拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

『竜馬におまかせ』の封印を解いてください…

2006-10-01 22:01:55 | テレビ
『竜馬におまかせ』というドラマをご存知だろうか。約10年前に日本テレビ系で放送された、タイトルでわかる通り幕末を舞台にした三谷幸喜脚本のドラマで、主人公・坂本竜馬をダウンタウンの浜ちゃんが演じたこの作品。急に物凄く観たくなってしまったのだがビデオ・DVD化はされておらず、お蔵入り状態となっているこのドラマ。これ、ノリがコントみたいでかなり面白かったのを覚えている。三谷氏は大河ドラマでも幕末を舞台にした『新撰組!』というのを手がけていたが、全編コメディータッチの『竜馬におまかせ』のほうがおもしろかったよなぁ…。いや、大河ドラマでこんな作風やるわけにはいかないのはわかってるけど。多くの三谷幸喜作品と同様、低視聴率だったこのドラマ(高かったのは『古畑』と『振り返れば奴がいる』と『王様のレストラン』ぐらい)。DVD化は難しいのだろうか。てゆーか忘れられてないか…?「傑作」とまでは言えないかもしれないけど面白いのにな。漫画や小説に原作を頼りっぱなしだったり、どこかで見たことのある設定ばかりの近年のドラマよりよっぽど素敵な心意気を感じるよ。余談だが、最近のドラマのプロデューサーは「少しでも面白い漫画・小説をみつけたら即企画を立てる」みたいな安易すぎる過程でドラマを作りすぎ?脚本家育てようよ…。
このドラマは一応舞台は幕末だが、先述のようにほぼ全編コメディー、歴史考証などはお構いなし。土佐弁を話すはずの竜馬が関西弁をバリバリ話すなど、幕末マニアが観たら怒りそうな展開を見せる。そのため深夜に「ほんとの『竜馬におまかせ』」という、「ドラマではこうだけど史実では…」とフォローする番組を放送していたらしい(これは見てない)。多分、時代考証とかは本当にどうでもよくて、「幕末」という熱いことしてもあんまりクサくない時代を借りて友情物語を作る、というのが三谷氏のテーマだったのだろう。竜馬達がバンドを組んだり、「マジカルバナナ」みたいなゲームで遊んだり、やりたい放題でドラマは進んだ。こういう思い切りのよいドラマをまた見てみたいものだ(クドカンあたりならやってくれそうな気もするけど…)。10年前に一度見たきりのドラマなので記憶がおぼろげだが、反町隆史演じる「人斬り」・岡田井蔵がコントラバスに凝る場面が結構印象的…。このドラマの反町、超かっこよかったなー。私的にはこの頃が全盛期(96年だが…)。あと、伊藤四郎が(演じてた役は忘れた)ピアノを製作するものの、どの鍵盤を弾いても「ド」の音しか出ない失敗作だったとか。うなだれて鍵盤にバーンと突っ伏すも、鳴るのは「ド」の音…普通こういう場面だと不協和音がけたたましく響くのに、綺麗な「ド」がポーンと響くだけ。最高だ。
町娘役でダウンタウン松ちゃん(!)が友情出演したり、14代将軍徳川家茂役が山崎邦正だったりと、とことんはっちゃけまくりのこのドラマ。なお、主人公が竜馬なので物語は彼の死で終了だが、「実は死んだふり・血に見えるのはケチャップ・生きていた竜馬は一人アメリカに渡った」という壮絶な後日談がドラマのラストに語られた。どうせなら竜馬を殺さず、そのままの勢いで大政奉還まで突っ走ってほしかったところ。
あ、何気に主題歌が名曲なこともふれておかなければ。浜ちゃんと小室哲哉によるユニットH jungle with tの『FRIENDSHIP』という曲である。これ、以前のH jungle with tでの曲とは比べられないほど真剣。「We will rock you」になんとなくサムライっぽい音をミックスさせた曲調や、坂本竜馬の生き様を思わせる歌詞が素敵。小室哲哉が作った曲ではダントツでこれが好きだ。「小室、ええ曲書くやんけー」と思った。つーか小室ファミリー全盛期、似たような曲が粗製乱造されていた頃に出た曲としては奇跡的なぐらい良作だと思う。CDも持ってる。H jungle with tの曲にしてはあまり売れず(つーか『WOW WOW TONIGHT』売れ過ぎ)、安室・華原・globeなどの小室ファミリーのエース達のピーク期に発売されたことも手伝って埋没してしまっている感のあるこの曲。ドラマ共々なんだか不憫。