拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

国会王子

2008-05-21 18:16:41 | テレビ
「えっ?キムタクが総理大臣に?」なドラマ『CHANGE』。二話まで放送が終わったが、これ結構面白い。「キムタク総理が日本を変えるゾ」ってことでタイトルが「CHANGE」なのだろうが、普段のキムタクドラマとは何か違うのである。まぁ、相変わらずキムタクは何をやっても「キムタク」で、もはやそのスタイルのブレなさ加減は名人芸の域に達している気がする(?)。でもいつもとは何かが違うのだ。多くのキムタクドラマでの彼は、強気でリーダーシップあって大胆で…という、文字通り「HERO」なキャラばかり演じている。しかし今回は、どうもそうはいかない。
『CHANGE』で彼が演じるのは、大物国会議員である父親が事故で急死したことにより、補欠選挙の候補者として祭上げられ、なんだかんだで当選してしまった元小学校教師の新人議員・朝倉。父親の汚職疑惑をそばで見ていたこともあり、政治の世界とは距離を置き、父の後を継ぐことなく別の道を選んだのに、結局あれよあれよという間に議員になってしまう青年だ。見事に当選したものの、政治に疎い新人議員の朝倉は慣れない環境に戸惑い、人に言われるがまま、あたふたと仕事をこなしていく。「周囲に翻弄されるキムタク」、これはかなり新鮮だ。「ちょ、待てよっ!」なんて言わないよ。「ちょっと待ってくださいよ!」だよ。
あんまり強気じゃなく、翻弄されるキムタク。普段のキムタクドラマとは少しチェンジした顔を見せる今回の役柄は、1993年の大ヒットドラマ『あすなろ白書』で彼が演じた、黒ブチ眼鏡をかけ、男女5人組の中で一人余ってしまうという「第三の男」、取手君を思わせる。実際議員になる前の小学校教師時代はモサい黒ブチ眼鏡かけてて「取手君だー」と思ったさ。『あすなろ白書』でキムタクに「第三の男」的ポジションの役が与えられたのは画期的だったし、そんな贅沢なキャスティング(キムタクがフラれ役、なんて企画通らないよな、まず)をするドラマは『あすなろ』以降無かったわけだが、『CHANGE』は久々にその領域に足を踏み入れたドラマになるかもしれない。まぁ、この先総理大臣に選ばれて、仕事をこなすうちに垢抜けていつものかっこいいキムタクに戻るかもしれないけど…。
『CHANGE』は月9ドラマということで、頭のスイッチをオフにして気軽に楽しめる作品に仕上がっているが、第一話の選挙シーンを見てちょっとあれこれ考えてしまった。朝倉の父は福岡を拠点とする大物議員で、道路や病院を作って地元を潤し、大規模な後援会に支えられる有力者。そんな父に代わって出馬する息子は、政治に全く興味を持たないド素人。そんなド素人を、党本部や後援会の人々は「絶対に選挙に勝ちましょう!!」と持ち上げまくるのだ。うーん…テキトーだなぁ。また、演じてるのはキムタクなので、そのルックスを利用して女性人気の獲得を最優先したり、「元教員だから公約は教育関連で。しかし詳しく語る必要無し!おおざっぱに、大きな声で!」という姿勢で演説させたり、選挙戦略は力技。とりあえず選挙期間中に顔と名前をアピールしまくればOK。これが現実なんだよな。「ドラマだから誇張も混じってるでしょ」とかじゃなくて、これこそまさに「美しい国・日本」の民主主義の姿。くっだらないぜぃ。
第二話のラスト。衆議院総選挙を三ヶ月後に控え、支持率低下が止まらない党の悪いイメージを一掃させるため、当選早々「国会王子」として注目を集めるキムタク議員を総裁選に出馬させよう、という意見が、大物議員から飛び出す。あまりにも前代未聞過ぎる提案だが、「どうせ裏で牛耳るのは我々だし、とりあえず選挙までは外面だけでもよくしとこう」みたいな方針なのだろう。さてさて、これからどうなることやら…。