「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

夏休み

2008-08-31 22:40:52 | 日記
お久しぶりです。
無事の帰宅ですが、現地でも、雨雲が日本中を覆ったせいで霧と雨の中の登山となってしまいました。

九州の久住山系。山小屋で一泊し次の日はくもり。火口からは噴煙が。


下山して湯布院で食事中には再び雨。

その後ラムネ温泉で疲れを癒し、最終日は滝廉太郎の「荒城の月」のルーツ岡城址に登り福岡空港から羽田へ。羽田着陸時は初めてのタッチアンドゴーを体験し、上空で待機というおまけつきでした。

<何十何百年後かの静岡空港跡地もこうなるんでしょうね>

(無題)

2008-08-26 23:34:37 | 静岡空港
明日から留守にします。
国内ですが山に入るためパソコンは持っていきませんので次に書き込むのは日曜日の予定です。
オリンピックも終わってようやく世間も落ち着きを取り戻したようで、まともなニュースも増えてきましが、相変わらず良いニュースがないのが静岡県政。
防災船に船をかたどったコンベンション施設、そして空港ときて、その空港にも分不相応の国内最大級という大型化学消防車。なんと一台約2億円という。もう一台発注済みで、既納入の1億5千万円の中型車を含めると計3台で約5億5千万円。
おもちゃ大好き知事が納入された消防車の前でご満悦なのも、5億円くらい大した額でないという感覚の現れだろう。
庶民の感覚とは別世界の御仁だ。
別世界の感覚といえば、県教委の感覚も世間の感覚とは別世界。
生徒から30万円も借金していた教師の処分が1か月だけ減給10分の1だという。
法律違反ではなく単なる「不適切な言動」だからというが、誰も納得しないだろう。
これが行政職で自分が指導的立場にある業者からお金を借りれば静岡県倫理条例違反だ。よほど覚えめでたき教職員だったのか。
教育委員会は独立しているといっても普通の公務員以上に子供への影響も大きいことを自覚してもらいたいものだ。

もうこんな時間になってしまった。
飛行機は早いのは利点だが天気が心配だ。明日は予定通り飛んでくれるだろうか・・

(無題)

2008-08-24 00:30:40 | 日記
なかなか忙しくご無沙汰です。
昨日は1日テニスとサッカーとでスメ[ツ三昧だったつけが回って今日は筋肉痛の中、1日中パソコンに向かい物書きです。
ようやく目処がついたので明日には一段落しそうですが、水曜日から週末まで旅行のためその準備をしなければならないのにまだ何もしてません。
今日はもう遅いので明日か明後日やるとして、最近は本当に綱渡りの日々です。
既に年内の作業予定がいっぱいになりつつあります。
残念ですが緊急性・重要性のある事項以外お引き受けできませんのでよろしくお願いします。

そういえば、職場の冷房が月曜日にはなおっているかもしれないとのことですが、今週は雨の日々が続くようで、はたして出番があるのか?
慣れれば30度でも涼しく感じるくらい人間には順応力があるということを改めて実感しましたが、電気がない時代はみんなこの環境に耐えていたんでしょうね。
いい経験でした。

国交省、地方空港赤字補填のために補助金

2008-08-19 23:51:01 | 静岡空港
国土交通省が失敗の責任を税金で糊塗しようとしている。
地方空港の活性化を名目に来年度予算で補助金をばらまく算段だ。
一県一空港などと無駄な赤字空港まで作ってきたがそれも一段落。
空港関係予算(利権)確保という空港族の次のターゲットが各地方空港管理者らで構成される協議会が実施するイベントや観光バス運行などへの補助金行政だ。
省益あって国益なし、族益あって省益なし。
この協議会の設置、実は今年春の国会で改正された空港整備法の中に盛り込まれたもので、地元自治体、経済団体、空港管理者などで構成される。
既にその時点で事実上税金ばらまきの受け皿として想定されていたとしか思えない航空族による手際の良さだ。
しかも地方自治といいながら、この補助金はすべて一律に認められる事業ではない。
国土交通省が選考し認めた協議会の事業だけに50%補助されるからだ。
霞が関詣での復活だ。

確かに経済は低迷し何もしないわけにはいかない状況だ。
しかし、このような単なるばらまきは百害あって一利なし。
将来不安はかえって増すだけだ。
まだ国土交通省による来年度予算要求への方針決定という段階だが、このような予算が通るということが国のやることは全くあてにならないということの証明となるだろう。

