「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

平成26年度県予算「空港アクセスバス運行事業費」6,800万円

2014-05-07 22:31:00 | 近況活動報告
今日は平成26年度の空港関連予算のうち、「空港アクセスバス運行事業費」6,800万円を見つつ、おざなりな県行政の一面を明らかにする。




この予算は上の画像の目的等から分かるとおり、静岡駅及び島田駅と空港を結ぶアクセスバスの運行をバス会社(しずてつジャストライン株式会社)に委託する事業である。

その委託費の額であるが、以下(島田ー空港路線)の画像ような計算で県予算(税金)が投じられている。



キロメートル当たり189.9円で年間運行経費を見積もり、そこから運賃収入見込額を引くという計算であるが、その運賃収入見込みは昨年9月までの実績をもとに1便当たり1.3人の利用を見込んで計算していることが分かる。しかも、運賃単価は実際の運賃の500円ではなくなぜか396円で見積もられていることが分かる。
そのため、運行経費約4,491万円に対して運賃収入は676万円程度しかなく、結果赤字額に相当する約3,815万円が税金からバス会社に補填されるような構造になっているのである。
また、同じような計算で静岡ー空港路線は約2,905万円が税金からバス会社に補填されることになっている。
その額、2路線合わせて年約6,720万円。
昨日のニュースで大井川鉄道が先月行った減便(14往復→9往復)で金谷駅での接続の悪さや、日中の次便までの待ち時間が2~3時間になるなどして不便になり、寸又峡では滞在時間が制約を受けるなど観光にも大きな影響が出ていることが報道されていたが、この原因となった運行会社の赤字額は平成23年度が7,700万円、平成24年度が1,800万円だという。空港関連には湯水のごとく税金を注ぎ込むのとは対照的に、通勤・通学にも利用される生活路線である大井川鉄道に対しては冷淡に見える。県の天下り社長を迎えた天竜浜名湖鉄道に1億2,500万円補助するのとも実に対照的だ。
この予算に携わった職員らは県民生活について何も考えていないのではと疑念を持たれても仕方ないような実態である。

実際、以下のこの空港アクセスバス事業についての自己評価を見ると県がおざなりに予算を投入し続けていることがよくわかる。




これは、平成26年度予算要求に際して作られた調書の記述である。

次に、昨年度(平成25年度)の予算要求に際して作られた調書の記述が以下である。


最近STAP細胞に関連して論文でのコピペが問題になったばかりだが、県行政では当たり前のように行われているのである。
また、記述の中に「小型車両の導入によるコストの縮減や、航空機のダイヤ改正に合わせた運行本数の見直し」を行ったとあるが、以下のとおり、



バス小型化は平成24年度から行っており、運行本数も昨年と変わっていないのである。

静岡県でも経営管理の手法として計画、実行、評価、改善のPDCAサイクルを行っている建前となっている。
本質的にマンネリ化・陳腐化しつつも県民の目先を変えいまだ続けている事業仕分けもこの一環である。
しかし、見てのとおり、現実の実務の現場では、県民の目の届かない現場では、予算を要求する側もそれを査定する側もPDCAサイクルなど意中にないかのごとくである。(税金垂れ流しの)結論ありきの中で、形式的理由付けを整える儀式を行っている現実が如実に現れている。

18世紀末のイングランドの詩人シェリーは理性と想像力の違いを道具と使用者にたとえた上で、「人は大いに善であるためには、強烈にかつ広範に想像力をはたらかさねばならない。相手の、または他の多くの人々の立場に、我が身を置かねばならない。同胞の苦痛も喜びも自分のものとしなければならぬ。道徳的善の大いなる手段は想像力である。」と道具としての理性に先立って使用者としての、すなわち自律した主体としての想像力の大切さを説いた。
はたして、儀式のように県がやっているかようなことに、このような想像力が認められるだろうか。

このブログ上ではこれまでに何度も県の想像力の欠如を指摘してきたが、いまなお、一向に変わる気配すらない。
想像力を欠いた道具・マシーンが導く先は、道徳観を喪失し共感を失った社会でしかない。
希望があるとすれば、このような社会環境下にあっても想像力を保ち続けられる言行一致の国民である。
真の主権者として政治に行政に、声を出してほしい。


<予算調書>
「空港アクセスバス運行事業費」

<参考:昨年度の解説>
「平成25年度「空港アクセスバス運行事業費」68,000,000円」