「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

静岡県水利用課不適正事務関係公文書の非開示取消しと部分開示に対する異議申立て

2014-09-27 18:56:00 | 近況活動報告
先日、速報にてお伝えしましたが、平成26年2月23日に公文書開示請求し、非開示となったことから異議申立てを行い、非開示決定の取消しと開示を求めていた件について、平成26年9月18日付けで県は非開示決定を取消し新たに部分開示決定を行いました。県の誤った判断により実に7か月を要しての開示ということになります。
なお、昨日公文書約2千枚が到着しましたが、今日明日とも稲刈りで多忙であり目を通す気力もないので来週以降精査の予定となります。

まずもって、その「公文書部分開示決定通知書」PDFを添付します。

ただし、この部分開示には問題が一つあるため異議申立てを行うこととしました。

それが、この部分です。



公文書の偽造や虚偽報告などの不適正事務により県民に約1億8千万円もの損害を与えた職員の氏名に加え、職責を軽視し軽すぎる処分でごまかしたその上司の氏名まで非開示としたのです。

そこで、以下の理由をもって異議申立てを行うこととしました。(発送予定日は週明けの9月29日)
<異議申立書抜粋>
5 異議申立ての理由
本件「公文書部分開示決定通知書」中の別紙2の項1番目の「根拠規定及び当該規定を適用した理由」において、知事は、静岡県くらし・環境部水利用課職員のうち懲戒処分又は服務監督上の措置を受けた者の氏名、押印及び写真に記録された容姿部分について「特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第2号に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない」としている。
この適用理由について、前段の「特定の個人が識別できる情報であること」は是認するが、後段の「条例第7条第2号に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない」との主張は認めがたいので、以下にその理由を述べる。
条例第7条第2号ただし書ア「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」とは、「法令等の規定や慣行により、現に何人も容易に入手することができる状態にある情報をいう。ただし、利害関係人等に限って入手できる情報や請求の目的等によって閲覧が制限されている情報は含まれない。」(県「条例解釈運用基準」)ものをいい、いわゆるモザイクアプローチ(「一般人が通常入手しうる関連情報と照合することによって相手方が識別される情報」(最判平成 6 年 1 月 27 日民集 48 巻 1 号 53 頁))によって個人が識別される情報もこれに含まれるものである。
このことは、静岡県情報公開諮問第166号に係る答申(平成22年9月27日付け静情審第24号)において、異議申立人が既に退職した固有の役職にあった県職員の氏名の開示を求めたことに対して「当該前空港建設事務所長に当たる氏名は、静岡県職員録等によっても容易に判別できると認められる。したがって、当該氏名は、条例第7条第2号ただし書アの「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当する と認められ、開示すべきである。」との見解が既に示されていることから、平成24年度及び平成25年度の静岡県職員録等(例えば、平成25年度県退職者(課長級以上)再就職状況一覧(http://www.pref.shizuoka.jp/soumu/so-020/documents/itiran2.pdf)などのインターネットにおける検索情報含む)において特定可能な固有の役職者(平成26年9月3日付けで管理監督責任を問われ処分を受けた水利用課長等)の氏名については、明らかに条例第7条第2号ただし書アに該当するものである。
また、固有の役職でないため当該職員録のみでは個人を特定できなくとも、本件においては、処分対象事件が水道事業に係るものであること、及び、不適正事務を行った職員が女性であることなどの情報を平成26年9月3日付け報道資料(県ホームページにて公開中)等で県自ら公にしており、このことから、不適正事務が行われた部署が静岡県くらし・環境部環境局水利用課水道環境班であること並びに平成24年度及び平成25年度における当該班の女性職員が1名だけであることなどから、いわゆるモザイクアプローチによって不適正事務を行った職員の氏名は特定可能な情報となっており、条例第7条第2号ただし書アに該当するものである。
このモザイクアプローチは前述の平成25年度県退職者(課長級以上)再就職状況一覧で判明した当時の水利用課長の氏名と「くらし・環境部環境局水利用課」をもとにインターネット検索しても現に可能である。
よって、知事の「条例第7条第2号に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない」との主張は、同条同号ただし書の適用を誤った瑕疵があり、違法な処分として取り消されるべきである。
なお、「写真に記録された容姿部分」については、モザイクアプローチによっても容易に判別できず、かつ、職務遂行に付随する情報とはいえ容姿自体が当該情報そのものとは言い難い情報であることから条例第7条第2号ただし書のいずれにも該当しなものとして非開示とする見解は支持できるものである。
さらに、本件「公文書部分開示決定通知書」中の別紙2の項2番目以降の理由に基づく非開示については、是認する。

