「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

繰り返される過ち~特定秘密保護法案に寄せて~

2013-11-19 23:07:00 | 雑感
特定秘密保護法案の協議が大詰めを迎えている。
かつて護憲三派内閣によってはじめはソフトに、その後改悪を重ね拡大解釈も加わり猛威を振るった治安維持法の反省を忘れ、
かつてナチスが民主主義の庇護を受けながらその民主主義を破壊に導いた歴史を忘れ、
政治家は自らその権威をおとしめるだけでなく未来の国民を盲目にしようとしている。

1925年、治安維持法が成立した当時の東京朝日新聞の社説
「治安維持法の目的とする所は、恐らく国体を変改し、いわゆる朝憲紊乱、社会組織を破壊するが如き過激運動を取り締まるにあるであろう。この点においては何人も賛成し、直接反対するの自由を見出すことを得ないのであるが、これが取り締まりの実際は、まったく人権蹂躙言論抑圧の結果となり、国民の思想生活は警察取締の対象となり、集会結社の自由は無きに至るのである。」(現代仮名遣いに改)
この予想どおり、集会結社の自由はもちろん、ひとたび潮流に乗った自由への弾圧はとどまることを知らず、やがて表現の自由や言論の自由までもが無きに至った歴史はなぜ国民、そして政治家に共有されないのだろう。
現下の国会の質疑では法の解釈や運用を問う質疑が繰り返されているが、国会の質疑でいかに温和な回答を得ようとも、一度法律が成立しその運用が開始されるや国会の質疑から離れ、独自の解釈に変貌していくものだということが忘れ去られているかのようだ。現に2・4事件においては議会での説明とは異なる拡大解釈によって法が適用されるに至っている。あいまい・抽象的な法の文言は、民主主義に不可欠な国民の権利を守ろうと憲法が制約名宛人としている為政者にとっては実に好都合だ。

いずれ悪法と評価を受けるであろうことを知ってか、与党単独での成立という評価を避けるため、みんなの党や維新に譲歩してでも成立させることを優先しているが、これはまだ序章と思ってのことであろう。
いずれ、時機を得ての改正(改悪)が狙われるであろうことは歴史が証明している。
当面のターゲットは、特定秘密保護法は戦争準備法などとも言われるが、実際は武器使用の戦争というよりも食料戦争としての外交・防衛上の秘密としてのTPPであろう。TPP参加が決まり、法律に優先する条約(協定)の猛威の前に、国民を守ろうにもなすすべもなくかつ情報を得られない国会が、やがて死に体と称される日は、それほど遠くないのかもしれない。

<参考リンク>
ツワネ原則
9月12日当ブログ

財産管理に関する公文書開示請求

2013-11-19 19:06:00 | 近況活動報告
年明けの活動用として、公有財産の管理状況の適正を確認するため以下の3つの公文書の開示請求を行い、本日受け付けられたので公開する。

1 国有農地について、農林水産省所管国有財産管理者として官民境界確定を行う権限を知事から授権(委任・専決等)された職員を定めた公文書及び当該境界確定事務執行に当たり境界確認(同意)の適正基準・規範を定めた公文書
2 平成25年度上半期(4月~9月)に執行された国有農地に係る境界確定事務に係る公文書の全て
3 耕作放棄地の解消又は発生予防を目的として県所有の草刈機を私人に無料で貸し付けているが、平成25年度上半期(4月~9月)における貸し付けの全てについて、各貸し付け毎の「財産の交換、譲与、無償貸付け等に関する条例」第7条に規定の無償貸し付けの要件の具備・適否が確認できる公文書

静岡空港利用者の推移(開港5年目第5月)~税金補助漬けも効果薄れ、7路線中4路線で過去最低を更新~

2013-11-11 20:06:00 | 静岡空港
静岡空港利用者数(搭乗者数)の推移

(注)開港初年については月ごとの発表のなかった上海便各月推計データを加味した上で5か年を比較したグラフです。
以下、開港5年目の5月目となる10月実績に基づき傾向を概観する。
<傾向等>
税金補助という麻薬漬けや「8月の静岡空港 搭乗者4路線で過去最多」などというメディアを使っての詐欺まがいの成果演出のかいもなく、10月実績は現有7路線のうち4路線で搭乗者数過去最低(同月比、以下同)を更新した。
国内線は過去最低の昨年を上回ったものの、過去5年間で4番目、国際線にあっては過去最低であった。

