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拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

悲しみに終わりは無い

2008-02-03 23:58:18 | 映画
先日このブログの「カテゴリー」をいじった。ていうか「L'Arc-en-Ciel」というカテゴリーを追加しただけだが。で、いじってて気づいたのだが、このブログ、一応「映画」というカテゴリー作ってあったんだね。忘れてた。ということで今日は久々に映画について。この前DVDで観た映画の感想でも書こう。一応ネタバレ無しです。

『ブラックブック』
2007年公開のオランダ映画。監督は『ロボコップ』『ショーガール』などで知られるポール・バーホーベン。『ショーガール』撮った人と同じとは思えないほど、重厚なドラマが描かれている。オランダでは映画賞を総なめしたとか。
舞台はナチス統治下のオランダ。ヒロインはオランダで身を潜めながら生きるユダヤ人女性。この設定から察しがつくと思うが、反吐が出そうなほど嫌~な人間が山ほど出てくる映画である。でもこの嫌~な人間はナチ側の人間ばかりではない。出てくるナチスの軍人たちは当然悪人だらけ。しかしドイツが降伏した後、ナチスを糾弾する市民もそれはそれは下劣で非情。戦前ナチスと関わったオランダ人を「売国奴」として晒し上げ、笑いながら糞尿をぶっかける有様はナチスに負けずとも劣らず。逆にナチスの中にもハト派が居たりする。色んな人間が居るんだからハト派が居て当たり前だけど、こういう人物にはスポットが当たらないよね、なかなか。作中最も悪人として描かれる奴も、任務から離れるとピアノが得意で陽気な人間だったり。「音楽好きに悪い人は居ない!」なんてバカな事言う人に対する、「ナチだって音楽が好きだったんだよ」という優しいツッコミである。
冒頭でナチスに家族を銃殺され、レジスタンスに身を投じるも誤解が元で仲間からも命を狙われ…とことん悲惨な目に遭い続ける、「さまよえるユダヤ人」を地で行くヒロイン。途中、ヒロインと知り合い、友人となるオランダ人女性が登場するのだが、この女性はヒロインとは対照的に、とても上手に立ち回る。ナチス統治下ではナチ軍人の愛人となり、全てがひっくり返った時にはカナダ軍の軍人に気に入られる。状況に流されるがまま軽薄に生きる友人は幸せを掴み、抗い続けるヒロインは激動の日々を送る。何とも皮肉なものである。 そう、皮肉。この映画は皮肉が効いた場面がてんこ盛りだ。件の糞尿シーンも友人女性の生き様と同様、「人間は強者/弱者という線引きがなされると途端に野蛮な人間に変貌してしまう、流されやすい存在だ」ということを訴えてくる。
物語は1956年、イスラエルに移住し、夫や子供とともに平穏な日々を送るヒロインが、激動の過去を振り返る、という形で始まる。しかしこのヒロインが幸せに暮らしてる1956年といえば、「スエズ危機」の直前。ユダヤ人であるヒロインに安息は訪れず、彼女はこの先も辛い運命を辿るであることが暗示されているのだ。ちなみにヒロインの友人はカナダ人と結婚して幸せに暮らしてます。うーん、切ない。
なんかこう書くと、凄く後味の悪い映画なんじゃないかと思われるが、二時間半という長さを忘れるぐらいスリリングだし、謎解きも面白いし、納得のいく決着も一応つく。観て損はないかと。ですよ。

「笑えばいいと思うよ」

2007-09-05 18:02:59 | 映画
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序』を見て来た。平日だというのに映画館「109シネマズ名古屋」は物凄い人の群れ!さすがエヴァ、人気は衰えを知らないねぇ。大学生らしき人ばっかだったな。高校生もちらほら(学校は?)。いかにも「ヲタク」な人は寧ろ少なかったよ。そういえば映画館に隣接するライブハウスで今夜、元エグザイルのボーカリストがライブやるみたいだ。駐車場にツアーの機材積んだトラックが停まってた。


で、肝心の映画だが…エヴァを全く観たこと無い人でも普通に楽しめるし、バッチリ観た人にはまた別の楽しみもある。そんな映画だった。やたらと評判や興行成績がいいのは当たり前だね。
やっぱ「序」だけあって、大まかな流れはテレビ版と変わってなかった。映画見てて思い出したのだが、私、エヴァの序盤、あんまり好きじゃなくて。もちろん今回の映画の目玉である「ヤシマ作戦」は好きだが、そこまで思い入れのある戦いでも無いし………いやいや、でも面白かったぜ、映画の「ヤシマ作戦」。特に綾波レイファンには堪らないんじゃないかな。テレビとは違い、大画面で彼女をじっくり堪能できるんだから。
ネタバレになるから絶対言えないけど、衝撃シーンがいくつか。ていうか冒頭にびびったのだが……あれは、ストレートに受け取っていいのかな?他にもテレビ版を思い出しつつ振り返って行くと、物凄い秘密が浮かび上がってきそうな予感がしてならない意味深な場面が大量に。特にゲンドウの発言はいちいち怪し過ぎる。どっかに今作での彼の発言集ないかな。
あと…これは多分ネタバレじゃないから書いてOKだと思うけど、渚カヲル出て来た(事前に散々「出る」って煽られてたから出るのは知ってた)。またよくわからん事を喋っていたが、彼の発言を分析すると……とにかく随所に気になるシーンとセリフがあったんだけど、やっぱり今回の劇場版って……まぁいいや。
あ、宇多田ヒカルによる主題歌は超ハマってた、映画に。びっくりした。凄いシンクロ率だった。あれで最後に「残酷な天使のテーゼ」とかが流れたら絶対台無しになってたと思う。