以上、記録としてここに報告しておきます。
なお、これまでの経緯は「大井川広域水道企業団補助金不適切事務処理関係公文書非開示に係るこれまでの経過と所感」にて御確認ください。

第21回全国市民オンブズマン岩手大会報告その3

2014-09-17 22:57:00 | 近況活動報告
その1(公共事業問題)その2(政務活動費、秘密保護法、地方自治法改正問題)に続いて、今日は大会開催地岩手からの報告を紹介します。

東日本大震災による津波で甚大な被害を受けた岩手県沿岸部ですが、その復興に向けた施策においていくつかの問題が報告されました。
緊急雇用創出事業補助金の不正利用がニュースになった山田町のNPO「大雪りばあねっと」やDIOジャパン・コールセンターについては、ネットで検索すればより詳しく出ているのでここでは省略し、被災地域における復興計画の策定過程について以下紹介します。

<復興計画策定の意思決定過程問題>
これは地方自治における住民自治(住民の意思と責任に基づいて行政を行うこと)に関わる問題です。
具体例として静岡県も支援している大槌町の例です。

2011年8月に就任した新町長は「海の見える、つい散歩したくなる、拘りのある美しいまち」をまちづくりのコンセプトとしていたが、大槌湾においては堤防高を震災前のものよりも倍以上の高さの14.5mにするという国が決めた方針・基準を、非公開で行われた岩手県の津波防災技術専門委員会(個別地区に関する整備目標など主要部分の議事録が非公開)が受け入れるに及び、さらに、住民による議論のいとまを与えないような復興計画期限の設定によって、多くの地域で国の方針・基準に基づくまちづくり計画が選択されたというものです。

今になって後悔しても、ときすでに遅く、形式的に地域自らが決めたこととして国の画一的方針どおり公共事業が淡々と進められているのです。

ただし、例外もあります(上のスライドの末尾)。
大槌湾の中でも赤浜という地区では仮設住宅に残った住民自らがこれからのまちづくりについて話し合ってきていたため国の方針と異なる選択を行えたということです。これならば、自らが選択した以上、何があっても後悔はないでしょう。

経済的合理性を求めた平成の大合併により基礎的自治体である市町村はより大きな規模となるべく誘導され住民自治よりも団体自治が優先されるようになりました。
一方で、その自治体の中にあってなお、農村・漁村の単位で法人格をもたない共同体は依然として存在しています。
民衆の自治によって成り立ってきた社稷を国家に先行する共同体と説く権藤成卿の「社稷自治」のあり方、それを体現する現在の住民自治の考え方からすれば、たとえ時間がかかったとしても赤浜のようなあり方こそ求められるべき自治としての意思形成過程であったように思います。

第21回全国市民オンブズマン岩手大会報告その2

2014-09-10 22:06:00 | 近況活動報告
その1(公共事業問題)に続いて、今日は政務活動費、秘密保護法、地方自治法改正問題について紹介します。

<政務活動費>
政務活動費については、全国市民オンブズマンでは、前回大会において既に問題点を指摘してきたところですが、兵庫県の号泣県議のおかげでその使途などの問題点が一躍メディアの脚光を浴びることとなりました。
全国市民オンブズマンはこれを機に全国の都道府県及び政令市にアンケート調査を実施、その結果を大会において発表した。
そのうち、静岡県に関わるところでは、
静岡県議会の議員一人当たりの政務活動費の年額は全国10位の540万円(全国平均は419.6万円)
政令市の静岡市議会の議員一人当たりの政務活動費の年額は300万円(政令市の全国平均は393.8万円)
同じく政令市の浜松市議会が議員一人当たりの政務活動費の年額は180万円であった。