意見書全文の公開

2008-08-17 00:15:18 | 日記
結局見直す余裕もあまりなく金曜日に意見書を発送し一応この一件は片付きました。
今は別件作業中ですが、9月にも1件検証作業の予約が入りましたので新たな調査・作業依頼は10月以降を目安に余裕をもってお願いします。

以下に差出人、宛先、提出日を除いた意見書全文を参考に掲載しておきます。(本来は県側の意見書のPDFと併せて本体HPに載せるべきものですがPDFに落としさらにHP用の旧パソコンを接続・起動し作業しなければならないのが面唐ネのでとりあえずということです。)
なお、ワードからコピーしたので文字ずれや改行ずれや文字頭位置のずれなどあります。また、最後の証拠説明部分は本来は表形式ですので頭の中で縦線横線を引いてお読みください。

意 見 書

平成20年7月31日付け静情審第8号で依頼のあったこのことについて、静岡県情報公開条例第25条第2項に基づき、本書のとおり意見書を提出する。

 処分庁による平成20年7月30日付け県こ第50号「意見書」(以下、「処分庁意見書」という。)について、以下のとおり反論及び意見を述べる。
第1 非開示とした具体的理由に対する反論
 1 平成20年6月20日付け県こ第34?号「公文書非開示決定通知書」等の件
   処分庁は、処分庁意見書第4の1(2~3ページ)において、意見申出人が作成した文書のすべてを非開示とした根拠として、①「意見申出人は県に意見等を寄せる際、自分が作成した文書そのものが公開されることは予想しておらず、その文書を公開することは意見申出人が作成時に意図していた目的や範囲を超えるものである」、②「意見申出人の作成した文書は、意見申出人の考えや感情を表現したものであり、その文体などと併せて作成したその個人の人間性などが色濃く反映されている」、③「意見申出人直筆の文書の場合には筆跡にも人間性を窺うことができる」との理由から非開示の範囲を規定した静岡県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条第2号後段の「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するとしている。
また、条例第7条第6号の「県の機関、国の機関、独立行政法人等、他の地方公共団体の機関、地方独立行政法人又は地方三公社が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」に該当する理由として、④「自ら作成した文書そのものが公開されることになれば、県民に、県に対して自らの思いを率直に表した文書を提出することを躊躇させるおそれがあり」④?「より多くの県民から意見をいただくという県民のこえ室の事業に支障を及ぼす」としている。
しかし、これら処分庁の主張はいずれも法の解釈を誤っており、意見申出人が作成したすべての文書(部分開示決定にあっては文書の一部分)を一律非開示とする理由としては不適当である。
これら主張については続く処分庁意見書第4の2における部分開示決定についての処分庁の非開示の「根拠規定と理由」としても「上記1と同様の根拠規定と理由により非開示とした」などとして引用されている。
よって、これら処分庁主張の理由について、平成20年6月20日付け県こ第34?号「公文書非開示決定通知書」だけでなく、平成20年6月20日付け県こ第34-2号「公文書部分開示決定通知書」における非開示の具体的事案も含めて以下に具体的反論を行う。

(1) 理由①には根拠がないことについて
処分庁(県)は現在、県のホームページにおいて、「これまでに県民の皆様からお寄せいただいた『こえ』」として、「寄せられたご意見」及び「県からの回答」を掲載している。(甲第1号証)
処分庁は、県民等が県に意見等を寄せる際、自分が作成した文書そのものが公開されることは予想していないと主張するが、県のホームページにおいては「寄せられたご意見」が県民等の生のこえではなく、県が加工した文章であると認識することの方が通常予想しがたい事実であって、むしろ同ページからは県民の生のこえに対して県が回答をしていると捉えるのが社会通念上一般的な理解である。また、県ホームページからネット経由で寄せられる意見等は、その理解の上で意見等を寄せていると見るべきが、やはり社会通念上一般的な理解である。
もちろん、同ページを見ていない県民等も意見を寄せることはありうるが、処分庁主張のように自分の文章そのものが公開されることをまったく想定しないで意見を寄せるのが常態であるとまで解することには根拠がない。
また、後段の、意見等の公開が「意見申出人が作成時に意図していた目的や範囲を超えるもの」との主張についてであるが、一方で県民等の意見が県によって加工された形でホームページに掲載されることについては(そこに感情や意見が含まれていても)「作成時に意図していた目的や範囲」の内であるのに対し、もう一方で県民等の生の声がありのまま掲載されることは「作成時に意図していた目的や範囲」を超える、との処分庁の主張はあまりに身勝手な主観に基づくもので到底認容できないものである。
さらに、部分開示文書中の照会60頁「三保海岸の浸食」(甲第2号証)においては、職員が聞き取ったというだけの違いで、意見申出人の思いがつづられた全文を意見申出人の意図・目的・範囲とは無関係に公開している。
よって、理由①はあくまで処分庁の主観的見解であって社会通念に照らし妥当性を欠き、条例第7条第2号後段適用の前提事実を欠くことから、県民等の生の意見等の文章が記述された文書についても、その概要同様、個人識別情報を除外した形で公開すべきである。
なお、非開示情報該当性についての主張・立証責任を負うのは実施機関側であることについては、判例上確立している(最判平成6年2月8日民集48巻2号255頁)ものであることを念のため付言しておく。