今作「序」を見て、その続編「破」をとにかく早く見たくなった。最後に予告が流れたが、ばっちり出てたぜ、アスカ・ラングレー。予告見た限りではテレビ版とガラッとストーリー変わるようでかなり期待。…うん、予告見てる時が一番ドキドキしたな(笑)。そしてどうやら新キャラも出るようで……。

『大日本人』観てきた

2007-06-11 18:20:54 | 映画
行って来たぜぇ、名古屋の新名所「ミッドランドスクエア」。そして5階の「ミッドランドスクエアシネマ」で松ちゃんの映画、『大日本人』を見てきたぜ。いやぁ、良いなぁ、ミッドランドスクエアシネマ。ロビーの居心地がとても良い。キャラメル味のポップコーンの匂いが充満してて癒される。座席は全席皮張りで妙にリッチ。座り心地も抜群。これならつまんない映画だったとしてもでも退屈せずに過ごせるね。音響も良いからハリウッド大作とか観たら大興奮できるんじゃなかろうか。次回映画観る時も絶対ここに来よう…。
で、『大日本人』。『パイレーツオブカリビアン』みたいな娯楽大作観る時と比べて、やっぱり嫌でも身構えてしまう。「松ちゃんの意図、何としてでも汲み取ってやる!」みたいに。あぁ、純粋に楽しめないや。「評論家でもないのになんで解釈すること前提に映画観てんだろう…」と、自分でも嫌になる。でも仕方ない。あの松本人志が撮った映画なのだから…。というわけで以下、感想文。ネタバレは無いけど「観るまで一切の情報を入れたくない」って人は気をつけて。

『大日本人』には所謂「シュールな笑い」なんてものは存在していないと思う。故に観た後で「あんまり笑えなかったな。私、松ちゃんのシュールな笑いが理解できなかった…」と思うのは多分勘違い。この映画で笑えなかったということは、「哀愁が漂わなければ笑いは宿らない」という、これまで松ちゃんが作り出して来た殆どの作品に共通するテーマが、自分の笑いの好みにそぐわなかったということだろう。主人公が住む枯れた住居、良かれと思ってやっているのに誰にも認めてもらえない空しさと苛立ち、思い通りにいかないやるせなさ、全編に漂う貧乏くささ。ここに笑いを見出せなければ「退屈な映画だった…」ということになってしまう。逆に、哀しさから生まれてくる笑いが大好きで、『ごっつ』の傑作コント「トカゲのおっさん」や、遠慮無しガチンココント作品集『VISUALBUM』収録の「ゲッタマン」で笑えた人ならば、『大日本人』もイケるだろう。急遽出品が決まったカンヌ映画祭ではなかなか好評だったそうだが、古今東西の映画を観まくってきたカンヌの人々にとって、初めて体験した「松本ワールド」は新鮮に映ったのだろう。沢山映画観てるからこそ素っ頓狂な世界観にもすんなり対応できたのかな?
それにしても、松ちゃん演じる映画の主人公、あれ…どう考えても松本人志本人じゃないか。彼の生き様そのものがあの主人公に投影されてる。何かアクション取るたびに賛否両論を巻き起こしてきた松ちゃん。お笑いファンから確かな称賛を浴びつつも、アンチ松本の心無い中傷とばかり向き合ってきた松ちゃん。お笑い番組が他のジャンルの番組と比べて常に軽く扱われることにいつも苛立ち、お笑いの地位の向上を夢みつつもどうにもならず、落胆する松ちゃん。デビュー以来、様々な形で日本のお笑い界に革新をもたらしてきた一方で、ダウンタウンに対して向けられてきた数々の否定的な意見たちがあの映画を作らせたとしか思えない。幼い頃から実家の貧乏ぶりをネタにしてクラスメイトの笑いを取るなど、ネガティブなものから笑いを生み出すことが原点である松ちゃん。それと同じ発想で作られた『大日本人』は、もう悲しすぎるぐらい「松本人志」そのものだ。

この先はネタバレ有り。



●この映画で一番笑ったのは、次々に登場する「獣」の造形かもしれない。どれもこれも秀逸すぎる。昔松ちゃんが、お菓子のおまけのフィギュアを作ってたのを思い出した。正直、映画監督としての才能よりも、異形の生き物を生み出す才能の方が際立っていたように思う…。

●名古屋が出てきて意表をつかれた!テレビ塔やオアシス21の傍での大日本人の激闘!最後、跳ルノ獣がビッグエコーとカラオケ館の間に挟まれてたが、あそこ通るたびに今後爆笑しそうだわ。

