07-08 20:31:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で4か年を比較したグラフです。

以下、開港5年目の初月となる6月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
開港から5年目を迎えた静岡空港。
振り返ると、
1年目の実績は県が空港建設の根拠とした需要予測136万人を大きく下回る63万人。
2年目はJALの撤退や終盤の震災の影響もあって51万人。
3年目は震災の影響が色濃く、路線縮小もあって43万人。
4年目は国内線が回復する一方で外交問題が発生した中韓に特化した国際線が災いして45万人。

5年目を占う6月の実績は昨年同月比で微増(3.8%)の34,901人、初年や2年目の4万人台にも遠く、県の目標とする70万人にははるかに遠い出だしで、税金の投入という生命維持装置の貢献で昨年度並みを確保するだけの経済成長とは無縁の非生産的インフラである。

さて、この6月実績から個別路線の状況を見てみよう。

国内線は、4路線全て前年同月を上回っており震災後の落ち込みから回復傾向にある。
回復傾向と言ったのは開港初年又は2年目のピーク時に比べれば利用者が少ないからである。
例えば鹿児島線にあってはピーク年の6割程度、札幌線、福岡線にあっても7割程度に過ぎない。
一方、ANAの沖縄線にあっては、これまでにも好調と紹介してきたが、今月も6月としては過去最高の搭乗者数をたたき出した。
もっともこの沖縄線にあっても喜んでばかりはいられない事情がある。修学旅行狙いの機材の大型化により旅客数とは正反対に搭乗率は6月としては過去最低の49.7%にまで落ち込んだことである。
経営的には苦しい状況であり、県の補助金支援・学童動員で維持しているような状況で民間企業経営として自立できていない路線である。

では国際線3路線はどうかというと、
台北線が搭乗者数・搭乗率ともに好調な半面、ソウル線・上海線は搭乗者数・搭乗率ともに低調のままである。
ソウル線は先日米国で死者を出す着陸失敗事故を起こしたアシアナ航空が前年同月比99%と健闘したのとは対照的に運行時間を大きく変えた大韓航空が前年同月比70%と大きく落ち込み明暗が分かれた格好である。
また、上海線は利用者がわずか715人しかおらず、県民の税金で維持している意義も疑問視される状況である。

では、以下に今月の実績を記す。
<平成25年6月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H25.6/H24.6):搭乗率[H25.6;H24.6]

札幌線:119.3%(6,745人/5,652人):[52.1%;57.4%]
福岡線:129.5%(7,816人/6,036人):[58.3%;68.5%]
沖縄線:120.8%(5,135人/4,251人):[49.7%;59.6%]
鹿児島線:108.6%(1,183人/1,089人):[59.9%;65.1%]
国内定期便計:122.6%(20,876人/17,028人):[54.0%;62.0%]

国内線チャーター便計:0.0%(0人/0人):[-%;-%]

国内線計:122.6%(20,876人/17,028人):[54.0%;62.0%]

ソウル線:83.6%(9,325人/10,503人):[51.2%;58.0%]
上海線:27.5%(715人/2,050人):[26.9%;48.3%]
台北線:163.1%(3,970人/3,186人):[74.1%;72.0%]
国際線定期便計:86.6%(14,022人/16,192人):[53.4%;61.2%]

国際線チャーター便計:0%(0人/394人):[-%;36.2%]

国際線計:84.5%(14,022人/16,586人):[53.4%;60.2%]

全路線計:103.8%(34,901人/33,614人):[53.8%;61.1%)]

平成25年度「空港アクセスバス運行事業費」68,000,000円

2013-07-01 20:43:00 | H25県予算評価
今夜は空港関係予算の中から、「空港アクセスバス運行事業費」6千800万円を紹介する。

この予算の99%がバス会社への運行委託料(赤字補てん)である。(これもまた、空港の赤字には算入されていない)

この運行委託料の必要性について、県は「富士山静岡空港の利活用を促進させるためには、利用者の利便性を確保することが重要であり、公共交通機関は必要不可欠」として予算計上しているが、そもそも空港自体が行政目的のための手段であったはずであるが、その何のために空港利用を利用促進させる必要があるのかという視点が忘れ去られ、手段自体が目的化しているのである。
似たような事例には事欠かないが、身近なところで、農地の耕作放棄地解消が目的化して、草を刈ったら解消であるとかミツバチが蜜を採取しはじめたから解消であるとかして解消という区分の数字アップを目的化しているが、そもそも何のために耕作放棄地を解消すべきなのかという主目的は忘れ去られてしまった末路のような様である。
目先の数字に振り回される今日の県行政が県民にとってろくな成果を出せないのは必然というべきである。
上から言われ黙々とその数字合わせに躍起になっている職員には申し訳ないが、見ていて実に滑稽である。せめて市町にあっては自立した見識をもって県に対してノーと言えるようになってほしいものである。


さて、この空港アクセスバス運行委託であるが、予算書の積算根拠を見ると、24年度上半期の利用は、

新静岡°`間(1,277便)が1便当たり5人の利用
島田°`間(6,574便)が1便当たり1.2人の利用

トータル(7,851便)で1便当たり1.8人(昨年度の調書では2.0人)の利用でしかない。
まさに「空気を運ぶバス」である中での予算継続である。

もちろんこれが過疎地の生活路線のための経費なら空気を運ぶバスといってもある程度の公益性は認められるであろう。実際に県は経費の50%を補助している生活路線もある。
しかしこの空港路線はそのようなものではない上に、補助率に換算すれば82%(=運行収入が2割にも満たないということ)にも及ぶ破格の厚遇での路線維持である。(しかも、乗客が少なくてもバス会社には全く損がないので運行会社に旅客増加のインセンティブも働かない。)

県民生活者と観光旅行者といずれを優先すべきか。
過疎の進む市町にあっては毎月専門の病院に行くためにバスがないので駅までタクシーでいかなければならない、福祉の乗り合いバスのようなものがほしいという要望もある中で、県行政はあまりに県民生活者とは隔絶している感がある。
経済振興のためというのは大いに結構だが、費用対効果(*穴を掘って埋め戻すような工事でも効果が費用を上回るような経済波及効果のことではなく便益のこと)を欠くものは勇断をもってやめるべきである。

<予算調書>
「空港アクセスバス運行事業費」