今大会の大会宣言で「政務活動をより透明化するため、政務活動費を支給している前議会に対し会計帳簿の提出・ホームページ上での公開を義務づけさせること」という項目があるが、これは限られた人工で膨大な領収書を一枚一枚見て行くことは現実的に至難のことであり、結果として監視が行き届かずに杜撰な使途が蔓延することとなっていることから、問題点を見つける手がかりとして最低限の作成資料である「会計帳簿」くらいは提出させて公開すべきであるというものです。
この点、本県内では静岡市だけが公開しており、静岡県と浜松市は活動報告書はもちろん会計帳簿でさえ議会への提出を義務づけていないということです。
これら(金額と情報公開)のことから、静岡市議会は、少なくとも静岡県議会よりもはるかに健全であるようです。
ただし、監視を怠れば公務員も同様であるが、権力は腐敗するもので、私利私欲を動機とした自己防衛や組織防衛に走ることは必定。

思うだけではだめで、発言・行動こそ権力監視の要諦と心得るべきである。


<秘密保護法>
秘密保護法についても前回大会で取り上げられましたが、その後に開示された公文書からいくつかの事実が判明しました(スライド画像参照)。

国はこれら事実を隠したまま、

強行採決を行っていたのです。

また、今大会では特定秘密保護法の運用に関する情報保全諮問会議委員の清水勉弁護士が講演し、秘密の範囲が曖昧で適用範囲が広すぎること、処罰範囲が広すぎる上に過剰なことなどの問題があることや、そもそも立法事実がない(=既存の法令の適用・修正で対応可能で新たな立法の必要性がない)ことから日弁連が条件付き反対をしたことが述べられました。
その他、秘密保護法については、国連人権理事会特別報告者からも懸念を示され、その情報を非公開としたことなど、これまでの過程が全国市民オンブズマンのHP(http://www.jkcc.gr.jp/menu6.html)に掲載されていますのでそちらをご覧ください。

<地方自治法改正>
2012年の政務活動費の使途拡大という地方自治法改悪に続き、今まさに行われようとしているのが、住民訴訟による首長の責任追及の無効化に向けた改悪です。
住民訴訟で首長が敗訴し賠償義務が生じる事件が相次ぎ、一部にこの損害賠償請求権を議会が放棄するという例も出てきたことから、これらに対する対応案として地方自治法の改正を目指すということで現在地方制度調査会において議論されていますが、

真の狙いは対応案中の「軽過失免責」にあるようです。
つまり、訴訟で負けて賠償義務が発生すること自体を防ごうという意図です。
担当職員レベルなら故意・重過失を追求することも可能でしょうが、実際に手を下していない首長の責任を問うのに故意・重過失を立証するのはほぼ不可能です。
これゆえに、「軽過失免責は、住民訴訟に対する死刑宣告である」といわれています。
とはいえ、本県においては、税金は人の金という意識が蔓延し、「虚偽報告や事務放置で1億8千200万円の損害を県民に与えた県職員に停職6か月、賠償1割の軽い処分で幕引き」というようなことに対して、県民の代表である県議会にあっても9月議会で県の提案どおりに損害賠償請求免除の承認が行われるようで、既に末期症状を呈しており、これに地方自治法改悪が加われば、もはや無法地帯の様相が想起されるところです。
やはり、権力の監視を怠ると、結局は一般の国民に大きな付けが回って来るということなのです。

おかしなことにはおかしいと言い、過ちを糾す行動をとる。
何かに囚われている人には難しいことでしょうが、そうでない人は社会生活者としての未来への義務なのです。
より良き未来のため、各々よくよく考え、現実の声・行動に表してほしいと切に願います。