●松ちゃんはあらゆるインタビューで、「映画には『日本人もっと頑張れ』というメッセージを込めた」と語っている。その言葉通り、ラストは日本代表のヒーロー大佐藤がどうしても倒せなかった敵を、アメリカのヒーローたちがいとも簡単に倒してしまい、これまた大佐藤が空しさを感じるといった風に終わる。なるほど、「おいおい頑張れよ大日本人!」とエールの一つも送りたくなる。しかしアメリカのヒーローたちの姿形はどうみてもウルトラマンのパロディ。そしてウルトラマンといえば、日本が世界に誇る特撮のヒーローの一つ。どうみても日本の象徴。かのスピルバーグも、「日本の特撮がなければ『ジュラシック・パーク』はありえなかった」と語っているぐらいだ。それをアメリカの象徴に使うってどうなんだ?あれだと「今や日本文化は世界に広まってて、日本の影響を受けていないものなんて皆無だぜ」というようにも見える。あ、逆に、「日本文化がパクられまくりだぞ!頑張れ日本人!」ってことか?



『オトナ帝国』だけじゃなくってよ

2007-04-21 20:26:11 | 映画
2001年の春に公開されたクレヨンしんちゃんの劇場版第9作『オトナ帝国の逆襲』で一応子供向け映画にも関わらず1970年に開かれた大阪万博世代を号泣させた事がきっかけで、やっと「クレヨンしんちゃんの劇場版は凄い」という事が認知され始めた。往年のファンである私としては「長かったな、ちくしょう…」という思いが無いわけでも無いが、とりあえずその素晴らしさが幅広い世代に広がり始めたことは喜ばしいことである。その次の第10作『アッパレ戦国大合戦』では文化庁メディア芸術祭で大賞を獲ったり、公民の教科書に載ったりなど、近年ではアカデミックな香りさえ漂う「クレヨンしんちゃん」(ホント?)。93年から毎年制作されてきた映画は今年でなんと15作目。子供の頃から見てたものが、大人になっても続いてるってのは感慨深いにもほどがある。このブログでも数回にわたって「クレヨンしんちゃん」について書いてきたが、今回は本当に傑作ぞろいな劇場版の中から、「しんちゃんビギナー」に向けてオススメ映画を選りすぐり、それについてちょこちょこと書いてみようと思う。もちろんネタバレなし。
93年に公開された記念すべき第一作目『アクション仮面VSハイグレ魔王』以来、毎年公開されている劇場版しんちゃん。今年公開された映画『クレヨンしんちゃん 歌うケツだけ爆弾』で15作目。この最新作は未見なのでコメントできないため記事に書けるのはこれ以前まで。その中から自信を持ってオススメできる傑作を独断と偏見と少しの客観性で選ぶとするならば、98年『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』、99年『クレしんパラダイス!メイドイン埼玉』、2001年『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』、2002年『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』この4つ。
『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』はしんちゃんの落書きから生まれた救いのヒーロー豚・「ぶりぶりざえもん」が大フィーチャーされた映画である。下品で女好きなぶりぶりざえもんはしんちゃんそっくりでまるで彼の分身。そんなぶりぶりざえもんを巡って悪の組織と対決すストーリー。スパイ映画の要素満載で、派手なアクションを好む人におすすめ。ギャグのシーンも他と比べてレベルが高め。っていうかギャグだけなら一番面白いはず。笑いありスリルありちょっと切なさありの一大娯楽映画である。ちなみのこの映画では、漫画の原作者・臼井義人さんのホンモノの歌声が聴けるのも見所。あと、懐かしのヴィジュアル系バンド、シャズナのボーカル・イザムがゲスト出演している。何気にここも見所…か?
『クレしんパラダイス!メイドイン埼玉』は99年公開の映画『爆発!温泉わくわく大決戦』と同時公開された10分ほどのショートストーリーである。10分という短い時間にたたみかけられる濃密なギャグ世界、つい入り込んでしまうこと必至。「ふしぎの国のアリス」のパロディーはしんちゃんとその友達であるかすかべ防衛隊の魅力を余すことなく見せている。youtubeで観れるはず。
『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』は世間で一番認知されているであろう傑作。評判が評判を呼び、普段しんちゃんどころかアニメを一切見ない人にも届いた記念碑的作品なのでオススメしないわけにはいかないだろう。最高傑作に挙げる人も多い。とにかく泣ける。私も劇場で、家で、大粒の涙をこぼした。毎度同じシーンで泣いてしまうのだ。しかし、「これはしんちゃんの映画ですよ。子供に向けた映画なんですよ!」というサインが随所に入っていて、はっとしてしまう。たとえばカーチェイスの場面とか。このサインが無く、一大感動巨編のままラストまで突っ走ってしまっていたらこの映画の世界から出て来れなくなってしまう人、多数だろうな。おもいっきり笑って、胸が一杯になるほど感動してみたい人におすすめ。くれぐれも「クレヨンしんちゃん」だということを忘れずに。
『嵐を呼ぶアッパレ! 戦国大合戦』は私が劇場で見た最後の映画。この作品で劇場版作品の底力を見た気がする。とにかく戦国時代の合戦のシーンがリアル。細部まで詳しく合戦時の様子が描かれている。「あぁ、こういう手順で戦争してたのかぁ」と思わず学習。戦国時代の武士の暮らしなどもきっちり描写されていて、「クレヨンしんちゃん」だということを忘れさせられる。背景画がリアルすぎて、ふとしたきっかけで戦国時代にタイムスリップしてしまったしんちゃんが合成に見える時も。しんちゃん置き去り気味で進む恋愛模様があるせいか、一部のファンからは「あまりにも『しんちゃん』の世界からかけ離れている」と言われたりしている異色作。その意味ではルパン三世シリーズでいう『カリオストロの城』といえる(そこまで極端に変貌してはいないけど)。戦国時代や武士道、又はラブストーリーが好きな人におすすめ。