(2) 理由②の非論理性と法解釈の誤りについて
処分庁は「意見申出人の作成した文書は、意見申出人の考えや感情を表現したものであり、その文体などと併せて作成したその個人の人間性などが色濃く反映されている」として、「作成した文書」イコール「考えや感情を表現したもの」イコール「(書いた)個人の人間性などが色濃く反映されている」もの、との論理構成をした上で非開示としているが、あまりに稚拙である。
例えば、作成した文書が「○○交差点には信号機もなく危険なので設置してほしい。」との文章の場合、これをも含めて一律に「(書いた)個人の人間性などが色濃く反映されている」ものとして非開示にすることが適切か否かを考えれば容易に理解できることであり、現実には甲第2号証で示した事案にあっても、考えや感情が込められた意見等、本人が自ら作成したものではなく聞き取った職員が記録したにしても、公開されている。
また、部分開示文書中の回報104頁「部局の名前」(甲第3号証)にあっては、本人記述の全文が15文字程度であるにもかかわらず、インターネット公開用要約は「静岡県は、部局の名前が全国で最も分かりにくいと思う。」と26文字であり、かかる公開用要約の原文が公開されないことも疑問であるが、公開用要約が真に原文の要約であるかも疑問で、処分庁における非開示の意図として改ざん隠蔽の疑いも否定できない。
そもそも、県の条例が規定する「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」との文言は、国の情報公開法の文言をそのまま採用したものであり、同法における「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」の解説として「たとえば、カルテ、反省文のように、個人の人格と密接に関係する情報については、当該個人がその流通をコントロールすることが可能であるべきであり、本人の同意なしに第三者に流通させることは適切でない」(情報公開法要綱案の考え方4(2)エ)ものとの見解が示されている。
実際、国においては「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは「個人の人格と密接に関連したり、公にすれば財産権その他個人の正当な権利を害するおそれがある」(総務省行政管理局編『詳解情報公開法』48ページ)ものとの解釈が示され、本県の「情報公開条例解釈及び運用の基準」にあっても「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、「カルテ、反省文など個人の人格と密接に関わる情報や未発表の研究論文等で、個人識別性のある部分を除いたとしても公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものをいう。」との解釈が示されているとおり、単に個人の作成した文書であるとか、単に考えや感情が記載されているというのみで一律に当該規定が適用され非開示となるものではなく、個別具体的な法的保護に値する権利利益、すなわち主観的な権利利益感情ではなく客観的な権利利益が要求されることは明らかである。
より具体的には、「岡山県公開審平15.4.30事例集184-5・2」(甲第4号証:『情報公開実務指針』106~107ページ)の例のとおり、県民等によって記述された内容について個別具体的に検討し、真に公開によって記述者の人格や内心を傷つけることが一般的にも是認されるような場合に同規定の適用を限定すべきである。
よって、「個人の権利利益を害するおそれがあるもの」として非開示としてよいものか否かは、同条(条例第7条)の原則開示の趣獅ノ立って、あくまで個別の事案ごとに具体的な個人の人格と密接にかかわる情報の有無を検討の上、必要最小限の非開示とすべく判断すべきである。
処分庁は条例の解釈自体を誤り、非開示の範囲を不当に拡大したことは明らかであって、条例第7条第2号後段を適用すべきではない事案に対して同条項を拡大解釈して適用した違法がある。