静岡空港利用者の推移(開港6年目3か月)~依然、税金補助チャータで3位継続も・・~

2014-09-09 21:58:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で6か年を比較したグラフです。
以下、開港6年目の3か月目となる8月実績に基づき傾向を概観する。

<傾向等>
開港から6年目の3か月目となる8月実績は、先月の勢いはやや影を落とし、国内線では過去最高を記録した路線はなく、国際線でも近隣空港との旅客争奪が激化している台湾線が頭打ちで減少、上海線のみ過去最高となった。
結果として、先月の対前年比で16.5%アップ、ピーク年に比較して9.3%下回る過去第3位の実績に対し、今月は対前年比で8.7%アップ、ピーク年に比較して14.1%下回る過去第3位の実績であった。

国内線の問題は各路線とも過去の壁をなかなか越えられず、税金で減少幅を押さえているという悲壮な現実を見て取れる中、今後は、航空会社や旅行会社などにも多額の税金が投入されるうちでも、特に優遇補助のチャーター便に力を入れていく方向のようである。

一方で、国際線は上海線に好調が見られるが、9月からは再び減便となるなど、需要のおう盛な時期の近隣空港であふれた需要の受け皿としての一過性に過ぎないとも見られ、来月以降の動向が注視されるところである。
また、国際線は、定期便だけ見ればワースト2位となるところを、過去2位に押し上げた6月からの天津航空(1便100万円補助)などのチャーター便が、人数にすればわずか8,531人ながら、静岡空港のような元々利用者の少ない空港においては対前年同月比にして37%も押し上げ国際線の対前年同月比は118.2%と、先月7月の133.8%に比べれば抑えられたものの、伸張した。(チャーター便がなければ同81.1%に過ぎず、チャーター便のような厚遇な税金補助のない既存路線の需要の維持が課題であることがわかる)
しかし、県民が搭乗できる国内のチャーター便と異なり、天津(中国)のチャーター便(180席の機材)は県民の税金で県内に1泊もしなくても1便100万円も補助することとなり、公益性には大いに疑問がある税金の使い方と言える。

結果、トータルでは、開港初年及び2年目には及ばないものの、歴代(過去6年間で)第3位の実績となった。

路線ごとに見た過去6年間の8月実績のみで比較した順位と比率は以下のとおり。
札幌線9,643人   4位/過去6年(1位の平成21年14,013人に対して68.8%
福岡線11,226人  2位/過去6年(1位の平成21年15,593人に対して72.0%
鹿児島線1,687人  4位/過去6年(1位の平成22年3,372に対して50.0%
沖縄線8,229人   2位/過去6年(1位の平成25年9,331人に対して88.2%
ソウル線5,811人 6位/過去6年(1位の平成22年19,000人に対して30.6%
上海線6,773人   1位/過去5年(2位の平成24年4,660人に対して145.3%
台湾線4,120人   2位/過去3年(1位の平成25年4,914人に対して83.8%
また、上記路線以外のチャーター便を含む総利用者は56,162人で過去6年間で第3位、ピークの平成21年(64,008人+上海推計1,350人)に比べて85.9%であった。

国内線と国際線の過去6年間の推移を見ると、

定期便中心の国内線が2年目以降横ばいで、国際線が緩やかな伸びのトレンドを示している。

国内線の内訳を見ると、

札幌、福岡の両路線は初年度の壁が遠く、沖縄線も頭打ち、鹿児島線は低迷状態にある。

国際線にあっては、

上海線が緩やかな伸びのトレンドを示す中、ソウル便が激減するのと対照的に補助金優遇のチャーター便が急な伸びを見せていることが分かる。

以下、今月の実績を記す。
<平成26年8月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H26.8/H25.8):搭乗率[H26.8;H25.8](赤文字は搭乗率が65%を下回っており、税金補助がなければ路線存続が疑問視されるもの)

札幌線:109.3%(9,643人/8,825人):[69.6%;66.4%]
福岡線:107.9%(11,226人/10,403人):[75.4%;74.3%]
沖縄線:88.2%(8,229人/9,331人):[75.4%;85.5%]
鹿児島線:113.5%(1,687人/1,486人):[83.7%;74.6%]
国内定期便計:102.5%(30,785人/30,045人):[73.9%;74.7%]