きっかけは…

2007-04-16 14:20:24 | 映画
毎年沢山の邦画が制作され、ハリウッド大作にも負けない観客動員をするようになって久しい。「泣ける小説」としてヒットした作品はもれなく映画化されてきたし、大ヒット漫画も沢山実写化された。人気ドラマの映画化も当たり前のようにバンバン作られるようになった。毎日何かしらの映画の試写会や制作発表などのニュースが新聞やワイドショーを賑わせている。こんな状況、少し前の邦画界では本当に考えられなかった。少し前…大体2000年以前だろうか。勿論その頃にだって面白い映画は作られていたが、少なくとも大ヒットするのは宮崎駿アニメぐらいだったと思う。普通の人は「わざわざ映画館まで行ってなんで邦画なんか見に行くの?」ぐらいのノリだった。そういえば「世界のキタノ」は「たった公開一日目で『座頭市』の動員が『ソナチネ』を超えた」と笑ってた。
そんな状況を変えた作品、熱心な映画好きだけでなく一般の人々にも「邦画も良いのあるじゃん」と思わせたきっかけとなった作品。『踊る大捜査線THE MOVIE』『ウォーターボーイズ』『GO』がそれにあたると私は思う。
織田裕二以下、ドラマ版に出演した俳優達を勢揃いさせ、フジテレビの優秀なスタッフと莫大な予算を投入して気合いを入れて丁寧に作られた娯楽作品。ドラマの華やかさを一切損なわずに作られた文句無しのエンターテイメント。人気ドラマ『踊る大捜査線』の映画化は、深刻な地盤沈下が進んでいて何らかの変化を必要としていた当時の邦画界をとりあえず救った。地味な邦画界にドラマの華やかさが持ち込まれた。しかしテレビ局主導で様々な人気ドラマの映画化が粗製乱造され、その多くが駄作だったことは否めないが。ちなみに映画版『踊る~』の第二弾は駄作であった(と私は思う…)。
ブレイク直前の妻夫木聡を起用した『ウォーターボーイズ』は、「男のシンクロ」というどう考えてもおかしいスポーツを扱いながらも青春コメデイの「お約束」を徹底的になぞった、直球なのか変化球なのかわからない斬新過ぎる作品。「男のシンクロってこんなに笑えるものなのか。金かけなくても、アイデア次第で良いものはいくらでも作れるんだ」と感心させられた。また、妻夫木目当ての女の子がこぞって映画館につめかけたりもした。
窪塚洋介の代表作『GO』は青春映画の王道にして傑作だろう。行定勲監督のスマートな演出、原作のテイストを全く損なわずに自分の色を盛り込んだ宮藤官九郎のキレた脚本(「それ(朝鮮語)じゃあイマイチお宝な感じが出ねぇから、『”お宝ガールズ”買って来い』って日本語で言ったんすよ!」)、そしてただ道を全力疾走するだけで絵になるという特異な存在感を持つ窪塚洋介。これらの眩しすぎる要素が集まってできた奇跡のような映画。共演の柴咲コウも、注目された『バトルロワイヤル』とは全く違った魅力を発揮し実力を見せ付けた。この映画と『ウォーターボーイズ』がきっかけで、若手俳優が人気を得るためにはドラマよりも映画での活躍が必須条件になった感がある。故に邦画に注目が集まったんじゃないだろうか。
以上、近年の邦画の盛り上がりのきっかけを強引に分析してみた。悲しいのは、誰がどう見ても邦画界の重要人物であり、誰よりも将来が楽しみだった窪塚洋介が失速しちゃったこと、だね。『池袋ウエストゲートパーク』から『ピンポン』までの彼は本当に、もうまるで裸電球のように眩しかった…。
 