(3) 理由③の非理について
処分庁は「意見申出人直筆の文書の場合には筆跡にも人間性を窺うことができる」などと、一般に主張される個人識別性ではなく、筆跡における人間性の保護というべき主張を行っている。
確かに、著名な書家による直筆文字における件p性・創造性などの保護すべき価値や権利が認められる場合も皆無とはいえないが、それはむしろ例外であって一般化すべき価値や権利ではない。
例外的事象を持ってすべてを論じるかのような主張は事実認識として合理性を欠き、法令適用の根拠たりえないものである。
なお、予備的に直筆文字における個人識別性について付言すれば、識別可能性の判断は一般人基準で判断すべきものであり、まして、多数の県民等の中から筆跡をもって確実に個人が特定される事案は極めて例外的な場合に限られるにもかかわらず、その可能性を具体的に判断することなく直筆であることを持って、県民等の作成した文書のすべてを非開示とする理由となすことは、認められないものである。
おって、処分庁は開示文書(甲第5号証:部分開示文書中の事案外2頁「遠州灘海浜公園に関する苦情」)においては、標題部の直筆の文字を開示しており、「意見申出人直筆の文書の場合には筆跡にも人間性を窺うことができる」ので非開示との主張と開示実態には相違があり、論拠に説得力がない。
よって、理由③をもっての条例第7条第2号の一般適用は認めがたいものである。

(4) 理由④の「おそれ」は単なる主観に基づく可能性を示したものであって、支障を及ぼすことの蓋然性が客観的に認められないことについて
国の情報公開法に習って規定された条例第7条第6号に規定の「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」の解釈に関係して、
「『適正』という要件を判断するに際しては、開示のもたらす支障のみならず、開示のもたらす利益も比較衡量しなければならない。本条1号・2号におかれている公益上の義務的開示の規定が6号におかれていないのは、『適正』の要件の判断に際して、公益上の開示の必要性も考慮されるからである。『支障』の程度については、名目的なものでは足りず、実質的なものであることが必要であり、『おそれ』も、抽象的な可能性では足りず、法的保護に値する程度の蓋然性が要求される。したがって、一般的にいって、本号は、行政機関に広範な最良を与える趣獅ナはない」(情報公開法要綱案の考え方4(6))
との立法経緯がある。
県の「情報公開条例解釈及び運用の基準」においても、「適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」について、
「『適正』とは公にすることによる支障だけでなく、公にすることによる利益も考慮して判断しようとする趣獅ナある。したがって、『支障』の程度は、名目的なものでは足りず、実質的なものが要求され、『おそれ』の程度も単なる確率的な可能性ではなく法的保護に値する蓋然性が要求される。」
との解釈がなされており、単に「場合によってはそういうこともあるかも」という程度の可能性・憶測のみで当該規定が適用され非開示となるものでないことは明らかである。
ゆえに、処分庁における、条例第7条第6号に規定の「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」として、「自ら作成した文書そのものが公開されることになれば、県民に、県に対して自らの思いを率直に表した文書を提出することを躊躇させるおそれ」があるとの主張は、あくまで支障を及ぼすことの単なる主観的認識に基づく可能性を主張したに過ぎず、法令適用に要求される客観性、すなわち「おそれが支障を及ぼすことの法的保護に値する程度の蓋然性」が何ら立証されておらず、条例第7条第6号適用の理由たりえない。
そもそも、(1)でも述べたとおり、処分庁は自身のホームページにおいて、「これまでに県民の皆様からお寄せいただいた『こえ』」として、「寄せられたご意見」及び「県からの回答」を掲載しており、県ホームページからネット経由で寄せられる意見等は、特段公開しないようにとの意思表示がない限り、むしろ意見自体が公となってもその意見を採用してもらいたいとの意思で意見を述べていると考えるのが社会通念上妥当な認識であろう。
その意味では、公開によって「躊躇」どころか「促進」の利益の可能性すら認められる。
また、たとえインターネットにおける公開を知らないで寄せられた意見等であるとしても、個別具体的な「おそれ」や「支障」の検討なしに、「自ら作成した文書」というのみで一律にその内容の公開が「県に対して自らの思いを率直に表した文書を提出することを躊躇させる」との法的保護に値する程度の「おそれ」の蓋然性の存在を主張することはできないはずである。
まして、甲第2号証においては、聞き取った意見の全文を書面か口頭かの相違のみで公開・非公開の判断をしており、「思いを率直に表した」ものを「躊躇」云々という理屈は公開実態との間で一貫性がなく、理解しがたい。
よって、処分庁が理由としている「自ら作成した文書そのものが公開されることになれば、県民に、県に対して自らの思いを率直に表した文書を提出することを躊躇させるおそれ」が存在するとの主張は、客観的事実の基礎を欠き、何らの法的保護に値する程度の蓋然性も認められず、条例第7条第6号に基づく非開示は違法である。