路線ごとの成果にあっても、開港当初右肩上がりでの年々の利用者増を豪語した川勝の期待もむなしく、役人の責任放棄ともいえる弥縫策の繰り返しと成果の糊塗の前に散々な結果となった。
<路線ごとに見た過去5年間の10月実績のみで比較した順位と比率>
札幌線7,392人   5位/過去5年(1位の平成21年11,242人に対して65.8%
福岡線9,839人  2位/過去5年(1位の平成21年14,373人に対して68.5%
鹿児島線1,484人  5位/過去5年(1位の平成23年2,753人に対して53.9%
沖縄線6,182人   1位/過去5年(2位の平成23年5,881人に対して105.1%
ソウル線6,597人 5位/過去5年(1位の平成22年16,216人に対して40.7%
上海線1,292人   4位/過去4年(1位の平成22年3,961人に対して32.6%
台湾線3,940人   1位/過去2年(昨年3,108人に対して126.8%

総利用者は36,831人で、対前年同月比は103.9%と、先月の108.6%を下回り施策の効果が出ていないことは明らか。

さて、この10月実績の個別路線を見てみよう。

・札幌便は過去最低を更新したことに如実に現れているが、観光需要が主体で流行に左右されるとはいえ需要は既に頭打ちで自然増での過去のピーク越えは期待できないものの、ANAの機材大型化により修学旅行シーズンでの学徒動員による伸びはあり得るだろう。
・福岡線は初年度のピークには及ばないものの、ビジネス利用を狙った多頻度化の中で採算性を考えない低価格化を続けるなら多少の伸びはあり得るだろう。
・鹿児島線は低価格で攻めても需要がない状況であり、廃線という死を前にした終わった路線である。
・沖縄線は今年の機材大型化で、過去最高を幾月か記録するようになっているが搭乗率は厳しく、税金補助で支えられている状況にある。観光需要に税金投入がどこまで許容できるかが問われる路線である。
・ソウル線は日韓関係の有無にかかわらず、既に韓流ブームは去っており早晩路線縮小となるだろう。
・上海線は日中間の問題からくる観光需要低迷もあるが、ビジネス分野でも中国の経済リスクの不安が広がっており、羽田や中部国際空港との競合もあって、廃線もあり得る。
・台湾線は昨年からの新規路線ということもあって伸びている路線であるが、両国の首都に近い空港を結ぶ羽田からの路線の優位性と来年の羽田の国際線数拡張による便数増の影響は避けられず今年がピークであろう。

以上から、5年目の実績について、ここ5か月の推移から、45~50万人程度(県の平成25年度目標は70万人)と推測される。

では、以下に今月の実績を記す。
<平成25年10月の実績:対前年同月比>
路線:搭乗者数対前年同月比(H25.10/H24.10):搭乗率[H25.10;H24.10]

札幌線:97.4%(7,392人/7,591人):[59.4%;74.8]
福岡線:139.6%(9,839人/7,046人):[68.1%;72.1%]
沖縄線:110.6%(6,182人/5,487人):[61.3%;71.0%]
鹿児島線:99.9%(1,484人/1,486人):[60.6%;61.1%]
国内定期便計:114.7%(24,897人/21,710人):[63.2%;71.8%]

国内線チャーター便計:-%(105人/0人):[41.7%;-%]

国内線計:115.2%(25,002人/21,710人):[63.0%;71.8%]

ソウル線:75.8%(6,597人/8,701人):[55.4%;51.5%]
上海線:92.4%(1,292人/1,399人):[43.2%;35.1%]
台北線:126.8%(3,940人/3,108人):[66.5%;75.7%]
国際線定期便計:89.6%(11,829人/13,208人):[56.8%;52.8%]