「時には味方、時には敵。恋人だったこともあったかな?」

2006-11-21 19:29:00 | 映画
今日の記事は今年の3月ごろに書いたもの。いくらなんでも放置しすぎなのでこの辺で投稿することにする。

数年ぶりに『ルパン三世 カリオストロの城』を見た。宮崎駿監督作品及びジブリ作品に疎く、『となりのトトロ』さえまともに見たことの無い私だが、ルパン三世は大好きなので『カリオストロ』は何度も見ている。初めから終わりまで一切弛まず颯爽と走って行くストーリー展開には突っ込み所がまるで無く、ラストの有名な銭形のセリフには何度もじーんとさせられる、正真正銘の名作映画。アニメの技術的にも、「アニメで一番表現するのが難しい」と言われている「水の描写」を見事に描いていて、とても30年近く前に作られた作品とは思えない。金曜ロードショーで再放送されるたびに新しいファンをつけてこの先もどんどん人気が拡がるであろう、日本映画界の宝。
しかし、よく言われているのが「あれは真のルパンじゃない」という指摘。原作の漫画及びハードボイルドな作風の初期のアニメのルパンを好む人にとって宮崎駿が生んだ『カリオストロ』のルパンは優しすぎる、と。原作のルパンだったらクラリスの額にキスするだけじゃ済まないぞ、と。祖父であるところの怪盗・アルセーヌ・ルパンとは違い、決して義賊ではなく、自らの欲望のままに行動し、お宝を手に入れたり女に手を出したりするのが原作のルパン。原作者モンキー・パンチ氏も、『カリオストロの城』の魅力を存分に評価しながらも、この作品のおかげで自分の「ルパン三世」を描きにくくなった、という旨の発言をしている。作品自体の完成度とは別の次元で『カリオストロ』は賛否両論のようだ。
アニメの『ルパン三世』は三期に分けられて放映された。第一期のハードな作風のルパンは青色のジャケットを着ているが、第二期、三期のアニメでは赤のジャケットを着ている。多分世間に浸透しているのは赤ジャケを着た新しめのルパンだろう。私も初めて見たのは赤ジャケのルパンだ。夏休みなどに再放送されたアニメや、年に一度制作される二時間スペシャル版に登場する赤ジャケのルパン。それらを見てルパンのファンになったのだ。そんな私が第一期の青ジャケのルパンを見たのはほんの数年前。WOWOWで深夜に放映されていたものだった。
『ルパン三世』は青年誌「アクション」に連載されていた大人向けの漫画なので、アニメ化の際にも原作を踏襲したハードなものになった。このアニメを見たモンキー・パンチ氏は「今までに見たことのないようなアニメ」と絶賛したが、視聴率が芳しくなかったため子供向けに作風をシフトチェンジした挙句、結局は打ち切りに。この第一期をWOWOWで見た時、かなり驚いた。まず主題歌がめちゃめちゃ渋い男の声で歌われてるし、ルパンはワルな匂いがプンプンしてるし、銭形がかなり優秀だし、五ェ門は初めはルパンたちの敵だし、不二子はスケベな拷問を受けてたりと終始アダルトだし、そんな世界に次元は当然ハマりまくってるしで、とにかくそれまで持っていたルパンのイメージとは違ったのだ。でもこういう渋くアダルトな世界観がルパンには一番合ってるのかなーなんて思ったりして。この第一期ルパンの人気に火がついたのは再放送された時だったそうだ。その人気を受けて、ハードボイルド色が陰を潜め、家族みんなで楽しめるようなコミカルな第二期シリーズが制作され、さらにブレイク。ルパンは国民的アニメに成長した。
『カリオストロの城』はそんな第二期放映中に公開された映画だ。赤ジャケを着たルパンが定着した時期の作品であるにもかかわらず、『カリオストロ』でのルパンは青ジャケを着ている。その理由は監督の宮崎駿が、コミカルな第二期よりも大人向けの第一期の作風を好んでいたためである。思い返してみれば、『カリオストロ』でのルパンは原作とはかけ離れた優しさをもっていながらも、特にコミカルな演出がされていたわけではない。酸いも甘いも味わいつくしたような渋さを漂わせている。過去にカリオストロ城に侵入した頃のことを「とにかく名を上げようとバカやってた」と回想してたり、不二子との掛け合いがどこかクールだったり(「ふ~じこちゃ~ん!」が殆ど出てこない)。やんちゃな時期をとっくに過ぎた、おじさまルパンなのだ、カリオストロのルパンは。カリオストロ城に隠されていたお宝は、これまでルパンが関わってきたどんな宝物よりもスケールも価値も高かったはずだし、時系列的に『カリオストロ』が全てのルパンシリーズのラストに位置すると考えた方が無難だしおもしろい。
『カリオストロの城』、とにかく大好きな映画だが、峰不二子好きの自分としてはドライなルパンと不二子の関係がちょっと寂しかったりする。ここでの不二子はルパンを迷わす魔性の女ではなく、ルパン、そしてクラリスを助ける優しいお姉さん、という感じの扱い。いや、この話の中で不二子がルパンを誘惑してたらクラリスの立場が無くなるから仕方が無いといえばそうなのだが、不二子ファンには物足りない。「原作よりも優しいルパン」より「善人不二子」の方が個人的には大問題だ。本当の本当のラスト、「ルパン見て、あたしの獲物!」と不二子がルパンに声を掛けるシーンがあるのが救いだ…。 


