先日このブログの「カテゴリー」をいじった。ていうか「L'Arc-en-Ciel」というカテゴリーを追加しただけだが。で、いじってて気づいたのだが、このブログ、一応「映画」というカテゴリー作ってあったんだね。忘れてた。ということで今日は久々に映画について。この前DVDで観た映画の感想でも書こう。一応ネタバレ無しです。
『ブラックブック』
2007年公開のオランダ映画。監督は『ロボコップ』『ショーガール』などで知られるポール・バーホーベン。『ショーガール』撮った人と同じとは思えないほど、重厚なドラマが描かれている。オランダでは映画賞を総なめしたとか。
舞台はナチス統治下のオランダ。ヒロインはオランダで身を潜めながら生きるユダヤ人女性。この設定から察しがつくと思うが、反吐が出そうなほど嫌~な人間が山ほど出てくる映画である。でもこの嫌~な人間はナチ側の人間ばかりではない。出てくるナチスの軍人たちは当然悪人だらけ。しかしドイツが降伏した後、ナチスを糾弾する市民もそれはそれは下劣で非情。戦前ナチスと関わったオランダ人を「売国奴」として晒し上げ、笑いながら糞尿をぶっかける有様はナチスに負けずとも劣らず。逆にナチスの中にもハト派が居たりする。色んな人間が居るんだからハト派が居て当たり前だけど、こういう人物にはスポットが当たらないよね、なかなか。作中最も悪人として描かれる奴も、任務から離れるとピアノが得意で陽気な人間だったり。「音楽好きに悪い人は居ない!」なんてバカな事言う人に対する、「ナチだって音楽が好きだったんだよ」という優しいツッコミである。
冒頭でナチスに家族を銃殺され、レジスタンスに身を投じるも誤解が元で仲間からも命を狙われ…とことん悲惨な目に遭い続ける、「さまよえるユダヤ人」を地で行くヒロイン。途中、ヒロインと知り合い、友人となるオランダ人女性が登場するのだが、この女性はヒロインとは対照的に、とても上手に立ち回る。ナチス統治下ではナチ軍人の愛人となり、全てがひっくり返った時にはカナダ軍の軍人に気に入られる。状況に流されるがまま軽薄に生きる友人は幸せを掴み、抗い続けるヒロインは激動の日々を送る。何とも皮肉なものである。 そう、皮肉。この映画は皮肉が効いた場面がてんこ盛りだ。件の糞尿シーンも友人女性の生き様と同様、「人間は強者/弱者という線引きがなされると途端に野蛮な人間に変貌してしまう、流されやすい存在だ」ということを訴えてくる。
物語は1956年、イスラエルに移住し、夫や子供とともに平穏な日々を送るヒロインが、激動の過去を振り返る、という形で始まる。しかしこのヒロインが幸せに暮らしてる1956年といえば、「スエズ危機」の直前。ユダヤ人であるヒロインに安息は訪れず、彼女はこの先も辛い運命を辿るであることが暗示されているのだ。ちなみにヒロインの友人はカナダ人と結婚して幸せに暮らしてます。うーん、切ない。
なんかこう書くと、凄く後味の悪い映画なんじゃないかと思われるが、二時間半という長さを忘れるぐらいスリリングだし、謎解きも面白いし、納得のいく決着も一応つく。観て損はないかと。ですよ。
『ブラックブック』
2007年公開のオランダ映画。監督は『ロボコップ』『ショーガール』などで知られるポール・バーホーベン。『ショーガール』撮った人と同じとは思えないほど、重厚なドラマが描かれている。オランダでは映画賞を総なめしたとか。
舞台はナチス統治下のオランダ。ヒロインはオランダで身を潜めながら生きるユダヤ人女性。この設定から察しがつくと思うが、反吐が出そうなほど嫌~な人間が山ほど出てくる映画である。でもこの嫌~な人間はナチ側の人間ばかりではない。出てくるナチスの軍人たちは当然悪人だらけ。しかしドイツが降伏した後、ナチスを糾弾する市民もそれはそれは下劣で非情。戦前ナチスと関わったオランダ人を「売国奴」として晒し上げ、笑いながら糞尿をぶっかける有様はナチスに負けずとも劣らず。逆にナチスの中にもハト派が居たりする。色んな人間が居るんだからハト派が居て当たり前だけど、こういう人物にはスポットが当たらないよね、なかなか。作中最も悪人として描かれる奴も、任務から離れるとピアノが得意で陽気な人間だったり。「音楽好きに悪い人は居ない!」なんてバカな事言う人に対する、「ナチだって音楽が好きだったんだよ」という優しいツッコミである。
冒頭でナチスに家族を銃殺され、レジスタンスに身を投じるも誤解が元で仲間からも命を狙われ…とことん悲惨な目に遭い続ける、「さまよえるユダヤ人」を地で行くヒロイン。途中、ヒロインと知り合い、友人となるオランダ人女性が登場するのだが、この女性はヒロインとは対照的に、とても上手に立ち回る。ナチス統治下ではナチ軍人の愛人となり、全てがひっくり返った時にはカナダ軍の軍人に気に入られる。状況に流されるがまま軽薄に生きる友人は幸せを掴み、抗い続けるヒロインは激動の日々を送る。何とも皮肉なものである。 そう、皮肉。この映画は皮肉が効いた場面がてんこ盛りだ。件の糞尿シーンも友人女性の生き様と同様、「人間は強者/弱者という線引きがなされると途端に野蛮な人間に変貌してしまう、流されやすい存在だ」ということを訴えてくる。
物語は1956年、イスラエルに移住し、夫や子供とともに平穏な日々を送るヒロインが、激動の過去を振り返る、という形で始まる。しかしこのヒロインが幸せに暮らしてる1956年といえば、「スエズ危機」の直前。ユダヤ人であるヒロインに安息は訪れず、彼女はこの先も辛い運命を辿るであることが暗示されているのだ。ちなみにヒロインの友人はカナダ人と結婚して幸せに暮らしてます。うーん、切ない。
なんかこう書くと、凄く後味の悪い映画なんじゃないかと思われるが、二時間半という長さを忘れるぐらいスリリングだし、謎解きも面白いし、納得のいく決着も一応つく。観て損はないかと。ですよ。