(5) 理由④?について
処分庁が支障と主張する「より多くの県民から意見をいただくという県民のこえ室の事業」への支障であるが(4)でも述べたとおり、一方で公開によって意見を促進する面もあるのであって、処分庁の見解は一面的なものの見方に過ぎず理由④との因果関係は社会通念上に照らし一般的な事実とは認められない。
よって、条例第7条第6号適用の理由としては客観性がなく不適切である。

2 平成20年6月20日付け県こ第34?号「公文書部分開示決定通知書」及び同年7月8日付け県こ第34?号「公文書部分開示決定通知書」の件
   処分庁は、処分庁意見書第4の2(3~4ページ)において、処分庁が非開示とした根拠規定と理由を具体的に述べているのでこれに対する具体的反論及び意見を述べる。

(1) 処分庁意見書第4の2(1)ア(ァ)前段の主張に対する反論
処分庁は、処分庁意見書第4の2(1)ア(ァ)における主張で初めて意見申出人の氏名、住所、性別、年代などを非開示とした根拠規定に該当する理由を述べているのでこれに反論する。
まず、処分庁は氏名や住所等を記載するものとして、「発信者情報」(意見申出人の「特定」、「氏名」、「住所」、「性別」、「年代」、「郵便番号」、「住所」、「電話番号」、「E≠lail」)及び「発信者別の区分」(「氏名」、「住所」、「特定」)を挙げ、これら「氏名や住所等は個人情報であり、それらが記載されている場合は当然非開示となるものである」と主張するが、条例第7条第2号に基づき非開示となるのは「個人に関する情報」であることに加え、「特定の個人を識別できるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」又は「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」であることが必要であって、単に「個人情報」であるというだけで非開示とはならないことは明らかである。
例えば、「性別」が個人情報であることは認めるが、いわゆるモザイクアプローチ(一般に知ることができる他情報との照合)によって特定の個人が識別される事案は格別、そうでなければ当然に公開されるべき情報である。
処分庁のかかる主張は、法令解釈以前に国語能力を欠いた未熟な主張というべきものである。
次に、処分庁は①「氏名や住所等の記載がなく特定の個人が識別されないイニシャルや偽名と推察されるもの、」②「あるいは不明等と記載されていても、」③「意見申出人が自らをそのような形で意見等を申し出たということを公開することは、公開されることを意図しないで意見を寄せた意見申出人の権利利益を害するものである。」と主張するが、①の「推察」の程度によっては個人識別性が問題になることはあっても②の「不明」と記載されているとの情報などは、一方で意見について「インターネット公開用要約」などとして公開しておきながら、一方で氏名「不明」との情報については公開することによって意見申出人の権利利益を害するので非公開、という主張はあまりに滑稽なものである。
具体的に甲第2号証に示す部分開示例では、前記要約において意見申立人のかなり狭い範囲の居住地域情報まで、特段の支障もなく公開しているのであって、県主張の権利利益についての評価・判断は、あまりに均衡を欠くものである。
よって、本書第1の1(1)及び(2)で既述した条例第7条第2号に係る解釈のとおり、特定個人の識別性のない「性別」「年代」等の個人に関する情報に一律法的保護に値する権利利益を認めることは困難であって、条例第7条第2号適用の根拠を欠くである。