その、ようかんの食べ方に惚れました

2006-11-18 22:31:35 | 映画
映画『DEATH NOTE the Last name』を見てきた。この秋はたまたま「要チェックや!」な映画が短期間に重なっている。今月に入ってからもう二本。映画好きなら当たり前かもしれない本数だが、あまり映画館にまで足を運ばない私にとっては結構多い。映画館に足を運ばないので今回は劇場を間違えるというバカなミスを犯してしまい、遅刻しそうだった。いやぁ、名古屋駅前の映画館「ピカデリー」微妙に複雑じゃない?わかる人にはわかるだろうが、「ピカデリー」は6つの劇場から成る小規模のシネコンみたいなものなのだが、その6つが一カ所にまとまっていないのだ。二つのビルにわかれて所在しているのだ。ピカデリー1・2が豊田ビルにあって、3~6が三井ビルにある。事前にチェックしておかないと違う方に行ってしまうという事態に。そして私も連れも未チェックだったので間違えて豊田ビル行っちゃったよ、前編が豊田だったから…事前にチェックしろって話だよな。まぁ、春には10個ぐらいの映画館が一カ所にまとまってるシネコンが名駅にもできるらしいのでもう迷うことはないね。…なんだか前置きが長くなってしまったな。
以下、ネタバレ有りで感想を書くので見てない方は読まないように。原作を読んでない人も読まないように。



今回の映画の上映時間は140分。日本一文字量と情報量の多い少年漫画を、なんとかこの分数にまとめた作品だけあって、展開はスピーディー。「えぇぇ!そんなスーパー推理アリですか!??」と突っ込みたくなる箇所は前編よりもさらに増えたように感じたが、そんなにいちいちじっくり推理していたら一本の映画に収まらないしテンポも悪くなるからしょうがないのかなぁ…と思ったりもしたが、やっぱりちょっと違和感が。原作と比べて、というのは置いておくとして、原作を読んでいない人にとっても、第2・第3のキラに辿りつくまでの展開は「強引すぎる」と感じたのでは?特に第3のキラ。「ジェンダー関連の犯罪者を裁いた件数が多いからキラは女性」という推理はいかがなものか。フェミ男かもしれないじゃないか!つーかジェンダー絡みの犯罪って…婦女暴行とか痴漢とか?うーん…。そして「さくらTVで報道された犯罪者が多いからさくらTV関係者」って…もう突っ込みどころが多すぎる推理だぞ月!…でもあのタイミングで高田アナにたどり着かなきゃ話が転がらないのでしょうがないが…やっぱ推理ヌルいよー。
とはいえ見所もたくさん。注目はなんといっても主人公・月を演じる藤原竜也の怪演だろう。デスノートを使用することによってどんどん人の心を失っていく月。彼が「キラは正義であり、世界を平和にするために絶対に必要な存在」という持論をLや警察関係者の前で展開するシーンを見て、「若手でこの役やれるの藤原しかいない…」と再々々々確認した。完全に舞台仕様の演技になってたなぁ、あの部分。なんだあのスクリーンを占拠した、狂気が服を着たような男は。リュークによってデスノートに名前を書かれ、心臓を押さえ、涙しながら悶絶するシーンは、絶句。名演技でしたね…。舞台を中心に活躍する俳優がたまにTVドラマに出ると、「芸達者すぎて浮く」という場面に遭遇するが、今回の藤原竜也にもそういう雰囲気をなんとなく感じた。
Lも頑張っていた。前編ではドーナツやケーキなど、洋菓子を中心に食していた彼だが、今回は和菓子中心。団子や餅やようかんを…ようかん…ようかんのシーン最高だったねー。あれ、もしかしてういろうだったかも?まぁいいか。言葉を区切る位置が変すぎる独特の口調も奇妙さを増し、さらにLらしくなった感じ。それだけに自ら死を選ぶラストは悲しかった。デスノートによって所有者・キラの意のままに自分の生死を操られない方法。それは自ら前もってデスノートに名前を書いておき、死亡日時も添えておくこと。デスノートでは死亡する日時も、23日以内ならば操ることができる。それを利用し自らの名前をノートに書き、キラの都合によって殺されることを阻止したL。自分がキラによってデスノートに名前を書かれることを前提にしての、文字通り捨て身の作戦で、Lは月に勝利した。…やっぱり人情を持つ死神・レムが地上に降り立った以上、そしてミサがキラである以上、Lの死はどうやっても避けて通ることができない、ということだな。どんなに策を張り巡らせてミサを追い詰めたとしても、彼女に危機が及べば無条件でLは殺される。レムはL側にとって驚異の反則キャラだった。あーでも殺されるのと自ら死を選ぶのとはやっぱわけが違うよ。合掌。予想外の展開だったが寂しかったですよー。 