国際線チャーター便計:0%(0人/526人):[-%;96.0%]

国際線計:86.1%(11,829人/13,734人):[56.8%;53.8%]

全路線計:103.9%(36,831人/35,444人):[60.9%;63.5%)]

想像力の欠如、ダブルスピーク拡散の先にあるもの

2013-11-03 18:50:00 | 雑感
win7が先月下旬に再び不安定になり予備機のXPのサメ[トも来年3月までとせまったので思い切ってメインパソコンをMacに変え、今日は初書き込み。

なお、今年も残すところ2か月弱、年末年始は長期の休みとなり間が開いてしまうため、年内の新規活動はありませんので更新も少なくなりますがご容赦を。

さて今日は、最近の世相から以下、雑感。

またか、これでもか、というように食品偽装が相次いで発覚している。
一方で、三重県の米販売業者が外国産米を国産と偽ったり加工米を食用と偽装したり、県内においても、うなぎ販売業者が外国産のうなぎを静岡産として販売したり、偽装を認めた例もあるが、ほとんどは偽装とは認めないで誤表示と主張している。

阪急阪神ホテルの例では、偽装とは「お客様を欺いて不当に利益を得ること」と自ら定義して、意図を持って表示し利益を得ようとしたわけではないので偽装にはあたらない、よって「人的ミス」「誤表示」であるという。一般には責任回避の言い訳と映るだろうが、これはこれで一つの見方・見識であることは確かである。その後、批判を受けて、お客さんから見れば「偽装と受け止められても致し方ない」と釈明したが、要するにこれも立ち位置の違いからくる見解の相違だということをいっているに等しい。
また、偽装問題ではないが、みずほ銀行の反社会的勢力との取引問題でも外部からの隠蔽という指摘に、「連携不足」「単なるミス」「軽率だった」などと釈明するなど責任回避の姿勢が見られるが、これも一つの主張・見識であり、立ち位置による見解の相違と主張しているに等しい。

確かに実社会における言説には数学のように答えが一つというものは少ない。
これが、複数人が異なる主張をすればその人数だけ答えがあると言われる所以である。

はっきり言ってしまえば、裁判所の判決でさえ法的効果の有無に違いがあるだけでしょせん一つの見解にすぎない。

そういう中でも共に合意を見いだすための「議論」が成立するのは、同じ意味地平での言語使用が前提としてあるからだが、これら例のごとく立ち位置や置かれた状況などによって言葉の意味が変わったなら理解や深化を目的とした議論は成立しない。

これが北朝鮮のような暴力を背景とした独裁国家なら議論など不要で独裁者の見解の一言でけりが付くのであろうが一応自由主義的民主主義国家である日本においてはそうはいかない。

ではどうなるかというと、言葉の意味の拡散が止められず、議論は迂遠にして空疎にならざるを得ない。ダブルスピークが日常化していくのである。
「1984」の著者オーウェルは「人も社会もまず言葉から狂っていく。」と述べているが、思考の深化を妨げられた社会は人間社会としては崩壊していく運命しかないということだ。

しかし、現実にはこのような不祥事が繰り返されても社会は崩壊せず、同じような言い訳・ごまかしの連続で終わっていることも確かである。

それは、これら事象がまだ序章にすぎないからだ。現状は、唯一同じ意味言語が通じる部分社会の中にマグマのように押さえ込まれている状況だ。
ただし、そういった特殊言語で共通する組織文化圏内の安定とは裏腹に、ますます自己文化圏の闇に埋没し、人間社会の常識からはずれ、官僚主義的ダブルシンクが組織を覆い、成長・創造・革新からは遠ざかる。

事件が明るみになったときどういう対応をするか、これは単に外部との関わりにとどまらず、内部へのメッセージとして重要である事実を多くは知らないか考えようとしない。想像力の欠如だ。

つまり、くだんの偽装会社も隠蔽会社も、一連の対応は、たとえ外部社会の反発を買っても組織内に対しては当該行為の罪悪感軽減とともに組織内文化は変わらない、変えないという宣言を行っているに等しいのであるが、その是非について考えが及んでいないのである。