(2) 処分庁意見書第4の2(1)ア(ァ)後段の主張に対する反論
次に、特定個人の識別性のない「性別」「年代」等の個人に関する情報が条例第7条第6号に該当するとの処分庁の主張について反論する。
処分庁は、特定個人の識別性のない「性別」「年代」等の個人に関する情報について、①「一律に非公開とし、その部分は公開されることがないとの県民からの信頼を確保することが県民のこえ室の事業執行上不可欠であり、」②「県民に開示されるかもしれないとの不安を少しでも抱かせることは、県民のこえ室の事業の執行に支障を及ぼすものである。」と主張する。
そもそも、①に主張するような「性別」「年代」等の一律非公開への県民からの信頼などというものが客観的にその存在を肯定できるものであるか疑問を禁じ得ない上に、処分庁はその存在の立証を怠っており容易に是認できない。
さらに、そのような特定個人の識別性のない「性別」「年代」等の個人に関する情報の一律非公開への信頼確保が事業執行上「不可欠」との主張も何らの根拠なく是認できない。
 ②の「支障」とそのおそれについては、本書第1の1(4)及び(5)で既述したとおり、支障を及ぼすことの単なる可能性(しかも、極めて例外的・希少な)があるという処分庁の主観に過ぎず、法令適用に要求される客観性、すなわち「おそれが支障を及ぼすことの法的保護に値する程度の蓋然性」が何ら主張されておらず、非開示の根拠たりえない。
 そもそも、県民が特定個人の識別性のない「性別」「年代」等の個人に関する情報が開示されるかもしれないとの不安を抱くとの認識の存在を非開示の理由とするのは、法令適用の根拠としてはあまりに滑稽で客観性・妥当性を欠くものである。

(3) 処分庁意見書第4の2(1)ア(ィ)の主張に対する反論
 処分庁は処分庁意見書第4の2(1)ア(ィ)において、「意見等の情報」の「全文」と「相談・問合せの情報」の「全文」の非開示の「根拠規定と理由」として「上記1と同様」としており、異議申立人においても本書第1の1(2)~(5)で既述したとおり反論するものである。

(4) 処分庁意見書第4の2(1)イ(ァ)の主張に対する反論
処分庁は処分庁意見書第4の2(1)イ(ァ)において、「根拠規定と理由は上記(1)、ア、(ァ)のとおり」としており、個人情報記載部分に個人識別性がないものについては、本書第1の2(1)及び(2)に反論のとおりである。

(5) 処分庁意見書第4の2(1)イ(ィ)の主張に対する反論
処分庁は処分庁意見書第4の2(1)イ(ィ)において、「適用根拠と理由は上記(1)、ア、(ァ)のとおり」としており、個人情報記載部分に個人識別性がないものについては、本書第1の2(1)及び(2)に反論のとおりである。

(6) 処分庁意見書第4の2(1)ウの主張に対する反論
 処分庁は処分庁意見書第4の2(1)ウにおいて、非開示とした部分は、①「氏名や住所等の意見申出人が特定される部分」②「意見申出人に関係する地名や施設名等の意見申出人が特定されるおそれのある部分」③「特定はされないが意見申出人の言動や態様等の記述であって意見申出人の権利利益を害するおそれのある部分」の3つであると述べている。
 具体的に①に当たるのかは個別具体的に判断すべきであり、②については「おそれ」の程度が問題となる。
 これについては、単に一律に判断することなく、平成9年6月4日付けの静岡県公文書開示審査会答申で示された就学指導委員会の指導統計情報に係る情報公開における個人識別性の可能性を考慮しての市部と町村部の開示と非開示の判断の相違に見られるように、個別具体的に「個人識別性」や「おそれ」すなわち可能性について、判断すべきである。
 ③について、処分庁の認識としては「言動や態様等の記述」は、直ちに「権利利益を害するおそれのある部分」とのことであり、ゆえに条例第7条第2号に該当するものであるという論理構成であるが、このことについては、本書第1の2(2)に反論のとおり、個々の記述が真に法的保護に値する権利利益と認められるという立証もなく、条例第7条第2号の一律適用は違法である。
 つづく「条例第7条第2号を適用して非開示とした。」との段落については本書第1の2(1)に反論のとおりであり、「第7条第6号を適用し非開示とした。」との段落については本書第1の2(4)及び(5)に反論のとおりである。
 加えて、処分庁主張の「県民から広く意見等をいただく事業を円滑に行うためには、少しでも・・・・(中略)・・・、少しでも意見を出そうとの思いを躊躇させるおそれのある部分は開示できない。」との主張は単なる処分庁の思いであってもはや法令解釈とはいえない。
 例えば、「言動や態様等の記述」が条例第7条第6号に該当するか否かは「少しでも意見を出そうとの思いを躊躇させるおそれ」という低い確率を基準に判断すべきものではなく、あくまで社会通念上もっともだというレベルの、すなわち法的保護に値する程度の蓋然性が要求されるからである。
 処分庁の主張は、いずれも県民の貴重な意見等が県民共有の財産であるという意識を欠き、条例の趣獅ナある「知る権利」、「説明責任」、「県民参加による開かれた県政」に違背する主張であって著しく妥当性を欠くものである。