ぶっさんに「ばいばい」してきた

2006-11-07 18:15:52 | 映画
先日「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」を見て来た。ドラマ版「木更津~」をリアルタイムで細々と追いかけ、大部分を脳内再生できる程繰り返し鑑賞しまくった「木更津マニア」を自認する私としては今年一番の大注目作品。今回シリーズ完結作となるこの作品を見るにあたって、とにかく事前の予備知識を入れないように気をつけた。木更津キャッツのメンバーが表紙の雑誌や、映画の特集等はスルー。彼らが出演したテレビ番組は録画だけしてまだ見ていない。とにかく真っさらな状態でこの完結篇を見たかったので。それでもこの映画の評判はいろんな所から伝わってきたけどね。興行収入が週間一位だったんだって?あの「木更津」が…。大きくなったねえ…。
ドラマ版が放送されていたのは2002年の1月~3月の金曜10時。「池袋ウエストゲートパーク」でキレキレの脚本を書いた宮藤官九郎の最新作ということでかなりワクワクしながら放送日を待ち焦がれ、実際に第一回の放送を見て「すんごいドラマに出会ってしまった!」と一人大騒ぎ。そして翌日学校に行き(あの頃はまだ土曜日も学校があったのだ)「木更津~」の話題を友人に振るが、見た人は皆無。そこで初めて「このドラマあんまり人気出ないのかも…」と不安になったのだった。実際視聴率も芳しくなかったようでスタッフ一同落胆したとか。思えば第一回を見た人ってクドカンマニアと、主演のV6岡田&嵐の桜井目当てのジャニーズファンぐらいのもんかも知れないねぇ…。
このドラマの人気に火が点いたのは結局放送終了後。レンタルビデオ&DVDや深夜の再放送によって口コミで広まっていったんだけども、なんで本放送で広まらなかったのか私には本当にわからなかった。異様に立ちまくったキャラ設定、ふざけてるようで巧妙に練られたストーリー、面白すぎて一言も聞き逃せない会話、地味に豪華なゲスト陣、木更津という「なんにもない」地方都市が放つ哀愁…このドラマが放ったあらゆる要素にことごとく魅了されたなぁ…。もう5年近く前の作品ですね。現在小6の子が小1だった頃の作品。これだけの期間、ずっと長持ちするコメディーも珍しい。
で、映画。出来るだけ情報を仕入れずにいたのでゲスト俳優が誰かもチェックしなかったが、大正解だった。彼らが登場するたびに驚き&爆笑でしたよ…。映画自体も、かなり面白かった3年前の前作「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」よりさらに素晴らしい出来で、シリーズラストを飾るのに文句なしの仕上がり。あんなの見せられたらもう…笑い転げるしかねーよ!!つーか開始早々笑い死にしそうだったよ!ネタバレ厳禁だと思うので今日の記事には詳しく書かないが……笑い所は「全部」 としか言いようがない。個人的にはぐっさん&阿部サダヲの芸達者コンビと、バカさにさらに磨きがかかったアニに心を躍らされた~。ファンなら大満足。ゆえにドラマ及び映画第一作をしっかり見てない人はちょっと辛いかも?うん。そんな人のためにサラっと「木更津~」の歴史をおさらいできる「ナビゲートDVD」が発売されているが、全部見るに超したことはないよね。
この映画を一緒に見に行ったのは、「木更津~」をきかっけに仲良くなった奴である。放送当時、クラスで私以外に唯一あのドラマにはまっていた奴。仲良くなるのは必然だった。「~日本シリーズ」も一緒に見に行ったなぁ。映画を観た後、ファミレスで散々語ってしまった。だっておもしろすぎたんだもーん。コアな「木更津~」ファンと一緒に行かないと絶対物足りないだろうな、観終わった後。「私(俺)も映画観てきたぜ!」という方はぜひコメント欄にてご一報ください。
    


「10年振りだな」「ああ。映画だ」―『新世紀エヴァンゲリオン』、新作公開決定!

2006-09-09 13:37:10 | 映画
だそうです。5月ごろにそんな噂をどこかでチラっと耳にしたが、マジだったようですね。
エヴァンゲリオン新劇場版の公開スケジュール(予定)
前編 REBUILD OF EVANGELION:01 平成19年初夏 90分
中編 REBUILD OF EVANGELION:02 平成20年陽春 90分
後編+完結編 REBUILD OF EVANGELION:03、04 平成20年初夏 45分×2 

前・中・後編はテレビシリーズの24話までを中心に、登場人物の設定、背景などを3分の1以上変え、新作カットを付け足して大幅リニューアル。完結編は完全なオリジナル版となるらしい。監督の庵野氏は、「難解な用語・キーワードを散りばめて謎を残しまくるような作りにはしない」と公言しているらしいのでもう全く別物になるのではないだろうか。つまり「人類補完計画」の如く、難解な『エヴァ』シリーズをわかりやすく補完する、という…。そうか、この映画シリーズを用意していたからこそ今になってYahoo!で特集組まれたり「月刊エヴァンゲリオンクロニクル」なる雑誌が創刊されたりしてたのねー。Yahoo!の特集がきっかけでエヴァを全話見たような私のような人間を取り込むために…踊らされてたぜ!でも結構面白かったから文句はないが。多分この映画も観るのだろう。新たなる碇ゲンドウを見るためだけに。あったりまえじゃないか。絶対ないと思うけど、私はゲンドウが主役の『ゲンドウ戦記』状態のエヴァ新作を期待する…。
リアルタイムでエヴァにはまってた人にはこの新作情報はどのように受け止められたのだろうか。もちろん歓迎の声もあるだろうが、「今まで散々エヴァに金つぎ込んだのに、またさらにつぎ込むことになるなんて…!」と絶句している人も多いかもしれないな。グッズとか大量に出るんでしょ、また。「やっとエヴァ熱が冷めてきたと思ったらまた…自分は生涯エヴァから逃れられないのか…」と自分の運命を呪うエヴァマニアの人達もいるだろう。あ、「もう釣られない!」と固く誓って完全スルーしようとする人もいるよな。エヴァンゲリオンは世界規模で人気が広がった巨大産業である。新作公開のニュースも世界で騒ぎを巻き起こしたりするのだろうか。見物だ。
とりあえずついさっき何気なくYahoo!見てたら見つけた情報なもので、そしてあと15分で外出しなければならない時刻になるので、文章がめっちゃくちゃ乱れている。時間が無いけど、今までブログで何度もネタにしてきた作品に関するビッグニュースだからどうしても書きたかったんだよ~。画像はアスカ・ラングレー。このリニューアル新作では、終始元気な姿を見せていて欲しいものである。劇場版見ながら「なぜアスカばっかりこんな目に…」と何度も思ったものです。