魔チて本県であるが、さきの監査結果に見るとおり、「違法」が「不適切」と言い換えられ、まさにダブルスピーク、責任逃れを奨励しているかのようだ。

偽装・隠蔽会社と軌を一にするものといえよう。

実例を一つあげておこう。
知事が県議会で解消実績を自慢した耕作放棄地である。

全国トップクラスの解消実績を誇ったが、これとは印象の異なる現実が先頃農水省から発表され、地元一般紙では伝えていないが、日本農業新聞の東海版が報じたものだ。
「東海4県 耕地面積1400ヘクタール減少」として報じられた内容は、農水省が10月22日に発表した平成25年耕地面積(7月15日現在)のうち、東海4県の動向である。
以下のとおり、耕地面積の減少が一番多いのが静岡県であったのだ。

県名、耕地面積(田畑計)、対前年差
岐阜県  57,400ha  ▲200ha
静岡県  69,200ha  ▲500ha
愛知県  77,900ha  ▲400ha
三重県  60,900ha  ▲200ha

それなら耕作放棄地解消実績が高いというのは嘘なのかというとそういうわけではない。
次に示すのは、同じ農水省の発表資料中の耕地の拡張(増加要因)とかい廃(減少要因)の内訳である。

県名、拡張面積(増加要因)、かい廃(減少要因)、差し引き
岐阜県   18ha  228ha  ▲210ha
静岡県  118ha  654ha  ▲536ha
愛知県   13ha  390ha  ▲377ha
三重県   19ha  291ha  ▲272ha

見てのとおり、静岡県は増加要因、減少要因ともに突出して多いことがわかる。
もっとも、かい廃要因としては農地転用による宅地化もあるので、これが突出しているのかと疑う向きもあろうが、そういう訳でもない。
同じ資料から、純粋に荒廃農地(本県が耕作放棄地と称しているもの)が増えていることがわかるのである。

県名、荒廃農地の増
岐阜県   44ha
静岡県  283ha
愛知県   52ha
三重県   9ha

なぜ、このような異常な結果となるかというと、言葉の「定義」の違いである。

さきにこのブログ内で公開した質疑を見てほしい。
「県実績誇張への疑義、公開質問と回答の紹介」(2013/8/14)

静岡県では抜根せずとも草を刈っただけで保全管理として耕地扱い、耕作放棄地(荒廃農地)解消とするよう指示している。
さらに最近ではミツバチが飛んで蜜を採取する範囲の農地を耕作放棄地解消としている。
これで解消(耕地の拡張、増加要因)が増えるのだ。
一方でなぜ荒廃農地(耕地の減少要因)が突出するのかであるが、これは耕作放棄地解消と同時に耕作放棄地が増える、分母と分子が同時に増える仕組みにある。
いわゆる現況未把握地の解消である。
農地はそのすべてが県の調査で現況把握されている訳ではない。
そこで、現況が不明な農地について現地調査して、草が刈ってあれば耕作放棄地の解消実績として解消率の分子に編入し、同時に全体面積の分母にも入れるのである。
これにより、世間にとっては現実には何も変わっていなくても数字上の耕作放棄地解消実績は上がり、県の目標は達成され、役人にとっては成果となるのである。

もちろん一部には真の解消もあるが、これはプロパガンダに利用され誤ったイメージを作り上げられる程度あれば、彼ら役人にとってはよいのだ。

TPPの経済への影響が心配されている中、農業が盛んな道県では行っている影響の独自試算さえ、静岡県は行っていない。
ましてその対策については言わずもがなだ。終始楽観的な内向きの論理で完結し、ごまかしの中で成長を拒絶している。

気がついたときは手遅れ。
楽観的にして安易な言葉の言い換えが拡散し続け、外から大きな波がきたとき、まさに1%が持つその言葉の意味の力によって倍返しを受け、この行政にしてこの現実と気づく日がきっと来るだろう。

すでにこの流れは止められない。明哲なる者は備え行動すべし。