(7) 処分庁意見書第4の2(1)エの主張に対する反論
 処分庁は処分庁意見書第4の2(1)エにおいて、意見申出人作成の文書や回答文の中にある意見等の全文の非開示の「根拠規定と理由」として「上記1と同様」としており、異議申立人においても本書第1の1(2)~(5)で既述したとおり反論するものである。

(8) 処分庁意見書第4の2(2)~(5)の主張に対する意見
 処分庁意見書第4の2(2)~(5)には様々な「おそれ」が非開示の理由として記述されているが、その当否については個々の事案における非開示部分を見ることなしには判断できない。
 よって、その当否についてはいわゆる「インカメラ方式」によって判断されることを望むものである。

3 小括
   以上のとおり、処分庁が非開示とした具体的理由・根拠はそのほとんどが失当であり、非開示規定の適用が不適切な事案にあって非開示とした違法があることが極めて明白である。

第2 異議申立書に対する反論に対する意見
 1 開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示しないときの記載理由の件
    処分庁意見書第4の3(1)に記載の事実について以下反論する。
条例第12条第1項は、実施機関が開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示しない獅フ決定をしたときは、開示請求者に対する通知書に当該決定をした根拠規定及び当該規定を適用した理由を記載しなければならない賜閧゚ている。
これは、本件条例に基づく公文書の開示請求が、県民の県政についての知る権利を尊重するとともに、処分庁の行う諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにし、県政の公正な執行と県民の信頼の確保を図り、県民参加による開かれた県政を一層推進することを目的とするものであって、実施機関において公文書の公開を請求する県民の権利を十分に尊重すべきものとされていること(条例第1条、第3条参照)にかんがみ、非開示理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに、非開示の理由を開示請求者に知らせることによって、その不服申立に便宜を与える趣獅ノ出たものと解するのが相当である(最高裁判所平成4年(行ツ)第48号同年12月10日第一小法廷判決参照)。
上記本件条例に基づく公文書公開制度の目的及び理由付記制度の趣獅ノかんがみると、処分庁が「特定の個人が識別されるおそれがある」とした対象が例えば「発信者別の区分」のどの部分にかかるか、「性別」や「年代」も含むのかが不明であったり、また、「意見申出人が作成した文書そのものを開示することにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある」との一文は「意見申出人が作成した文書そのもの」という対象文書を開示することにより個人の権利利益を害するおそれがあるというのみで、対象文書を開示することがなぜ個人の権利利益を害するおそれがあるのかという理由がまったく読み取れず、開示請求者がその理由の合理性を検討することはほとんど不可能であって、いかなる具体的理由によっていかなる部分が非開示とされたのかを個別具体的に了知し得る程度の理由が付されていないことから、意義申立人は条例第12条の定める理由付記の要件を満たしていないと判断し「非開示理由の記載として不適法」である試蜥」したのであって、処分庁の反論はなんらの反論たりえていない。
また、処分庁は「平成20年6月23日付け「意義申立書」を部分開示した文書が到達する前に提出している」ことを疑問視しているが、意義申立書にも記載のとおり、平成20年6月20日付け県こ第34-1号「公文書非開示決定通知書」及び平成20年6月20日付け県こ第34-2号「公文書部分開示決定通知書」のいずれも平成20年6月21日には意義申立人のもとに到達しており、これら通知(通知に添付の別紙を含む)に示された付記理由に基づいて、上記のとおりの「非開示理由の記載として不適法」をもって異議申立を行っており、疑問視することが問題である。
すなわち、処分庁は平成20年6月20日付け県こ第34-1号「公文書非開示決定通知書」及び平成20年6月20日付け県こ第34-2号「公文書部分開示決定通知書」の通知に記載の非開示の付記理由にはなんら瑕疵があるとは考えていないということであって、このことは、「性別」がいかなる理由によって非開示にされたのかなどの処分庁意見書に記載された具体的非開示理由を開示請求者が知りたければ異議申立をすべしというがごとき見識である。
条例第12条における、非開示理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに、非開示の理由を開示請求者に知らせることによって、その不服申立に便宜を与える趣獅Aまさに没却する見識である。
まずもって、開示請求者に疑問を呈するより前に、全国市民オンブズマン連絡会議による最新の第12回情報公開度ランキング調査(2008年3月21日版)の調査結果において、「最下位の静岡県の石川知事は県政運営の基本理念の1つとして「創知協働」(人々が生み出す知的価値を重視した知の創造と、様々な分野の人たちが力を合わせて活動する、という意味だそうです。)を掲げておられるようですが、自治体が十分な情報公開もしないまま、県民の「協働」を実現することは果たして可能なのでしょうか。」と酷評されているように、処分庁の情報公開制度への理解は低く、原則公開とは程遠い現実にあるという事実を反省すべきである。