嘘にこそ、真実がある―実写版『DEATH NOTE』について

2006-07-18 21:45:24 | 映画
今日は先々週観た映画『DEATH NOTE』について思ったことでも書こうか。微妙にネタバレあります。

名前を書くことで、書かれた人間を殺すことができる殺人道具「デスノート」を拾った名門大学の法学部に通う大学生・夜神月(ヤガミライト)。凶悪犯罪が続発する一方で、事件の未解決・犯罪者の不起訴処分が増加するという現実にうんざりし、法による正義に限界を感じていた彼は、「デスノート」を使って自らの手で犯罪者をどんどん裁き、犯罪の無い平和な世界を作ることを決意するが…
原作では天才高校生という設定だった月が、映画化にあたって法学部の大学生にチェンジされている。物語をわかりやすく運ぶために、「法律に限界を感じてデスノートを使った」という要素がプラスされているのだ。この設定変更の他にも原作とは違う部分は多々あるので、「原作と比べて映画ではこうだから映画はつまんない!」という指摘は野暮だろう。映画と漫画は別モノとして考えるべきだ。あの情報量の多すぎる原作をそのまま映画にしたら、原作未読の観客が混乱するのはだれでもわかるし。…あまりにも何にも考えずに、ポカーンとしててもわかる映画もどうかと思うけどね。
まぁ、別モノと言ってもデスノートの使い方のルールは全く同じだし、月の起こした「犯罪者大量殺人事件」を追う天才探偵・Lの不健康そうなルックスや異常な甘党ぶりなど、『DEATH NOTE』のを形成する「核」のようなものはそのままなので、原作ファンへの配慮みたいなのはひしひしと感じられるが。というか「核」さえ原作どおりならあとは何をやったってよさそうな気もする。映画は第一弾と第二弾に分けて公開ということで、原作を読んだ人にとっては「え、こんなところで終わりっすか!?」という場面で「つづく」になってしまう。既に完結した漫画とはいえ、映画版を観て原作も読み終えた人ならば、映画版が原作と同じように展開してラストを迎えるとは考え難いと思うだろう。原作は全12巻なのに対して映画第一弾は原作3巻分程度しか進んでいないのだ。こうなったら第二弾は原作とは一味も二味も違ったものを見せて欲しいものだ。大丈夫、実写版Lが異常に糖分を摂取し続けるかぎり、そしてリュークがリンゴを食べ続ける限り、たとえ原作とは展開が違っても満足してもらえるものができるはずだ(本当か?)。…よっぽどしょぼくしない限りね。
キャストについては特に不満も無い。あのダークな役を真正面から演じきれる若手は藤原竜也ぐらいしか思いつかないし、Lも結構いい。そういえばL役の松山ケンイチは漱石先生の名作・『夢十夜』実写版の第十夜に主演するらしいぞ。おぉ~…。ミサは見た目は可愛かったけど声がちょっと低すぎ?と思ったな。彼女はもっとキンキン声でもいいような。そういえば、原作で二番目にデスノートの被害者となる男ということで、チョイ役ながらも原作ファンには知名度の高いシブタクこと渋井丸拓男を演じてたのが劇団大人計画の顔田顔彦さんだったのにはびびったな。原作ではあっさり殺られるシブタクだが、映画では結構見せ場あって驚き。映画でのシブタクは月にデスノートでの殺人を遂行させるための重要キャラに昇格していた。おめでとう。同じ劇団大人計画メンバーでは、バスジャック犯役で皆川猿時も出てたな。
あ、最後に。先ほど「原作と映画は別モノとして考えるべき」と書いてしまったが、「さよならレイ・ペンバー」とか「キラだから」は言って欲しかったなぁ、映画版の月にも…。で、第二弾ではニタ~っと笑みを浮かべながらの「計画通り!!」を言って欲しいなぁ…。

※画像は『DEATH NOTE』9巻の表紙。この表紙の絵が一番好きだ。ブルーで綺麗。


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