国内線チャーター便計:49.3%(142人/288人):[93.4%;94.7%]

国内線計:102.0%(30,785人/30,333人):[55.1%;74.9%]

ソウル線:47.9%(5,811人/12,098人):[84.7%;62.7%]
上海線:189.3%(6,773人/3,578人):[65.8%;63.9%]
台北線:83.8%(4,120人/4,914人):[72.4%;74.5%]
国際線定期便計:81.1%(14,109人/20,590人):[73.1%;65.4%]

国際線チャーター便計:1,125.5%(8,531人/758人):[94.8%;82.8%]

国際線計:118.2%(22,842人/21,348人):[79.3%;65.9%]

全路線計:108.7%(56,162人/51,681人):[76.2%;70.9%]

第21回全国市民オンブズマン岩手大会報告その1

2014-09-08 21:17:00 | 近況活動報告
9月6日と7日、岩手県盛岡市内で第21回全国市民オンブズマン岩手大会が開催され、公共事業問題、政務活動費問題、秘密保護法問題、地方自治法改正問題など、多くの問題について活動報告等行われました。

今日は以下に公共事業の問題について、紹介します。

まず最初は、新規の公共事業を生み出す、その根拠として利用される需要予測の問題。
全国市民オンブズマン連絡会議は過去10年間に開業した地方自治体や三セクによる鉄道21路線について、予測と実績を調査したところ、約半数が予測の6割未満だったことが分かったというもの。
そして、ここで登場したのが、静岡空港の需要予測大はずれで有名な、国交省事務次官ほか多くの天下りの受け皿となっている財団法人運輸政策研究機構である。

福岡市の地下鉄3号線(七隈線:橋本~天神南)の需要予測精度が、静岡空港の需要予測の精度33%をも下回るわずか29%の精度しかなかったとのこと。また、横浜市から受注した4号線(日吉~中山)についても44%の精度であったという。

さらに、昨年11月7日に地元福岡市で毎日新聞が報じたところでは、福岡市が人工島への鉄道建設を目的にこの運輸政策研究機構に委託した需要予測において、わずか1年前の予測の1.7倍に膨れ上がっていたこと、その理由が、需要予測の前提となる住宅地や企業用地が売れて従業員数が前回予測のばいになるなどと甘い前提で計算していたことが公になっている。
結局、行政に都合の良い予測を出してくれ、その予測がどれだけ外れても全く責任を負わなくても済む、ということで、こういった需要予測請負機関の存続・繁栄が社会的に放任されているのである。
ちなみに、人口減少の中、需要が伸びるというリニア新幹線の需要予測もこの運輸政策研究機構である。

さて、こういった問題がなぜ今振り返られるかというと、震災復興からアベノミクスに連なる近年の公共事業の再興である。

総事業費だけでなく設計額に対する落札率も上昇(すなわちコスト高)し、使い方も、これを機に使わなければ損とばかり、いつか来た道で、粗雑・放漫になるからである。

実際、最近減っているのが一般競争入札で、逆に増えているのが単純な単独随意契約に変わる「総合評価方式」や「プロメ[ザル方式」などの新しい契約方式だ。

これにより、価格に関わらず意図する業者に落札させることができ、価格の高騰を招くのである。

もちろん、一口で公共事業といっても、生活に直結するようなものや喫緊の被害防除的な、借金してでも今行う必要のある公共事業というものも確かにある。
しかし、今行われているのは、国が大盤振る舞いするその金を個々の地方がどうやって掠め取ろうかという大狂騒・大競争としか思えない公共事業があまりに多い。

現行の財政の仕組みの中では、はるか先を見た公金の使い方を国が主導せずしてたかり体質の地方に自制ができるはずがない。復興財源の流用に見られた過ちは繰り返してはならないのである。
それには、国民の監視こそ最も重要であり、その前提となる情報公開が健全でなければならない。