拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

『ミスト』-「だーめだこりゃ…」な世界

2008-05-27 07:44:32 | 映画
映画『ミスト』観て来た。…凄かったー。エンドロール終わっても、しばらく座席から立ち上がれなかったし、内容についても話す気になれなかった。「…とりあえず子役の男の子、可愛かったね」ぐらい…。宣伝されている通り「衝撃のラスト15分」。大体こういう宣伝文句って観る側に過剰な期待させちゃって「別に衝撃ってほどでも無かった」みたいな事態になるが、今回の場合、事前の煽りは制作側の親切心なんじゃないかとさえ思ったりした。「ラストシーンが凄い」って予備知識無しで見たら、しばらく立ち直れないかもなー…。ネタバレ厳禁。観た人同士ならばラストの賛否含めていっくらでも語り合えるような映画だけど、観てない人に向けては何も言えない、ブログのネタにするには危険な映画である。ミステリーものみたいに「犯人当て」の要素は無いからネタバレしてもそれなりに楽しめるんだろうけど……やっぱあの衝撃を味わってもらいたいよね。

以下簡単なあらすじを。暴風雨の翌日、息子を連れて車でスーパーに買い出しに行った主人公の男。普通に店内をウロウロしてたら、突然、顔から血を流した男がスーパーに駆け込んで来た。彼の話では、霧の中に、危険な何かが居る、と。だから霧の中には入るな、店の外には出るな、と。気付けば、周囲は謎の霧ですっぽり覆われていた………。

「謎の物体が街を襲う!」という内容は『クローバーフィールド/HAKAISHA』と似ている。しかし、事前にyoutubeにバラまかれた『クローバーフィールド』の断片映像のインパクトに比べると、映画自体のインパクトは実はたいしたことなかった。いや、実際凄い映像なんだけど、特に自由の女神の映像は、周囲で写メ撮ってる人々含めて妙にリアリティある映像なんだけど、初めてyoutubeで映像見た時の衝撃を超えてないのだ。完全なる出オチ映画というか…。舞台となったニューヨークに住んでる人とかは『クローバーフィールド』見ると、911のテロを思い出して怖くなるらしいけど、あの映画には貿易センタービルに飛行機が突っ込む映像より衝撃的なもんは映ってないよ。……あれ、何が言いたかったんだっけ。とにかくネタがかぶってるけど、『クローバーフィールド』と『ミスト』は違うぜ、と(当たり前だ)。
話題の『ミスト』ラストシーンは原作の小説とは異なるらしい。監督のフランク・ダラボンが原作者スティーヴン・キングに「こんなラストで撮ろうと思うんですが」と連絡し、キングが「うわ、そのラスト最高…」と悔しがったという。人によっては「思い付いたからって普通やるか!?」とダラボン監督を問い詰めたくもなるだろう。しかし衝撃のラストを除けば『ミスト』は極めてオーソドックスかつ良質なパニック映画で、ハラハラな展開やリアルに怖い人物描写は見応え抜群。ラストに納得がいかない人も、「映画自体つまんなかった!」と怒る人は少ないだろう。本当、超オススメ映画です。賛否両論あるけど、観たら一生忘れられない映画になること間違いなし。話題が広まり、最近になって客足が伸びてきてるみたいだが、ぜひDVDでなく、満員の映画館で観て欲しい一作。ただしR15なのでグロ苦手な人は注意かな。