2 例示した具体的事案の件
   処分庁意見書第4の3(2)に記載の事実について以下反論する。
   意義申立人が平成20年7月14日付けの意義申立書において例示した「事案外No347~349」の具体的非開示理由として、処分庁は「非開示の根拠規定、理由は上記2、(1)、ア、(ァ)及び上記1記載のとおり」及び「上記2、(1)、ウ記載の適用根拠と理由のとおり」としており、これについての反論は、処分庁が「上記2、(1)、ア、(ァ)」とする部分については本書第1の2(1)及び(2)のとおり、処分庁が「上記1」とする部分については本書第1の1のとおり、処分庁が「上記2、(1)、ウ」とする部分については本書第1の2(6)のとおりである。

第3 総括
   本書第1及び第2に所論のとおり、処分庁の非開示の理由はあまりに主観的に過ぎ、また、処分庁ホームページにおいては非開示情報とした県民等から寄せられた生の意見に「インターネット公開用要約」と称し処分庁が加工したものを、あたかも県民等から寄せられたそのままの意見であるかのように表示し公開しているなど県民の誤解を招くような情報の歪曲が顕著である。
条例の趣獅ノ合致した原則公開の観点からの適切な解釈と運用以前の問題として、情報公開の意義の理解ができていない現実は明らかであり、広報・公聴が情報操作とは異なるという事実をよく認識した上で、本来非開示とすべきでない県民の生のこえなどについても、個人識別性がなければ原則開示の姿勢への転換を強く望むものである。
   また、処分庁における非開示理由の付記についても、異議申立をしなければ非開示の理由は明らかにできないという姿勢を改め、速やかに法令の要求する程度の要件を満たした記載とするよう改めるよう望むものである。

第4 付記(証拠説明)
甲 標目 作成者 作成日等  立証趣
1 静岡県ホームページ中の「これまでに県民の皆様からお寄せいただいた『こえ』」ページ及び「ご意見・ご提言・ご要望(静岡環境行動宣言“HOPE”の有料募集停止)」ページ 静岡県 2008.8.3 処分庁はあたかも県民の生の意見等を公開しているがごとく自身のホームページに県民等の意見等を掲載しており、これを見た県民が同ページ等から意見を寄せるに当たって自身の意見等が当然に公開されないとの認識を持つとは考えられないこと。
2 部分開示文書中の照会60頁「三保海岸の浸食」 静岡県 2007.7.12 処分庁は「公開することは意見申出人が作成時に意図していた目的や範囲を超える」「意見申出人の作成した文書は、意見申出人の考えや感情を表現したもの」などとして非開示にしているが、現に申出人の考えや感情が表現され、非開示とした性別などより個人の属性に近い居住地情報が公開されるなど、処分庁主張の非開示理由と開示実態が合致しないこと。
3 部分開示文書中の回報104頁「部局の名前」 静岡県 2007.10.1 県民等から寄せられた意見の全文がわずか15文字程度のものが処分庁開示の要約においては26文字に増えるなど、公開用要約が真に原文の要約であるかが疑問で、非開示に改ざん隠蔽の意図もうかがえること。
4 『情報公開実務指針』106~107ページ 株式会社ぎょうせい 2007.3.30 「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」の具体的事例として書籍でも例示されている岡山県の例では、真に公開によって記述者の人格や内心を傷つけることが一般的にも是認されるような場合か否かが判断されていること。
5 部分開示文書中の事案外2頁「遠州灘海浜公園に関する苦情」 静岡県 2008.3.7 直筆の文書の場合には筆跡にも人間性を窺うことができるとして開示を拒否しているにもかかわらず直筆の筆跡が現に開示され、しかもなんらの支障も生じないこと。

以上