拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

『Big☆Bang!!!』/中川翔子

2008-05-10 12:06:10 | アルバムレビュー
遅まきながら中川翔子の1stアルバムの感想を。シングル4枚、ミニアルバム2枚、ライブDVD1枚と、振り返れば2年弱の間に、かなりハイペースでリリースしまくってきたしょこたん。待望のフルアルバムは、アニソンをひたむきに愛してきた彼女らしいものだった。収録曲はアイドル歌謡、ロック、テクノポップとバリエーションに富んだ曲調ながら、どれもアニソンとして通用しそうな、わかりやすくキャッチーなメロディラインを持っている。作家陣は実際にアニソン界で活躍してる人が多めだが、エイベックスやソニーミュージック人脈の作家が作った曲もアニソンテイストバリバリだ。また、Perfumeプロデューサーの中田ヤスタカ…の友人がテビュー曲「Brilliant Dream」をダフトパンクっぽく…つまりPerfumeっぽくリミックスしたものも収録されていて、時代の空気が適度に読まれている(コレだけ浮いてる気もするけど…)。
いかにもオープニングっぽい勢い一発頭カラッポの「We can do it」の次、いきなり紅白出場曲「空色デイズ」が登場。アニメ『天元突破グレンラガン』のストーリーに忠実に書かれた力強い歌詞が曲にハマりまくりのロックチューン。無駄に手数が多くて派手なドラムがちょっと笑えるぜ。この曲の歌詞、個人的には『グレンラガン』と同時期にやってたアニメ『地球(テラ)へ…』にぴったりじゃねー?と思ったりもする。『地球へ…』は原作しか読んだことないけどさ。「空色デイズ」聴いてると、ソルジャー・ブルーの遺志を胸に地球を目指すジョミーや、ミュウ根絶を目指すキースなど、強固な意志を持つ『地球へ…』の主人公たちを思い出しちゃうぜ(いつか『地球へ…』の記事も書かなきゃな)。
続く「恋の記憶」「snow tears」は、しっとりした失恋ソング。サビメロにかなりの既聴感が漂うのが気になるが、コスプレでもするかのように曲の主人公になりきるしょこたんの妙な歌唱スタイルでカバー。「恋の記憶」なんてかなり可愛いぞ。ブリッコ的な可愛いさではなく。「snow~」はポップス工房・エイベックスって感じー。良質なのは確かだがサラッと流れていっちゃう…。
「Brilliant Dream」を挟み、「フルーツポンチ」「ストロベリmelody」「pretty please chocolate on top」と、アイドル歌謡三連発。「フルーツポンチ」は80年代の少年向けラブコメアニメのエンディングテーマっぽいレトロなギターソロがイカす曲。「気まぐれオレンジロード」とか「THE かぼちゃワイン」とかその辺のアニメに合いそう。あと、これまた80's作品『TO-Y』って漫画に出てくる売れっ子アイドル・園子に歌わせたいなぁ。「pretty~」は戦隊モノと魔法少女アニメテイストが絡まりあったノリノリ曲。なんか凄くイキイキしてるぞ、しょこたん。
「calling location」「happily ever after」でロック二連発。あの……二曲とも「空色デイズ」と似過ぎ…(苦笑)。二番三番煎じ…。しょこたんにロックが意外とハマるのはわかるが、似たようなのがアルバム内に三つもあってもなぁ…という感じ。でも本人が「空色デイズ」と合わせて「ロック三部作」と呼んでるし、思い入れタップリなんでしょうね。「calling~」は曲名が良いね(なんだそれ)。「happily~」はBメロが飛び抜けて良いが、サビの歌詞「幸せはいつだって失ってはじめて幸せと気付く小さな不幸」というフレーズが「もーちょいどーにかならんかったかなー…」という感じ。伝えたいことはわかるけど説明的過ぎるなー。
「starry pink」は本人作詞のバラード。おそらくライブでファンの人達が振ってくれたピンク色のサイリウムの事を思いながら書いたのだろう…結構普通の歌詞。でもまぁ感動的だよね。歌手デビューの夢が叶って、渋公で…いや、CCレモンホールでライブ出来たんだもんね…。
ラストはスカシカシパン愛好家第一人者の山田吾郎が作詞作曲を手掛けた「スカシカシパンすこし変?」。ギター弾き語りの童謡風ネタソングだが、思わず声に出したくなる言葉遊び満載の歌詞と、「歌のおねえさん」になりきったしょこたんの歌が良い味出してます。「まぁ…よくないっ!」
と、まぁ、こんな感じの愉快なアルバム。流しとくと適当に元気もらえるよ。これからも彼女の歌手活動は続くみたいだけど、ここまで彼女の好きな世界観を表現しきった1stアルバム出しちゃったら、次は一体どうすんだろ、って気もする。