拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

the bells have rung, the time has come

2007-01-30 22:14:44 | 音楽
冬になると毎年聴きまくってしまうHYDEのソロ1stアルバム『ROENTGEN』。深い深い幻想の底にある真っ白なベッドで目が覚めた、みたいな、ラルクとは正反対の静寂の世界が広がっている名盤で、このブログでも何度か、というか約一年前にも大プッシュした記事を書いたわけだが、その気持ちは発売当時の高1の冬から今も変わらない。というか一生変わらないだろう。どんなに年齢を重ねてもずっとずっと聴き続けてしまいそうな、人生で数枚しか出会えないような大事な作品だ。HYDEが去年出したアルバム『FAITH』も勿論素晴らしかったが、生涯末永く聴き続けられるのは『ROENTGEN』だろうなぁ。個人的な思い出も詰まりまくってるよ…。
さて、このアルバム『ROENTGEN』、実は似たような内容で3タイプリリースされている。まずは一番初めに発売されたオリジナル盤の『ROENTGEN』。そしてそれから数ヵ月後に発売された、歌詞が全英語詞となった海外盤(主にアジアでリリースされた)。そして収録曲、「THE CAPE OF STORMS」が映画『下弦の月』のテーマ曲に起用されたことを記念して発売された『ROENTGEN english』。これはタイトルに「english」が付いてるだけあって海外盤と内容は殆ど変わらない。ただ、収録されたシングル曲「EVER GREEN」「ANGEL'S TALE」「SHALLOW SLEEP」の別アレンジバージョンが追加収録されているのでちょっと、いやかなりお得だ。
このアルバムがあまりにも好きな私はオリジナル盤(初回版。パッケージが白い合皮の特殊デザイン)と海外盤を所有していて、『ROENTGEN english』はMDに入れている(レーベルゲートCDだから買う気にならなくて)。そしてその時の気分に合ったタイプを聴いている。今は『ROENTGEN english』に収録されてるシングル曲の別アレンジバージョンを何度も何度も聴きまくってる。このアレンジバージョンは元々シングルのカップリングとしてひっそり収められていたものだが、なんでこんなに素晴らしいのに地味なんだろう…!オリジナルよりさらにストリングスとピアノがフィーチャーされた「EVER GREEN」なんて涙無しには聴けないよ。病に臥し、死が間近に迫る自分を心配そうに、そして悲しそうに見つめてくれる恋人を想うような悲劇的な世界を持つ「EVER GREEN」だが、別アレンジ版の方が末期的な悲壮感が漂ってる。音にあんまり厚みがないからかな…。歌詞は英語なのに、オリジナルの日本語詞よりも情景が見えてくるんだよ。最後の最後のサビ部分、「the bells have rung, the time has come」の所なんてもう狙いすぎ…切なすぎ。「SHALLOW SLEEP」の別アレンジ版も良い。オリジナル版はエレキやベース、ドラムが導入され、基本的にアコースティックサウンドで彩られた、HYDEのソロ作品ながらもどこかラルクを彷彿とさせる『ROENTGE』ではやや異色の曲なのだが、別版ではとことんアコースティックなアレンジが成されている。ギターソロの代わりに間奏を埋めるバイオリンの音色が美しすぎる…こんなもんをラルクのボーカルがプロデュースしたなんて、絶対異常事態だ。
日本で売れてる数々の大物バンドのメンバーのソロ作品で、自身のバンドの音楽性やイメージとここまでかけ離れた作品をポーンと提示して、それがちゃんと売れたのってhydeとhideぐらいじゃないかねぇ(あ、河村隆一もか?でもカッコよくないもんなー)。当時「ソロでこんな感動的な名盤作っちゃって、もう彼にはラルクというバンドは必要じゃないんじゃ?」と、かなり心配したもんです。でも復活したってことは必要だったってことだよね。安心だ。


「EVER GREEN」
初めて見た時はさすがに怖かったねぇ。

「SHALLOW SLEEP」
後半のブリッジ部分(2分55秒あたりから)「I see you until I wake from shallow sleep」が大好きで何度も聴いてた。